Sep 15, 2017 interview

【いのうえひでのりインタビュー】小栗旬、阿部サダヲ、松山ケンイチ・・・豪華キャストとまわり続けるマラソンも3周目に

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『髑髏城の七人』はある宿命をもっているのかもしれない

 

──ところで、劇場のある、豊洲の地はいかがですか。

本当なら、劇場オープンの頃には、豊洲市場がオープンし、少なくともコンビニのひとつふたつ、あるだろうと思っていたのですが、市場オープンが遅れたために、コンビニや飲食店などのインフラが整ってないのがいささか不便ではありますね(笑)。

──まるで、新感線の公演が露払い的なことになってしまいましたね。

ほんとですよ(笑)。何もないので、古田が、楽屋の喫煙所を関係者用のバーにしたんです。お客さんが来たら、そこで軽く飲んで、30分くらい、クールダウンするようなコーナーを。差し入れのお酒とおつまみがかなり充実しているんでそれを利用しようという、古田くんのならではのアイデアです。店がないなら作っちまえ!みたいな(笑)。

──“花”が終わってもそれは。

古田が残していきました。そのバーは今後も充実していくのかなと思います。

──『髑髏城の七人』は公演のたびに、けっこういろんなアクシデントに見舞われてきましたね。

そういう宿命をもった芝居なんじゃないですかねえ(笑)。

 

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──何があってもそのたびに乗り越えるという宿命ですよね。

そう、立ち止まらないんです。地震もあったし台風もありました。例えば、『ワカドクロ』の時は、台風がすごくて、(小栗)旬が、『家に帰るまでは髑髏城です』とお客さんを励ましていました(笑)。

──何はともあれ、“風”が楽しみです。

IHIステージアラウンド東京で初めての、ひとり2役を、松山君にがんばってほしいですね。

──松山さんだったら、ひとり2役をできると考えた根拠を教えてください。

松ケンは、“カメレオン俳優”と言われてきただけあって、いろいろな役ができる。捨之介のような陽気なあんちゃんも似合うが、『デスノート』のLのようなミステリアスな役もやれるから、彼の演じる天魔王も観てみたい気がしたんです。僕の仕事としては、着替えと場面転換のタイミングを相当計算しないといけないと思っています。僕も“極”までがんばります。

 

プロフィール

 

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いのうえひでのり

1960年福岡県生まれ。劇団☆新感線 主宰。演出家。1980年、大阪芸術大学在学中に劇団☆新感線を旗揚げ。初期は俳優もやっていたが、演出に専念し、今に至る。新感線公演では、自身の名前を冠した「いのうえ歌舞伎」シリーズが、爆発的な人気を誇る。劇団のみならず、外部でも多くの作品の演出を手がける。日本演劇協会賞、千田是也賞、芸術選奨文部科学大臣新人賞、紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。2018年1月、『近松心中物語』を演出する。

 

作品紹介

 

ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』 Season風 Produced by TBS

本能寺の変によって織田信長が倒れてから8年後の天正18年。豊臣秀吉による天下統一が目前に迫っていたが、関東だけがいまだ手薄になっていた。そこに、謎の人物・天魔王(松山ケンイチ)率いる関東髑髏党が勢力を強めていた。
ある時、髑髏党に襲われていた少女・沙霧(岸井ゆきの)を、通りかかった捨之介(松山ふた役)が助け、関東一の色里と言われる無界の里に連れていく。そこの主人・無界屋蘭兵衛(向井理)と捨之介は旧知の仲だった。さらに、無界一のいい女・極楽太夫(田中麗奈)や、彼女を慕う兵庫(山内圭哉)、曲者そうなお侍・狸穴二郎衛門(生瀬勝久)などが、奇妙な縁でつながって、その宿命の糸は、彼らを苛烈な戦いへと誘っていく……。

作 :中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:松山ケンイチ 向井理 田中麗奈/橋本じゅん 山内圭哉 岸井ゆきの/生瀬勝久ほか

2017年9月15日(金)~11月3日(金・祝)
会場:東京都 IHIステージアラウンド東京(豊洲)

 

文・木俣冬

 

文筆家。主な著書に「ケイゾク、SPEC、カイドク」(ヴィレッジブックス)、「SPEC全記録集」(KADOKAWA)、「挑戦者たち トップアクターズ・ルポルタージュ」(キネマ旬報社) 、共著「おら、あまちゃんが大好きだ! 1、2」(扶桑社)、「蜷川幸雄の稽古場から」、構成した書籍に「庵野秀明のフタリシバイ」、ノベライズ「マルモのおきて」「リッチマン、プアウーマン」「デート〜恋とはどんなものかしら〜」「恋仲」「IQ246~華麗なる事件簿」など。
エキレビ!で毎日朝ドラレビュー連載。 ほか、ヤフーニュース個人https://news.yahoo.co.jp/byline/kimatafuyu/ でも執筆。
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