映画『口に関するアンケート』 吉川愛インタビュー「この世には呪いより怖いものがある」
「あの夜、何があったかお話ししますね。」——それぞれの独白が重なり、見えてくる本当の人間関係と恐怖の根源。
映画『口に関するアンケート』は、そんな現代的な恐怖を描き出すホラー作品だ。心霊スポット「呪いの木」を舞台に繰り広げられる肝試し――この作品の怖さは単なる幽霊の仕業、単なるジャンプスケアではない。人間関係のズレ、理解できない違和感が観る者をじわじわと追い詰めていく。
7月3日公開の本作には、板垣李光人、綱啓永、吉川愛、MOMONA (ME:I)、森愁斗 (BUDDiiS)、西山智樹 (TAGRIGHT) など注目の若手キャストが集結した。 今回は、作中の登場人物も観客も翻弄する不思議な女の子・杏を演じた吉川愛さんにインタビュー。撮影の裏側や役作りなど、ホラー作品だからできたアプローチを伺うとともに、吉川さんの飾らない魅力もご紹介します。そんな彼女が怖いと思うものは一体何か?

目指したのは癖のある不思議な女の子
—— まず、本作『口に関するアンケート』で演じられた、杏というキャラクターをどう捉えて演じましたか?
台本を読んだときに「普通、こんなこと人に言う?」といったセリフもあったので、一癖ある、違和感のある女の子にできたらいいなと思っていました。女の子らしさはありつつも、少しだけ空気を乱すような不思議な女の子。そんなふうに見せられたらなと思ったので、振り切ったような演技をしました。
—— 今回、大学生の男女グループの中でのお芝居となりました。これまでも映画やドラマで学生の役柄を演じたことがたくさんあったと思いますが、「役が憑依する」とか「役が抜けない」ということはありますか?
全く残らないですね。作品が終わったらパッと切り替えているので、毎回サラッとしています。
—— では、吉川さんの役柄へのアプローチの仕方について教えてください。
言い方が難しいのですが、キャラクターを簡単に掴めるときと掴めない場合があります。私は、人間観察するのがとても好きで、周りの人をよく見て、そのときに得たアイデアを役柄に落とし込むときもあります (笑)。「私だったらこうはしないかな」とか、普段感じたことのない、少し理解し難い役柄の場合は、自分が腑に落ちるように、そのキャラクターを調べてみたり、そういう人間性の方を探してみたりして、ひとつずつ作り上げていきます。
今回は、ある意味分かりやすかったのですが、ほんの少しだけ‥‥難しかったです。でも、ホラー作品だからできることがあると思っていて。なので杏のキャラクターに一癖を入れてみようと思いました。その塩梅が難しかったですね。
マイペースな大学生男女4人グループ
—— 杏と肝試しに行く他の大学生3人は、どんなキャラクターでしょうか?
翔太は、普通の男の子に見えて意外に思考型。実は譲れない思いを持っているという「あ、そういうキャラクターなんだ」と徐々に思わせてくれるので、面白かったです。竜也は、「こういう鈍感な男の子いるなぁ」みたいなキャラクターです (笑)。美玲は「断れない子」。少しか弱いイメージで私の演じた杏とは正反対の女の子が、グループにいるけれどメリハリがありバランスがいいなと思っていました。
——では、翔太役の板垣李光人さん、竜也役の綱啓永さん、美玲役のMOMONAさん。共演者の方々、それぞれの印象を教えていただけますか?
板垣さんとは、3回目の共演で、「どのように演じるだろう? 」という緊張感はなく、「私が自由に演じても大丈夫」という信頼感はありました。
綱さんとMOMONAさんは今回が初共演でした。恋人役の綱さんとは、初めてお会いしたときが、腕を組むシーンの撮影でした。「こんなにサラッと腕組んで大丈夫かな?」と思いましたが、全部受け入れてくださる方で、とてもありがたかったですし助かりました。なので私も最初から杏ちゃんを距離感近めで演じることができました (笑)。
MOMONAさんは、お芝居が初めてとのことだったのですが、そんなことを感じさせないぐらいで、ひとつひとつを学ぼうとしている姿に、とても謙虚な方だなという印象を持ちました。でも普段は明るくて、少し天然な方なので面白かったです。
—— 皆さんは撮影現場ではどう過ごされていたんですか?
本当にマイペースな‥‥4人で。お菓子を食べに行ったり、寝ていたり、ボーっとしていたりで (笑)。一緒にいるとずっと話していますし、マイペースに自分の行動をとるときもあります。いい意味でお互いに気を使わずに合間の時間を過ごせましたし、無言でも気にならない関係性を築けたので、裏側ではとてもリラックスして撮影できました。



