Oct 05, 2026 column

全米称賛と悪評に真っ二つ!! ブラック・コメディ『DIGGER/ディガー』トム・クルーズの新たな賭け (vol.95)

A A
SHARE

話題の映画『ディガー』が全米公開初日、興行成績3位で大きくコケた。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督とトム・クルーズという、両者ともに卓越した実績を持つ2人がタッグを組んだ『DIGGER/ディガー』は米映画評価サイト「ロッテントマト」で鮮度53%。しかし、この映画に惚れ込んだ批評家の称賛と悪評がほぼ半々だったことでも、話題騒然。

去る9月27日(現地時間)、プロデューサー組合のメンバーに向けて行われた試写の質疑応答ではトム・クルーズ、イニャリトゥ監督、そして、プロデューサーのメアリー・ペアレントが参加。アカデミー賞3部門に輝いた『レヴェナント:蘇えりし者』の製作チームとトムという最強チームが織りなす本作は、ビスタビジョンで撮影されたこだわりだらけの映画。冒頭、ブクブクと海底で吹き出す高濃度のメタンガス、いわゆる気候変動の「時限爆弾」がこの映画の幕を開ける。

石油王に扮したトム・クルーズが地球を救えるか!

コメディ映画『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008) のトム・クルーズを覚えているだろうか? 特殊メイクで、これがトム? と驚いた人、大笑いした人も多かったはず。そんなヘビーな特殊メイクに顔も体も包まれた白髪で腹の突き出たトム・クルーズが演じるのが、傲慢な大富豪ディガー。彼の大豪邸には、狩猟で仕留めた獲物の頭部があちこちに飾られ、先祖代々、石油を採掘してきたショベルを暖炉の上に飾り、富と権力の歴史が誇示される。

ディガーは自ら経営するグリーンランドの石油採掘施設の不祥事による世界規模の氷河の崩落を目の前に、氷河の対岸にあるヨーロッパ諸国に災害をもたらす危機を知らされる。人類が石油に依存しすぎた過去と石油での金儲けというビジネスに取り憑かれた己の過信を振り返るディガーは、地球の危機を救うことができるのか。

つねにトム・クルーズに求められるのは、何かしらの大ピンチを救うスーパー人間の姿

試写会場で拍手に迎えられたトム・クルーズは終始、この映画を撮影したプロダクションのチームの細部にわたる映画へのこだわりを評価。ペアレントはトムの二足の草鞋を履いた仕事ぶりを絶賛。大スターなのに、撮影現場での時間を節約するために、家に帰らずに自らのトレーラー(移動式控室)に泊まって翌日の撮影に臨み、全面的にサポートしてくれたと、プロデューサーとしての努力を明かすと、会場では一斉に大きな歓声が上がった。

トムは、「映画はそうやって皆が協力して何か偉大なものを作り上げるんだ!」と相変わらず熱血で、「これまで46年間の映画人生の中で、あらゆる役を通じて、人間らしさを追求し、自らの優遇された立場においてではあるが、この仕事に愛情を注いできた。私たちはこれからもやってくる大きな試練に立ち向かいながらも、映画を作っていきたい」とあの笑顔で観客を釘付けにしていた。