Oct 09, 2026 interview

藤井道人 監督が語る 横浜流星の覚悟と広瀬すずの才能、2人だからこそ生まれた愛の物語 映画『汝、星のごとく』 

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「たった1人の心でも救えたら」と願いを込めて

池ノ辺 今回、ここは大切にしたいと思ったことは何ですか。

藤井 ここまで映画を作ってくると、自分なりの正しさとか「こうやったら成立する」とか「こうやったら観客にはこう見えるだろう」とか、そういうものがこびりついてきてしまうんですよね。器用にやっちゃうところとか。でもこれは30代最後の映画として、自分にとっても卒業制作のような意味を持った作品だと思っています。何者でもなかった20代の自主映画の気持ちで東宝の大作映画を撮るっていう。だから、たとえば東宝側に「間違ってるよ」と言われたとしても、「いや、自分はこういう人生を選択してきたから、自分のやりたいことをやらせてください、観客に届くように撮りますから」と言えると思う。そして、それをプロデューサーチームが認めてくれたんです。だから僕が「フィルムで撮りたい」とか急にとんちんかんなことを言っても、「わかった」と言ってくれる。そういうチームにものすごく支えられたと思いますし、自分が20年弱やってきて一番の財産はやっぱり「人」だなと、今回の作品を撮って改めて実感しました。

池ノ辺 それだけ20年間、監督がやってきたことに対して、みんなが認めて讃えて、応援したいという気持ちがあるということですね。あと、監督の描き出すラブストーリーは、やっぱりすごいなって、観ていて思いましたね。

藤井 嬉しいです。ありがとうございます。

池ノ辺 撮影でフィルムを使ったというのは聞きましたが、他に特にこだわったことはありますか。花火とか?

藤井 花火はそうですね。実際に本物を打ち上げさせていただきました。でも“特に”というよりは“全部”ですね。むしろどれかが浮かないように気をつけました。よく「撮影がすごくいい」ということを言いますけど、これって褒め言葉ではないと僕は思うんです。まずは「映画が一番いい」というのがあって、その中でも僕としては俳優がよく映るというのがすごく大事だと思っています。ただ、どれかが突出して主張するということではなくて、完璧なる調和の中で、「映画がいい」というふうに映画が残るにはどうすればいいんだろうかと考え抜いたのがこの作品であり、いまの僕の実力はここですというものが撮れたかなと思っています。