幽霊を信じない吉川愛が恐怖するもの
——吉川さんは肝試しをされたことはありますか?
あまり興味がなくて… (笑)。心霊スポットに行ったところで「本当かな?」と思ってしまって、「何のために肝試しするんだろう? 」というタイプなので一度もしたことないです。幽霊とか信じていないかもしれません。
—— 作品で、初めての肝試しで呪いの木に行くことになりましたが、「呪い」があるとは思っていないんですか?
「呪い」は、あるとは思います。私は「呪われたら、それまでだな」と思ってしまいます (笑)。
—— そもそもホラー映画はご覧になりますか?
観ます。清水監督の『呪怨』のようなテイストの作品も好きですが、一番好きなのは『SAW』シリーズです。びっくりさせられると「わあっ!」となりますが、ホラーで「怖い」思いはないですね‥‥。日常的に体験しないことができるのはホラー作品の要素の一つだと思うので、そういうホラー作品を見るのはとても好きです。
—— では、吉川さんが個人的に「怖いもの」ってなんですか?
私、人形恐怖症なんです。マネキンとかロボットとか、偽物の人体が得意ではなくて。幼稚園児の頃にお風呂に入れると髪色が変わる人形が欲しくて買ってもらったのですが、いざ髪色が変わったのを見たら怖くなってしまって、そこから人形とかドール系が苦手です。あと虫が苦手です。

—— 虫が苦手とのことですが、セミの鳴き声が聞こえてくる季節になりましたね。
セミも苦手です。虫全般が苦手なので (笑)。あ、でもトンボだけは大丈夫です!小さい頃のヤゴ取りがあって、育てていました。「トンボになって旅立ったなぁ」と思ったら帰ってきたんです。それも毎晩。帰巣本能があるらしく、飼っていた3匹中3匹とも帰ってきてくれたので愛おしくなって (笑)。トンボ、かわいいですよ。
—— では、「呪い」「人間」「人形」「虫」だったら、どれが一番苦手ですか?
人形が一番怖いです。暗いところに人型のものがあるのも苦手です。ロボットは人型だけでなく、犬型とか猫型も全般苦手です。配膳ロボットがあるファミレスも行けないですし、触れないです (笑)。でもぬいぐるみは平気なんです。そこの線引きが難しいので、とりあえずロボット全般と、人型のものは全部NGにしています。
—— この作品を観る方にメッセージをお願いします。
突然の音や映像で驚かせられるホラーというよりは、じわじわ怖くなっていく内容で、ラストに「えっ!?」という驚きがあります。だんだんと怖さが高まっていくところが、この作品の面白さだと思います。新たな分野にチャレンジしているのと、結構身体的に大変なことが多かったので……「頑張っているな」と思って観ていただきたいです。褒めてください (笑)。
取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 立松尚積
ヘアメイク / 室橋佑紀(ROI) スタイリスト / 髙橋美咲(Sadalsuud)


映画『口に関するアンケート』
心霊スポットとして知られる墓地に肝だめしに向かった大学生たち。しかし翌日、1人の女子大生が忽然と姿を消した。残されたのは墓地を訪れた5人の大学生たちが語る“不可解な証言”だけ。あの夜、いったい何が起きていたのか?証言から導かれるその“真相”を知った者には、何が起きるのか‥‥。
監督:清水崇
原作:背筋『口に関するアンケート』(ポプラ社刊)
出演:板垣李光人/綱啓永、吉川愛、MOMONA(ME:I)、森愁斗(BUDDiiS)、西山智樹(TAGRIGHT)、柄本時生/中村獅童
配給:松竹
©2026映画「口に関するアンケート」製作委員会
2026年7月3日(金) 全国ロードショー
公式サイト kuchi-movie.jp