Jul 20, 2017 interview

『ぼくらの勇気 未満都市』が20年ぶりに復活した理由とは?日テレ櫨山プロデューサーに聞いた

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時代を変えたのは、堂本剛(金田一少年)である

 

──さきほど、お互い大人じゃないから目を合わせないとおっしゃっていましたが、いい意味で、屈折した心を抱えた方々ばかりなんだろうなと思うんですね(笑)。それが旧作のタイトルバックの、ニコリともせず立っている映像にも表れているなと感じます。あれはどなたのアイデアですか。

あれは堤さんです。

──あれを提示されたとき、櫨山さんはどう思いました?

ふつうに、なるほどって思いました。なんの違和感もなかったです。堤さんは、当時、テレビドラマに、PVや写真などの手法を、いとも簡単に持ち込み、非常にボーダレスな表現をしていました。当時、画角の右半分に顔が寄っているようなカットは、テレビドラマでは珍しかったし、照明を当てず、顔見えなくていいとか、セットに天井まで作って、全方向塞いでしまうとか、映画では当たり前でも、ドラマでは斬新なことだったんです。そこが彼のすごいところでした。でも、私は、すべて、そうだよね、うんうん、と思っていましたね。

──堤さんのそういうところを、全部、受け入れていた櫨山さんがいたから、ドラマは進化したんでしょうね。

たまたまですよ。たまたま『金田一少年〜』がヒットしてくれたから、私も堤さんも今があるんです。そこは、剛に感謝ですよ。

──時代を変えたのは、堂本剛さんだった。

ほんとにそう思いますよ。『金田一少年〜』以降、土曜9時の枠で、いろいろな作品ができて、けれん味の強いヒーローものが、ジャニーズの後輩たちの、十八番になっていったと思うと、堂本剛が、後進に道を拓いたといって過言ではないですよ。それこそ偉業です。15、6歳という若さでよくやりましたよね。

──今後、ドラマはどのようになっていくと思いますか?

多様化して、個々の入り口が深く狭くなっていくのかなと思います。レコード業界がいい例で、かつては、200万枚くらい売れることもあったでしょう。それがいまではCDが売れなくなって、ネットで1曲250円で買うみたいな世界になっていますよね。それによって、作り手と受け手の距離がなくなっているし、間に人が入らない分、マニアックにもなっている。そのため、マスのヒットがどんどん生まれなくなる状況はたぶん抗えないことで。たとえば、どこかで、見たい人にだけ向けて、1000円で売って、10万人くらいに売れたらいいっていう、そういう方向性に今後はなると思いますが、私はとりあえず今は、テレビというメディアの指向性のなさが大好きなので、客がどこから出ていってどう入ってくるか、わからないけれど、入ってきてくれるように、すべての死角を消して作り続けたいと思っています。

──死角を消す。

最初の話に戻りましたね(笑)。そうすることで、入ってきたときの爆発力を大きくすることができると思っています。でもね、死角を消そうとすることと客観的になることは相反している。死角を消すことは、どんどん近視眼的になる作業です。例えるならば、金魚鉢の中で一生懸命作品を作っていると、金魚鉢の全体の形は見えないじゃないですか。でも、金魚鉢の外に出たら、ただ見ているだけになるのでドラマは作れない。外から見て、その金魚鉢の評価をするのはお客さんの視点です。

──鳥の目と虫の目という言葉もありますが。

そういうものと近いかもしれませんね。いずれにしても、どちら側の目も必要で、それをいかにコントロールできるかが問われるところで。まだまだ研ぎ澄ませていかないといけませんね。

──最後に、『ぼくらの勇気 未満都市2017』は、これで完結ですか?また何年後ってことは。

これで完結じゃないですか?あ、クランクアップの時に剛くんが『また20年後に!』って言ってました(笑)

 

取材・文/木俣冬

プロフィール

 

櫨山裕子(Hiroko Hazeyama)

1960年生まれ。日本テレビ制作局専門局長兼プロデューサー。バラエティー番組のディレクターを経て、数々のドラマをプロデュースする。
『金田一少年の事件簿』シリーズ、『ぼくらの勇気 未満都市』などのジャニーズ主演のドラマから、『ハケンの品格』、『ホタルノヒカリ』、『母になる』などの現代女性の生き方をテーマにしたドラマまで幅広く手がけている。

 

ドラマ紹介

 

『ぼくらの勇気 未満都市2017』 7月21日(金)よる9時〜

1997年に放送された連続ドラマ『ぼくらの勇気 未満都市』の最終回から20年後の物語。
97年、隕石に付着していた謎の細菌は、20歳以上の大人を殺す力をもっていた。政府は、隕石の落ちた千葉の幕原を封鎖し、生き残った少年少女を隔離した。
幕原に住む友人を心配して、名古屋からやってきたヤマト(堂本光一)は、同じく幕原にやってきたタケル(堂本剛)と出会う。ふたりは、これまでの生活をすべて奪われ、閉ざされた場所の中で、反目したり協力し合ったりしながら、生き抜いていく。
やがて、細菌の秘密がわかり、解放されたヤマトとタケルたちは、「20年後に、またこの場所で会おう」と言ってそれぞれの生活に分かれていく。
そして、2017年…20年後、ヤマトは中学教師、タケルは弁護士になっていた。あの場所——幕原は再開発が進んでいたが、爆発事故が起こって……。ヤマトとタケル、そして仲間たちは再び、あの場所へと導かれていく。

 

文・木俣冬

 

文筆家。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社) 、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、「蜷川幸雄の稽古場から」、構成した書籍に「庵野秀明のフタリシバイ」、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「恋仲」「IQ246~華麗なる事件簿」など。
エキレビ!で毎日朝ドラレビュー連載。 ほか、ヤフーニュース個人https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/ でも執筆。
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