2008年の夏、ソウル。大学生のウノ (ク・ギョファン) とジョンウォン (ムン・ガヨン) は長距離バスの中で運命的に出会う。ゲーム作家を夢見るウノと、建築家に憧れるジョンウォン。夢と不安を抱えた都会の日々の中で支え合ううちに、二人はやがて恋に落ち、深く愛し合う。しかし、若さゆえに抗えない現実の厳しさから、別れを選ぶ。それから10年が経った2024年の夏、二人はソウル行きの飛行機で偶然再会する――。
青春を輝かせた忘れられない恋、人生の選択を描いた『サヨナラの引力』。2025年12月末に韓国で公開され、口コミなどで広がり観客動員数260万人を突破した話題作が待望の日本公開を迎える。20代のきらめく青春期から落ち着きのある30代へと変化していく男女を演じるのは、人気実力派俳優のク・ギョファンとムン・ガヨン。『82年生まれ、キム・ジヨン』(2020) で注目を集めたキム・ドヨン監督が、新たな恋愛映画の傑作を誕生させた。
予告編制作会社バカ・ザ・バッカ代表の池ノ辺直子が映画大好きな業界の人たちと語り合う『映画は愛よ!』、今回は『サヨナラの引力』でウノを演じるク・ギョファンさんに、本作や映画への思いなどを伺いました。

監督と共演俳優が出演の決め手に
池ノ辺 ク・ギョファンさんがこの作品に出演しようと決めたのは、どういった思いからですか。
ク まずは、キム・ドヨン監督の優れた演出力に惹かれたからです。一見、正統派の恋愛ドラマに見えるかもしれませんが、その中に繊細なディテールを吹き込み、作品を生き生きしたものにする、そういう実力がある監督だと思っています。それが可能なのは、彼女が素晴らしい演出家であると同時に素晴らしい役者でもあるからではないかと思っています。
池ノ辺 ク・ギョファンさんが演じたウノという青年は、ゲーム作家になりたいという夢を抱いていて、でも夢破れて、という人物ですが、このキャラクターを演じる際に、どういうことを大切にされましたか。
ク 僕にとってはとてもシンプルで、「作品を愛する気持ち」です。つまり、誰よりもこの作品、そして自分自身が演じるこの役を愛することができる、そういう自信がありました。特に、ウノの、本当に自分が素晴らしいと感じる作品、つまりゲームを作りたいという、そういう情熱には、自分自身もクリエイターの一人としてすごく共感するところがありました。

池ノ辺 私も映画の予告編を作る仕事を長年してきているので、クリエイターとして情熱に共感するという気持ちが、すごく良くわかります。
ク 予告編は短い時間の中で観る人を惹きつけて、その映画の魅力を伝えなければならない、一つの芸術作品ですよね。そうしたクリエイターの方に気持ちをわかってもらえると、僕もうれしいです。
池ノ辺 そういう、クリエイターの気持ちに寄り添えるという部分にも、ご自身とウノに似たものがあったんですね。
ク ええ。これまで、自分は俳優としてだけでなく演出や脚本という形でも作品に関わってきました。それは自分自身が素晴らしいと思う作品を、皆さんに届けたいという強い思いがあるからです。ウノも同じだと思うんです。彼が素晴らしいと思うゲームを、みんなに届けたい、そういう思いがあったんだと思います。


