Mar 17, 2017 interview

第1回:『3月のライオン』は、読み終わった瞬間に大友啓史とやりたいと何かが湧き上がりました。

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池ノ辺

役者さんは、どういうふうに決めていったんですか?

神木(隆之介)くんがすごく主人公にマッチしていると評判ですよね。

谷島

それはね、最初に「主役は誰がいいですか?」という話をした時から、監督は「神木、いいんじゃないの?」と言ってたんですよ。

その後に、『るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編』に神木隆之介が出て、監督のいいという実感みたいなものがより肥大したんじゃないかな。

佐藤健もいいけど、あの映画の神木の殺気ってすごい。

特に「京都大火編」のね。

池ノ辺

その時に『3月のライオン』やらないかって、監督は神木くんに声をかけていたんですかね?

谷島

今後もやっていこうねという話をしたのかもしれない。

「伝説の最期編」が完成したあたりで、やっぱり神木しかいないねということで、最初に決まったんです

池ノ辺

そのあとの配役に関してはどうだったんですか?

漫画と比べてもみんなぴったりですよね。

谷島

そうそう、だけども“原作漫画のそっくりさん大会”にはなってないでしょ?

脚本は40稿まで重ねていったんだけど、時間をかけて脚本を作っていく中で、役も映画的、映像的に進化していくじゃないですか。その流れの中で、自然とこの人がいいねという話が出てくる。

そういう作業の中でひとりひとり慎重に、結構丁寧に決まっていったんです。

池ノ辺

そうして撮影に入っていって。

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谷島

去年16年の3月、撮影開始直後、監督とキャストを発表した時、大友さんのコメントは「まるで、向田邦子さんのドラマみたい。優しさと厳しさと、強さと儚さと」だったんです。

池ノ辺

ああ、素敵ね、その言葉。

谷島

向田さんのドラマに『阿修羅のごとく』ってありますけど、やっぱり阿修羅なんですよ、人間というのは。

温かさもあるし喜びもあるけれども、激烈な残酷さもある。

少女漫画だと思って甘く見てはダメですよ。

『3月のライオン』はそういう物語ですからね。

原作の画の可愛らしさと相反する激情のドラマ、そのギャップが堪らなく凄いんです。

池ノ辺

そういえば谷島さんの息子さんも将棋やってましたよね?

谷島

えっ、なんでそんなこと知ってるんですか?

池ノ辺

じゃあ、次回は息子さんと『3月のライオン』を伺いたいと思います(笑)。

(文:モルモット吉田、写真:杉本晴)


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映画『3月のライオン』

漫画家・羽海野チカの大ヒットコミックを、映画『るろうに剣心』シリーズの大友啓史監督と神木隆之介の主演で、【前編】【後編】堂々二部作による完全実写映画化。幼い頃に家族を無くした17歳の将棋のプロ棋士・桐山零。橋を渡った町に住む三姉妹に温かく見守られ、頭脳と肉体と精神のすべてを賭ける棋士たちとの激闘に飛び込む。しかしある事件が、愛する三姉妹を襲う…。闘うことでしか生きられない少年の魂がぶつかり合う感動のエンタテインメント。『君の名は。』の絶好調の神木隆之介を始め、有村架純、倉科カナ、染谷将太、佐々木蔵之介、伊藤英明、豊川悦司などの豪華キャストが結集し、凛々しく、美しく、凄まじい物語を演じ上げる。

監督:大友啓史 原作:羽海野チカ(白泉社刊・ヤングアニマル連載中) 脚本:岩下悠子、渡部亮平、大友啓史

出演:神木隆之介、有村架純、倉科カナ、染谷将太、佐々木蔵之介、伊勢谷友介、伊藤英明、豊川悦司 ほか

【前編】3月18日(土)公開 【後編】4月22日(土)公開 2部作連続・全国ロードショー 配給:東宝=アスミック・エース 公式サイトhttp://3lion-movie.com

PROFILE

■谷島正之(たにしま・まさゆき)

アスミック・エース株式会社 配信企画プロジェクト推進室長、兼コンテンツ事業部・グルーブ長 1967年東京出身。91年にヘラルド・エース、現アスミック・エースに入社。宣伝部に所属し、『海の上のピアニスト』『カルネ』『ザ・リング』『のぼうの城』など、洋画・邦画問わず30本以上の作品を宣伝プロデュース。2007年から製作部に所属し、『きまぐれロボット』(辻川幸一郎/07)、『西の魔女が死んだ』(長崎俊一/08)、アジア圏初のデジタル3D映画『戦慄迷宮3D』(清水崇/09)、ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門正式出品作『鉄男 THE BULLET MAN』(塚本晋也/09)、『ラビット・ホラー3D』(清水崇/10)を製作。共同製作として『さくらん』(蜷川実花/07)『ヘルタースケルター』(蜷川実花/12)。最近では、増田セバスチャン監督による極彩色ミュージカル・ファンタジー『くるみ割り人形』(14)、園子温監督作『リアル鬼ごっこ』(15)、白石和彌監督作『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15)を製作。現在、大友啓史監督との7年越しの映画『3月のライオン』の【前編】が公開中。著書に「3D世紀/驚異!立体映画の100年と映像新世紀」(ボーン・デジタル刊/共著)ほか。

<主な製作作品> 2005年 『大停電の夜に』(05/源孝志監督):アソシエート・プロデューサー / 06年 『デス・ルーム』(06/ジョー・ダンテ、ケン・ラッセル監督他):共同プロデューサー / 07年 『きまぐれロボット』(07/辻川幸一郎監督):企画・プロデュース、『さくらん』(07/蜷川実花監督):アソシエート・プロデューサー / 08年 『西の魔女が死んだ』(08/長崎俊一監督):プロデューサー 、『明日への遺言』(08/小泉堯史):プロデューサー・アシスタント、『グーグーだって猫である』(08/犬童一心監督):共同プロデューサー / 09年 『戦慄迷宮3D』(09/清水崇監督):プロデューサー、『鉄男 THE BULLET MAN』(09/塚本晋也監督):プロデューサー / 10年『ラビット・ホラー3D』(11/清水崇監督):プロデューサー / 11年 『がんばっぺ、フラガール!』(11/小林正樹監督):共同プロデューサー / 12年 『ヘルタースケルター』(12/蜷川実花監督):アソシエート・プロデューサー / 14年 『アラサーちゃん 無修正』(14):企画、『くるみ割り人形』(14/増田セバスチャン監督):プロデューサー / 15年 『リアル鬼ごっこ』(15/園子温監督):プロデューサー 、『リアル鬼ごっこ ライジング』(15/大畑創、内藤瑛亮、朝倉加葉子監督):企画・プロデュース、『女子の事件は大抵、トイレで起こるのだ。』(15/白石和彌監督):プロデューサー 、『さくらん【4K版】』(07/15)『博士の愛した数式【4K版】』(06/15):4K化プロデューサー / 16年 『ハチミツとクローバー【4K版】』(05-06/16):4K化プロデューサー / 17年 『愛のむきだし【最長版 ザ・テレビショー】』(17/園子温監督):企画・プロデュース 、『3月のライオン』(17年/大友啓史監督):プロデューサー

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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