池ノ辺直子の「新・映画は愛よ！！」
Season14 vol.01 アスミック・エース株式会社 配信企画プロジェクト推進室長 兼 コンテンツ事業部コンテンツ企画グループ長 谷島正之 氏
©2017映画「３月のライオン」製作委員会
映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ！！」
今回からは、話題の映画『３月のライオン【前編】』公開を間近に控えたアスミック・エース（株）の谷島正之さんをお迎えして、映画『３月のライオン』について、また谷島さんのこれまでの映画人生から、プロデューサーの信念や想い等、様々なお話を伺っていきます。
- 池ノ辺直子 （以下 池ノ辺）
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谷島さん、今日は忙しい中、ありがとうございます。
谷島さんのことは、かなり前から存じておりましたが、映画の話や人生の話をするのは、これが初めてですね。
よろしくお願いします。
予告編制作では、うちの若手スタッフがお世話になっています。
谷島さんとの予告編制作は、普通の仕上がりじゃダメ。
いい意味で谷島さんを裏切らないと良しとしないから、気を抜けない。
そんな話もしていきたいと思います。
さて、話は変わって、いよいよ明日は『3月のライオン』の初日ですね。
- 谷島正之 （以下、谷島）
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すごいね、MCみたい（笑）。
- 池ノ辺
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今日は最初に『3月のライオン』のお話をお聞きしたいんですが、どうして映画化しようと思ったんですか？
- 谷島
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難しいところからきましたね（笑）。
- 池ノ辺
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前後編で作るということは、「映画化すると大ヒットするだろう」という読みがあったわけですよね？
- 谷島
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そもそも羽海野チカさんが描いた漫画がベストセラーになっていました。
この人は原作の将棋の棋士達と同じで、自分の身を削りながら漫画を描く人なんです。
だから長編は『ハチミツとクローバー』と『３月のライオン』のたった２本しかない。
- 池ノ辺
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『ハチミツとクローバー』は映画にもなりましたよね？
- 谷島
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ウチでアニメもやっているし、実写映画もやってる。
だから、やっぱり羽海野原作にはこだわりたいと僕らも思っていたんだけど、『３月のライオン』はいまだ連載中、未完なんです。
それだけ心血注いで漫画を描く人と対峙するにはそれなりの覚悟がいるなということで、結局７年間やっていたんですよ。
- 池ノ辺
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漫画の連載を？
- 谷島
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いや、映画化しようと企画してから７年。
原作の単行本で第４巻が出た2010年春の時点でやりたいと思ったわけです。
結局、映画が出来た時には第12巻が出ていました。
- 池ノ辺
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それだけ時間がかかっているということですよね。
- 谷島
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第４巻発売の時点で、「物語が途中で終わってしまう映画でもいいから映画化したい」と思ったんです。
それだけ魅力的でした。
たまに、途中で終わっても粋な映画ってあるじゃないですか？
- 池ノ辺
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ありますね。
- 谷島
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そんな感じでもいいから、一人の少年が何か“大きなもの”に気づいて、それでもまだ少年の物語は始まっていない・・・そんな感じの映画を作りたかったんです。
でも、７年もやっている間、企画開発していた間、コツコツと脚本を作っている間に、原作もどんどん積み重なっていって、それじゃあ前後編でやろうかという話になったんです。
第４巻のラストが、ちょうど前編の終わりになりました。
