Sep 18, 2026 interview

Yuki Saito監督が語る 松岡茉優と仲里依紗、タイプの違う2人だから生まれた“掛け算” Netflixシリーズ「ダウンタイム」

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ダウンタイムがあったからこそ今がある

池ノ辺 監督がこれまで生きてきた中で、あれが自分のダウンタイムだったという時期はありますか。

Yuki ありますね。ある時、ある作品を撮ろうと思っていたらその作品がなくなって、ポンと半年間仕事がなくなったことがあったんです。それは結構つらくて、でも起きてしまったことは仕方がないと、前向きにそれまで自分がやったことがないことをやろうと思ったんです。一人旅に出かけたり神社巡りをしたり、山登りをしたりSUPをやってみたり‥‥。

平日に、みんなが働いている時に自分は仕事がない状態が続くというのは精神的にもかなりきつかったんですが、そうやってアクティブに動きながら、自分は結局何がしたいんだろう、今後はどうなりたいんだろうと自問自答できる時間があったんです。今から思い返すと、本当につらい時間ではあったんですけど自分はこうしたいんだという人生のディレクションが明確になった、あの時間は僕にとってのダウンタイムだったと思います。二度と戻りたくないけど (笑)。

池ノ辺 そういう時間があったからこそ、今の監督があるわけですね。

Yuki ドラマの中でも文が「この時間は自分に必要だったかも」というようなことを言っています。文にとっても凛にとっても、次に進むために必要なダウンタイムだったんでしょうね。

池ノ辺 そういえば、この「ダウンタイム」を弊社の男性ディレクターも見たんです。

Yuki 男性がどう受け止めるかというのは僕も気になります。

池ノ辺 単に美容整形業界の話というだけじゃなくて、人間の外側と内側というのが陰影をもって描かれていて面白かったという感想でした。

Yuki 美容整形というと、顔を変える、それこそ人の外側の話なんですけど、結局はその人の内面でどういう葛藤があって、何をどう決断していくかをキャラクターが中心になって物語を動かしていく。つまりキャラクタードリブンなドラマを目指したので、それが伝わったのは嬉しいですね。見ていく中で自分の価値観が揺さぶられ、こういう考え方もあるんだと知り、じゃあ自分はどうなのかと自分自身に問う、そういうドラマにしたいという思いがあったんです。

池ノ辺 それでは、最後の質問です。監督にとってドラマや映画とは何ですか。

Yuki ドラマにも映画にもいろんなジャンルはありますが、究極はキャラクタードリブンなものだと思うんです。キャラクターに共感して、キャラクターと共に葛藤して、キャラクターを応援したいと思うような、その作品の世界観の中に入ってキャラクターと共にいろいろ追体験するようなエンターテインメントを撮りたいと思っているので、そういうキャラクタードリブンなエンターテインメントが自分にとってのドラマかなと思っています。

池ノ辺 本作はまさにそういう作品だったと思います。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 岡本英理

プロフィール
Yuki Saito

監督

1979年生まれ、千葉県出身。高校卒業後に渡米し、本場ハリウッドで8年間映画を学ぶ。2012年に「インスタントペットハウス」、2013年と2014年に「ペンギンナビ」がカンヌ国際広告祭で3年連続の受賞を達成。2016年に映画『古都』で商業長編デビューを果たす。ドラマ「おっさんずラブ」(18)で第97回ザテレビジョンドラマアカデミー賞監督賞を受賞。近年は映画『君が落とした青空』(22)やドラマ「おっさんずラブ-リターンズ-」(24)などを監督。また、「アンメット ある脳外科医の日記」(24)が第120回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で6冠を達成した。

作品情報
Netflixシリーズ「ダウンタイム」

天才的なオペ技術を持つ、形成外科医・沼田文。「医療で命を救う」という信条に従い行った緊急オペが原因で、勤務していた大学病院を去ることになる。そんな彼女をスカウトしたのは、「美で人を救う」ことが信条のカリスマ美容外科医・遠山凜。文は美容外科を否定してきたが、業界の闇を探るために、凜のクリニックで働き始める。「美」と「医療」に対する価値観が違う2人はそれぞれの信念をぶつけ合い、激しく対立するが‥‥。

監督:Yuki Saito

出演:松岡茉優、仲里依紗、間宮祥太朗、田中みな実、萩原利久、長井短、渡辺大知、中川家礼二、シシド・カフカ、城田優、増子直純、武田創世、泉里香、田村健太郎、篠井英介、天野はな、景井ひな、研ナオコ、野呂佳代、古川凛、安達祐実、風間俊介、Kōki,、永作博美、渡部篤郎

Netflixにて世界独占配信中

作品ページ ダウンタイム

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『哀れなるものたち』『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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