Mar 31, 2017 interview

第4回:「宣伝を操れるようになれば、自ずとプロデューサーもできるようになるから」と言われたんです。

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池ノ辺

その時は、何か買ってきたんですか?

谷島

「これは多分当たると思いますよ」と言ったのが、ポーランドの巨匠アンジェイ・ワイダの『コルチャック先生』。

ユダヤ人たちを救ったお医者さんがいて、『シンドラーのリスト』にも出てくる人なんですけど、なかなか感動的な話なんです。

それで僕だけの推薦じゃなく、上映する劇場とも協議して、ヘラルド・エースはこの映画を買ったんです。

池ノ辺

あの頃って、ヘラルド映画とヘラルド・エースは別なものですよね?

谷島

別なものでした。

池ノ辺

エースは単館系の良質な作品をやって、ヘラルド映画はメジャーという印象でした。

私はヘラルドの『ブレイクダンス』からずっとやらせてもらっています。

谷島

『氷の微笑』とか『愛人/ラマン』をやっていませんでした?

池ノ辺

『愛人/ラマン』は私じゃないけど、『氷の微笑』は尾畑(留美子)さんと一緒にやっていました。

今の尾畑さん、ご存知ですか?

谷島

造り酒屋でしょ?

池ノ辺

尾畑酒造の専務取締役で世界中を飛び回っていますよ。

元々尾畑さんはヘラルド映画で宣伝プロデューサーを10年くらいやっていたんです。

それで実家が佐渡の造り酒屋さんだったので、継がなければいけないから帰るということになって。

現在はエールフランスのビジネスとファーストにもお酒を出しているんですよ。

谷島

そんなに。

それはもう安泰だね。

池ノ辺

その尾畑さんとは、未だにお酒のお付き合いをさせていただいているんです。

谷島さんはお酒って飲まれましたっけ?

谷島

飲まないです。酒タバコ博打はやらないで……。

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池ノ辺

映画一筋!

谷島

そうです。

その頃には僕はプロデューサーになりたかったから、原さんに「プロデューサーになりたいんです。映画を作らせてください」と言って弟子入りしたんですよ。

原さんには「プロデューサーは極端に言えば誰でもできるから、宣伝を学ばないとダメだ」と頭ごなしに言われた。

宣伝を操れるようになれば、プロデューサーも自ずとちゃんとできるようになるからと。

まあ、半分だまされたのかもしれないですけど(笑)、宣伝部に配属されて、そこから宣伝を17年間も、やらされるんです。