日本映画界を驚愕させたワーナーの決断
池ノ辺 昨年9月に、2025年12月31日をもって日本国内での劇場配給業務を終了するというびっくりする発表がされました。結果的に、山田さんは映画部門の代表として見届ける役を担ったわけですけど、このことはいつからご存じだったんですか。
山田 まず、9月18日にアメリカ本社から上司含め何人かが来日するので、スタッフ全員を試写室に集めるよう指示がありました。僕はその来日の数日前に、今回の来日目的を聞かされました。ワーナー映画の洋画についてはすべて、2026年の1月から東宝東和さんに移管するという内容でした。
池ノ辺 作品はこれからも作り続けるということですよね? でも、大ヒット作品もある中で、なぜ今そういう話になるのかとみんな驚いたと思うんですが。
山田 正直、スタッフ全員驚いたと思います。昨年6月にワーナー・ブラザース・ディスカバリーが、今年の4月に向けて分社化するとの発表がありました。つまり、動画配信・映画を担当するスタジオ側とケーブルテレビやネットワーク側に分かれるということです。この分社化が今回の映画部門業務終了に直接関係しているかは分かりませんが、分社化に向けて大規模なリストラが必要になるとは聞いていました。特に日本は、他国と比べても社員数が多かったので、リストラの一環だろうと思っています。
池ノ辺 他の国もそうなっているんですか。
山田 以前から他の国でリストラの動きがあったのは事実ですし、大規模なリストラをやっている国もあります。ただ日本みたいに洋画をすべてどこかに移管したというのは他にはないと思います。規模の小さい国では、他のメジャー配給会社とジョイントベンチャーを設立し、どちらか一方の配給会社が双方の作品を配給・宣伝する形を取っています。

池ノ辺 今回、移管先が東宝東和さんになったというのは、やっぱり劇場を持っているというのも決め手だったのでしょうか。
山田 そうですね。東宝さんの子会社であり、劇場もありますし洋画をやっている経験値もある。そういう意味では本社からすると東宝東和さんにお願いするというのが選択肢の中では一番高いところにあったんじゃないかと思います。
池ノ辺 試写室にスタッフのみなさんが集められたとおっしゃいましたが、東宝東和さんの方から聞いた話では、同じ時間に東宝東和さんも社長から話があるので全員集まるようにと言われたそうですよ。それで、東宝東和のみなさんは「いよいよかな、リストラかな」とドキドキしながら集まったらワーナーさんの話だったんで驚いたと聞きました。
山田 そうだったんですね (笑)。
インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 佐々木尚絵
撮影 / 立松尚積
元ワーナー ブラザース ジャパン合同会社 映画部門代表
1993年にワーナー・ブラザース映画へ入社。大阪支社での劇場営業を皮切りに、多岐にわたる役職を歴任した。その後、日本事業の上席執行役員、映画部門代表、バイスプレジデントとして、洋画・邦画を合わせ700作品以上を配給。累計興行収入は6000億円を超え、日本の映画興行界に多大な足跡を残した。同社が2025年12月31日をもって日本国内での劇場配給業務を終了したことに伴い、2026年3月31日付で退任。

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