Aug 03, 2017 interview

山﨑賢人×伊勢谷友介、年齢差を超えたグレートな信頼関係

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映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』で東方仗助、空条承太郎という年齢差のある甥(伊勢谷さん)と叔父(山﨑さん)を演じた山﨑賢人さんと伊勢谷友介さん。目に見えない超能力であるスタンドを操るミステリアスで奇妙な世界観に生きるキャラクターを見事に演じきったおふたりに、「ジョジョの奇妙な冒険」という作品に対する思いを語り合っていただきました。

 

──お二人は今作が初共演ですが、一緒にお芝居されての感想を伺えますか?

伊勢谷 これまでお会いしたことがなかったので、前情報が何もない状態で共演させてもらいました。自分を大きく見せようとしたり、かっこよく見せようと背伸びしている感じがなく、開けっぴろげの素直な男の子というのが第一印象です。一緒に芝居させてもらっても、今回は作品自体がキャラクターに自分を落とし込むことが要求される役柄だったので、彼が仗助をどう表現して来るのかなって思っていたんですよ。どんな風に落とし込むのかっていうのはその人のセンスだから。でも、みんながちゃんとわかりやすいように伝わるようなところに作り込んで来てた姿を見て、センスのある若者なんだなって(笑)。

山﨑 ありがとうございます!

伊勢谷 山﨑くんは自分のリズムを持って芝居ができている人だから、気を使って芝居しやすい環境を作ってあげようとか、変に気を回すことも必要なかったですし。

山﨑 僕はもちろん伊勢谷さんの出演作を観ていたのですが、素の伊勢谷さんがどういう方なのかわからなかったのでドキドキしていた面もあるんですけど、気さくに話しかけてくださって。カメラが回っていないところでも伊勢谷さんの方から関係性を作ってくださったことが、承太郎さんと仗助としての空気感も出しやすくなった気がします。

伊勢谷 本当に?ありがとうございます。

──お芝居に関して言葉を交わしたりしたことは?

山﨑 そういえば、芝居の話はそんなにしてないかもしれません。

伊勢谷 役者同士ってそういう話はあまりしない方がおもしろいんですよ。本番当日で噛み合わない、なんてことが起きたらまずいけど、芝居していて『こう来たか、じゃあこう返すか』という瞬発力のあるセッションが楽しくて。どんなに立派な演技論を持っていたとしても、観てくれた方がおもしろいと感じてくれないことには意味がないので。もしも現場で山﨑くんが悩んでいたら『こうしてみたら?』と声をかけたかもしれませんけど、今回の現場に関してはなかったですね。役者同士は基本的には自立しているので。

 

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承太郎は今のご時世では考えられない性格(伊勢谷)

 

──山﨑さん演じた東方仗助、伊勢谷さん演じた空条承太郎、それぞれのキャラクターに関してはどの程度まで掘り下げて、何を核としながら役に挑みましたか?

伊勢谷 承太郎は「ギャーギャー騒ぐ女は嫌いだ」なんてことを女性に直接言っちゃうような、今のご時世では考えられないような性格なんです。

山﨑 たしかに、原作自体が少し前の時代に書かれていますしね。

伊勢谷 そうそう、今あんなことを言ったらみんなに嫌われちゃうから。でも承太郎はそういう意味でいうと、好かれることを考えなくていいキャラではありましたね。承太郎がそう思ってるならそうなんでしょうし、そこに自分自身をどう落とし込むかっていうことは、あまり鑑みなかったかもしれません。だから特に意識したこととしては、今作ではこの世界観を案内するストーリーテリングとしての役目が多かったので、わかりづらい芝居はしないようにしようということ。山﨑くんは?

山﨑 僕は仗助を演じることが決まってから原作を読み始めたので、とにかく原作と、アニメを細かい部分まで観ました。台本にあるセリフの言い回しもマンガやアニメと同じだったから、自然なお芝居じゃダメかなあ、と原作へのリスペクトを第一に考えていました。映画の最初で仗助がキレるシーンは、眉毛の角度をどうすれば仗助に近づけるんだろうと家で練習したり。見た目や形を似せることも大事ですけど、仗助のあの髪型と格好は自分の命を救ってくれた人への尊敬の証なので、その信念を一番大切にして、それありきで、ビジュアルやせりふ回しなどを乗せていったイメージです。あとはロケ地の力も大きかったです。

伊勢谷 そうだね、あの杜王町を撮るためにはシッチェス(スペインの都市)じゃないと無理だったと思うから。向こうに滞在してるときも、三池監督がジョジョを成立させるためにこの場所を選んだのはすごいねーってみんなで話してたもんね。

 

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──山﨑さんは仗助を演じるのがきっかけで原作に触れたそうですが、伊勢谷さんはもともとジョジョを愛読されていたんですよね?

伊勢谷 はい。今作は主に第4部を実写化した作品なんですけど、空条承太郎は第3部の主人公なんですよ。今回はある目的のために仗助の前に現れる役なので、承太郎のキャラクターを全開で演じる、という感じではなかったですね。あくまでも仗助のサポートというか、そういった役割も負っていたので、第3部のイメージを乗せちゃうのは違うのかな、と。大人な承太郎かもしれません。

──どちらかというと抑えたイメージだったんですね。仗助は対照的にエモーショナルに暴れまわるシーンが多かったですよね。

山﨑 今まであそこまで感情むき出しにしてブチ切れるお芝居ってやったことがなかったんですけど、仗助自身がなんでそこまで切れるのか自分でも怒りを制御できない感じを意識しました。自分の大事なものをバカにされて、なんでこうなっちゃったんだろうっていうくらいキレちゃうんですけど、僕自身は割と冷静にちょっとした表情の変化や動きの一つ一つに神経を使っていた気がします。