Mar 28, 2017 interview

第3回:いいなと思ったプロデューサーが三人いて、今でもそれは変わらないんです。

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池ノ辺

その時にはプロデューサーという言葉は知っていたわけですか?

谷島

知っていましたね。

その時にいいなと思っていたプロデューサーが3人いて、それは今も変わらないんです。

一人はアーウィン・アレン。これは『タワーリング・インフェルノ』『ポセイドン・アドベンチャー』で映画のダイナミズムを教えてくれた人。

もう一人はウィリアム・キャッスル。

映画館の椅子に電流を流して観客を飛び上がらせるというような映画の仕掛け(ギミック)を工夫した人で、そういった趣向を凝らしたホラー映画をいっぱい作ったキング・オブ・ギミック。

もう一人はソウル・ゼインツ。

『カッコーの巣の上で』、『存在の耐えられない軽さ』、『アマデウス』を作った人で、『イングリッシュ・ペイシェント』もそう。

そんなに数は作っていない人だけど、入魂の企画を丹念に時間をかけて製作する。すごいよね。

この3人を自分の中ではずっとグルグルと思い描いて、今もやっています。

池ノ辺

ちゃんとやってるじゃないですか。

谷島

こんな三様なプロデューサーという仕事を知って、面白いなと思ったわけです。

プロデューサーは監督とある種対等に、共犯関係を築くものなので、「この監督とこれをやりたい!」と一緒に夢を抱いていくことができるし、監督はオリジナリティの塊だから自分にはできない、想像を絶するものを生み出してくれる。

その上で僕は、その監督が今までやってきたものと、違ったものをやってもらいたいという欲望が強いんです。

池ノ辺

『3月のライオン』もそうですよね。

谷島

その人が今まで撮ってきたヒット作の延長線上で作るのではなくて、その人の作家性を別の角度で捉えて、より違った極面へ行って、違った世界を創造したい。

そんなヘソ曲りな野心で、今に至ってます。

池ノ辺

卒業後にヘラルド・エースへ入ることになったきっかけは何ですか?

谷島

学生の時に『誘惑者』という映画の宣伝に協力したんですよ。

これはヘラルド・エースが作った映画で、結構協力したから受賞パーティに呼んでくれたんです。

そこにプロデューサーの原正人さんがいたんですよ。

池ノ辺

尊敬してたんでしょ?

谷島

その時は原正人って知らなかった。

当時すごくお世話になっていたポニーキャニオンの方に、すごい人を紹介するからと原さんに会ったんです。

多分その時に僕は生意気なことをかなり言ったんだと思う。

そうしたら原さんが面白がってくれたのか、「わかった。君を来年のカンヌに連れて行くよ」と。

池ノ辺

その時、何年生ですか?

谷島

大学5年生、1留年したから(笑)。

池ノ辺

そういうことばかりやってるから(笑)。

それで本当に連れて行ってもらったんですか?

谷島

それがね、1990年の5月に本当に連れて行ってもらった。

池ノ辺

すごいですね。

じゃあ、次回は大学生なのにカンヌ映画祭に連れて行ってもらった話を。

(文:モルモット吉田、写真:杉本晴)


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映画『3月のライオン』

漫画家・羽海野チカの大ヒットコミックを、映画『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督と神木隆之介の主演で、【前編】【後編】堂々二部作による完全実写映画化。幼い頃に家族を無くした17歳の将棋のプロ棋士・桐山零。橋を渡った町に住む三姉妹に温かく見守られ、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける棋士たちとの激闘に飛び込む。しかしある事件が、愛する三姉妹を襲う…。闘うことでしか生きられない少年の魂がぶつかり合う感動のエンタテインメント。『君の名は。』の絶好調の神木隆之介を始め、有村架純、倉科カナ、染谷将太、佐々木蔵之介、伊藤英明、豊川悦司などの豪華キャストが結集し、凛々しく、美しく、凄まじい物語を演じ上げる。

監督:大友啓史 原作:羽海野チカ(白泉社刊・ヤングアニマル連載中) 脚本:岩下悠子、渡部亮平、大友啓史

出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、清原果耶、佐々木蔵之介、加瀬亮、伊勢谷友介、伊藤英明、豊川悦司 ほか

【前編】3月18日(土)大ヒット上映中 【後編】4月22日(土)公開 2部作連続・全国ロードショー 配給:東宝=アスミック・エース 公式サイトhttp://3lion-movie.com

PROFILE

■谷島正之(たにしま・まさゆき)

アスミック・エース株式会社 配信企画プロジェクト推進室長、兼コンテンツ事業部・グルーブ長 1967年東京出身。91年にヘラルド・エース、現アスミック・エースに入社。宣伝部に所属し、『海の上のピアニスト』『カルネ』『ザ・リング』『のぼうの城』など、洋画・邦画問わず30本以上の作品を宣伝プロデュース。2007年から製作部に所属し、『きまぐれロボット』(辻川幸一郎/07)、『西の魔女が死んだ』(長崎俊一/08)、アジア圏初のデジタル3D映画『戦慄迷宮3D』(清水崇/09)、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品作『鉄男 THE BULLET MAN』(塚本晋也/09)、『ラビット・ホラー3D』(清水崇/10)を製作。共同製作として『さくらん』(蜷川実花/07)『ヘルタースケルター』(蜷川実花/12)。最近では、増田セバスチャン監督による極彩色ミュージカル・ファンタジー『くるみ割り人形』(14)、園子温監督作『リアル鬼ごっこ』(15)、白石和彌監督作『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15)を製作。現在、大友啓史監督との7年越しの映画『3月のライオン』の【前編】が公開中。著書に「3D世紀/驚異!立体映画の100年と映像新世紀」(ボーン・デジタル刊/共著)ほか。

<主な製作作品> 2005年 『大停電の夜に』(05/源孝志監督):アソシエート・プロデューサー / 06年 『デス・ルーム』(06/ジョー・ダンテ、ケン・ラッセル監督他):共同プロデューサー / 07年 『きまぐれロボット』(07/辻川幸一郎監督):企画・プロデュース、『さくらん』(07/蜷川実花監督):アソシエート・プロデューサー / 08年 『西の魔女が死んだ』(08/長崎俊一監督):プロデューサー 、『明日への遺言』(08/小泉堯史):プロデューサー・アシスタント、『グーグーだって猫である』(08/犬童一心監督):共同プロデューサー / 09年 『戦慄迷宮3D』(09/清水崇監督):プロデューサー、『鉄男 THE BULLET MAN』(09/塚本晋也監督):プロデューサー / 10年『ラビット・ホラー3D』(11/清水崇監督):プロデューサー / 11年 『がんばっぺ、フラガール!』(11/小林正樹監督):共同プロデューサー / 12年 『ヘルタースケルター』(12/蜷川実花監督):アソシエート・プロデューサー / 14年 『アラサーちゃん 無修正』(14):企画、『くるみ割り人形』(14/増田セバスチャン監督):プロデューサー / 15年 『リアル鬼ごっこ』(15/園子温監督):プロデューサー 、『リアル鬼ごっこ ライジング』(15/大畑創、内藤瑛亮、朝倉加葉子監督):企画・プロデュース、『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15/白石和彌監督):プロデューサー 、『さくらん【4K版】』(07/15)『博士の愛した数式【4K版】』(06/15):4K化プロデューサー / 16年 『ハチミツとクローバー【4K版】』(05-06/16):4K化プロデューサー / 17年 『愛のむきだし【最長版 ザ・テレビショー】』(17/園子温監督):企画・プロデュース 、『3月のライオン』(17年/大友啓史監督):プロデューサー

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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