俳優たちと一緒に作り上げたキャラクター
池ノ辺 主演の西畑大吾さんと福本莉子さん、素敵でしたね。あの二人のキャラクターは、監督と一緒に作り上げていったと聞いたんですけど、どういった演出をされたんですか。
酒井 最初に原作の小説を読んでいただいて、私は私で、それぞれのキャラクターシートのようなものを提出したんです。つまり「佐倉くんはこういう感じの人間なんじゃないか」「花森さんはこういう人間なんじゃないか」ということですね。それをもとにディスカッションしました。さらに、(脚)本読み、リハーサルで、具体的に声のトーンや喋り方、仕草は、どうしたら佐倉くんになるのか、花森さんになるのか、そういうことを一緒に作り上げていきました。
池ノ辺 二人のやりとりがすごく自然で、お互いの想いが変わっていく感じも見事に表現されてたと思いました。

酒井 この物語は、人の心に寄り添うような、心が大きく揺すぶられるお話です。人生にはいろいろな出来事があって、例えば、人生の中で嫌なことがあったり悲しいことがあったりしても、一方で笑いもあるし楽しいこともあるだろうというところを大切にしました。
池ノ辺 それはどういうことですか。
酒井 佐倉くんも花森さんも、それぞれ抱えているものがありますよね。憂いはある。でも二人のやりとりなどで楽しい時もある。そこはコミカルに振り切るとか、そういう人生の振り幅を大切にしました。実際の二人のやりとりのシーンの演出では、先ほど言った、「佐倉くんはこういう子だよね」「花森さんはこういう子だよね」というのを固めてから、二人には「しばらくカメラ回させていただくので、このセリフ、プラスアルファで、延長して自由なお芝居をしてください」とお願いしました。
池ノ辺 自由なお芝居が結構あったわけですね。
酒井 そうですね。佐倉くんと花森さんの掛け合いで生まれていったやりとりが多いです。
池ノ辺 すごく自然な感じでした。掛け合いで面白いエピソードなどありましたか。
酒井 お二人ともユーモアがある方なので、撮影現場もすごく楽しくて面白かったんですけど、とある方を二人で尾行するシーンがありまして、探偵みたいに。
池ノ辺 あの時の二人はかわいかった。こんなの絶対見つかるじゃないの、っていう尾行でしたけど(笑)。
酒井 あの時の、プリンを食べながらのやりとりは、福本さんのアイデアで、そこに本気で西畑さんがびっくりした、というシーンでした。あそこは私も見ていて笑ってしまいました。



