Feb 24, 2019 interview

古川登志夫、平野文の〈レジェンド〉声優インタビュー総集編!古谷徹、田中真弓を始め、豪華ゲストとの声優トークを振り返る

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古川登志夫が海外ドラマの吹き替えで、はじめてタッグを組んだ「田中秀幸」

古川

僕のまったくの同期といえば、田中秀幸さんにも来ていただきました。

平野

海外ドラマ『白バイ野郎ジョン&パンチ』の吹き替えを、秀幸さんがジョン、登志夫さんがパンチを演じていましたね。

古川

はじめての海外ドラマの主役をさせてもらって。秀幸さんは、子供の頃から子役スターとして知っていたので、「こんな方と組ませてもらえるなんて」と嬉しかった!

平野

「ジョン&パンチ」では、オリジナルのセリフよりも、意訳やアドリブを入れて、お2人の日本版のカラーを出されていましたよね。

古川

当時のディレクターが「ジョンとパンチのコントラストを、なるべく顕著に出しましょう」と言って、ジョン役の秀幸さんはオリジナルより「もっと真面目に!」、僕のパンチは「もっとふざけて!」と演出してくれた。

平野

真面目具合と、はっちゃけ具合の差が出てました!

古川

外国の俳優さんが全然笑っていない場面なのに、ディレクターさんに「笑いを入れてください」なんて言われる。だからあちこちに「ヌハハハハハハ!」という笑いを入れてみたんです。

『白バイ野郎ジョン&パンチ』などのエピソードも出てくる、田中秀幸さんの過去インタビューはこちら

少年役のスーパーレジェンド声優。タレント性を持った「田中真弓」

平野

田中真弓さんにも来ていただきました。「本当にお芝居が好きなんだ」と思った声優さん。

古川

女性の声優陣では、真弓ちゃんの存在は大きなものですよね。

平野

とにかくお芝居が好きで。だから、その延長に声優の仕事があったという方。

古川

うる星やつらの時、「藤波竜之介」役で参加された真弓さんにはじめてお会いして、「この若さで、うまいな!」と思いました。

平野

アニメの中では、清水マリさん、野沢雅子さんの次の世代では、少年役をやらせたら田中真弓さんがスーパーレジェンド声優ですよね。

古川

プライベートの顔と、演技している顔がぜんぜん違う。

平野

真弓さんのアフレコ収録の時って、すっとマイク前に立って、すっと演技されて。自然に声を出されている真弓さんへのあこがれがあります。

古川

タレント性というものを、すごく持っている方。真弓ちゃんは、普段はおとなしいんだけど、本番が始まったり、マイク前やカメラが入ったりすると、とたんに豹変する。僕は変われない、いつもそのまんま(笑)。

平野

表現者としての「田中真弓」のスイッチが入るんですよね、天才的に。

アフレコ収録の裏話も出てくる、田中真弓さんの過去インタビュー記事はこちら

ガンダム収録秘話、急ぐ富野監督を待たせた「古谷徹」

古川

今やすっかり「名探偵コナン」の安室透役でも有名になっちゃった、徹ちゃん(古谷徹さん)にも来てもらいました。演技力はもちろんだけど、営業力などもある、稀有な才能の持ち主です。

平野

私達の考えられない発想を持った方です。アニメの収録にのぞむ時は、キャラクターに近い髪型をしたり、服装をしたり、役を全部からだの中に入れて、演技される。

古川

僕よりも年下なんだけど、いつも徹ちゃんを表現する時は「あっぱれな奴」というキャッチフレーズを使っています。

平野

ガンダム収録時に、古谷さんが感情を作るため、急ぐ富野監督を待たせたエピソードがありましたね(笑)。

古川

富野監督がカナダに行く飛行機に乗らないといけなくて、すごく急いでいたんだよ。「マチルダさん」って泣き叫ぶ、たった一言のセリフだけですよ!「感情作るから、待ってください」って。僕の長い声優生活でも、富野監督を待たせたのは、後にも先にも徹ちゃんだけです(笑)。

平野

声優界の中で、一番セルフプロデュース力のある方ではないかと。

古川

自分の魅力や実力に対する自負もすごいものがあって。

平野

古谷さんご自身も「僕、ナルシストかもしれない」と、おっしゃっていました。

富野監督を待たせたエピソードも出てくる、古谷徹さんの過去インタビュー記事はこちら

今後、古川登志夫と平野文がインタビューしたいレジェンド声優、レジェンドクリエイターは?

平野

他にも、これまでレジェンド声優として、清水マリさん野沢雅子さん小山茉美さん矢尾一樹さん銀河万丈さん日高のり子さんと、かなりの方に来ていただきました。

古川

インタビューを通して声優としてのメソッドが、いろいろ聞けて楽しかったです。まだまだインタビューできていない、レジェンド声優もたくさんいますね!

平野

スーパーレジェンド声優として小林清志さんも、羽佐間道夫さん、大塚明夫さんに、池田秀一さん、池田昌子さんにも来ていただきたい!

古川

僕の同期の神谷明さんや千葉繁さん、三ツ矢雄二さんのお話も聞きたいですね!

平野

満を持して、三ツ矢さんのお話も聞きたいですね。アニメのスタッフ、レジェンドクリエイターとしては、登志夫さんは、どなたのお話を聞いてみたいですか?

古川

板野サーカスの板野一郎さん、音響監督の明田川進さん、マッドハウスを立ち上げたプロデューサー丸山正雄さんなどのお話を聞いてみたいですね。

平野

デザイナーだとガンダムの大河原邦男さん、ファイナルファンタジーの天野喜孝さんのお話も聞いてみたいです。大河原さん、天野さんといえば、アニメ制作会社「タツノコプロ」のご出身なんです。2019年の春にはタツノコプロ出身、4人の展覧会「ラフ∞絵」も開催されます。企画・プロデュースをなさった、スタジオぴえろの布川ゆうじさんも、やはりタツノコプロの出身、この機会にぜひ、お話を伺いたいですね。

(編集部注) 秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美による展覧会 『ラフ∞絵』 開催期間 : 2019年4月2日(火)~2019年4月16日(火) 開催場所:東京・神田「3331 Arts Chiyoda:アーツ千代田 3331」 公式サイト: http://4rough.com/

古川

まただまだお話を聞きたい方は、たくさんいます!レジェンド声優はもちろんですが、レジェンドクリエイターのお話も聞いてみたい!これからも楽しみにしていてください!

構成・文 / 長永拓也 撮影 / 根田拓也・otocoto編集部

プロフィール

古川登志夫(ふるかわとしお)

7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~ フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。

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平野文(ひらのふみ)

1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。