先月9月22日にルーカス・ミュージアムが開館した。20世紀史上、最も影響力のあった映画『スター・ウォーズ』(1977)を創造した監督ジョージ・ルーカスと妻メロディ・ホブソンが発信する新しいロサンゼルスの名所は「スター・ウォーズ」のファンだけでなく、大人も子供も刺激する夢で溢れている。来年2027年2月19日は映画の50周年でもあり、アメリカでは「スター・ウォーズ」関連行事が目白押し。このコラムでは、その前祝いのような大反響で賑わうロサンゼルスの新しい名所、ルーカス・ミュージアム・ナラティブ・アートの魅力をご紹介。

ルーカスとロサンゼルス
南カリフォルニア大学の映画学科を卒業したルーカスとロサンゼルスの関係は深い。大学時代に学んだ知識は、ジョージ・ルーカスの創造性を生み出す蓄えとなったと今でも語り継がれている。ミュージアムがルーカスが卒業した南カリフォルニア大学(USC)と目と鼻の先に建てられるまでには、さまざまな経緯があった。
最初はルーカスランチやILM(インダストリアル・ライト・マジック)という『スター・ウォーズ』が生まれたサンフランシスコやシカゴなど、条件を満たす拠点を模索していたルーカス夫妻。しかし、当時のロサンゼルス市長エリック・ガルセッティの後押しによって立地条件を満たしたロサンゼルスのダウンタウンに決定。そこはエクスポジッション・パークという、ロサンゼルス郡自然史博物館やカリフォルニア・サイエンス・センター、そしてLAメモリアルコロシアムという円形球技場のある教育の場。出来上がった宇宙ステーションのようなルーカス・ミュージアムは、中国の建築家、馬岩松(マーヤンソン:会社名MAD)氏による近未来の宇宙船、または大きな雲のような形の巨大な彫刻で、11エーカー、ほぼ東京ドームと同じ広い庭園の中に君臨している。

ルーカス・ミュージアムの正式名称は“ルーカス・ミュージアム・オブ・ナラティブ・アート”。外観からも伝わるように、この建物はれっきとした美術館。ナラティブ・アートとは、絵画や映像など、物語性を表現したアートのこと。シネマはナラティブ・アートの中でも最もパワフルなものであるとして、ミュージアムの1階には映画館が2箇所ある。ロバート・フラハティ・ホール(Robert Flahertyは米ドキュメンタリー作家)はルーカス・フィルムのアーカイブを中心にドキュメンタリー作家の短編作品を上映。ショブコ・ボルカピッチ・ホール(Skavko Vorkapichhはセルビア生まれの実験映画家でUSCでも教鞭をとった人物)では、斬新な試みで作られた実験映画や短編集を上映。中でも、ルーカスがUSC時代にポール・ゴールディングと共同監督した『ハービー』(1965)はハービー・ハンコックのジャズに合わせた光の動きをとらえて編集したもので、街灯や車のヘッドランプなど、3分で構成される白黒映画。アニメーションも含んだ短編映画の数々は、開館中、来館者がおのおののペースで立ち寄れる映像体験を可能にしている。
