Jun 15, 2021 interview

2022年公開予定映画『CHERRY AND VIRGIN』に見える映画プロデュースの革新性【佐藤P×川尻監督インタビュー】

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佐藤P「エンドロールにお名前を入れることもできます。」

—佐藤さんがここまで惚れる川尻さんのクリエイターとしての原点に興味があります。どんな幼少期で、どんな作品や人物に影響を受けましたか?

川尻監督:映画は物心ついた頃からずっと見ていますね。幼稚園の頃から映画監督になりたいと言っていましたし。洋画が好きで、ポール・バーホーベン監督や、「スターウォーズ」、スピルバーグ映画など、ハリウッドの黄金期の監督たちを見ていましたね。絵も好きで『AKIRA』を真似したり、漫画も書いていたりしました。アニメに方向性を定めたのは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』で有名になった原恵一監督の影響ですね。昭和に活躍された木下恵介監督の作風をアニメに取り込んでいるような感じで、ちょっと異質といいますか。『河童のクゥと夏休み』などもそうなのですが、人間のダメな部分を描きつつ、そういったものに優しい。それに感銘を受けて、僕もこんなアニメを作ってみたいと思って、アニメの道に進みました。

—今のお話もそうでしたし、先程は『マグノリア』が好きだという話も出ました。『ある日本の絵描き少年』からも感じるところで、根っこに何かを抱えているような人間臭さを感じる物語がお好きですね。

川尻監督:90年代、00年代あたりにあまり有名じゃないかもしれませんが、クウォーキー映画というアメリカ映画のコメディジャンルがあります。ポール・トーマス・アンダーソン、ウェス・アンダーソン、アレクサンダー・ペイン、トッド・ソロンズとか。気まずいオフビートな笑いがあったり、笑えるのか泣けるのか分からないような映画ばかりを思春期に見てたので、多分自分の元ネタはそこですね。そのクウォーキー映画を、自分が日本でアニメ映画としてつくれないかというのがありますね。あまりこの話をしても共感されないし仲間もいないんですけど(笑)。

—共感してくれる方は深いところで繋がれそうですね。

佐藤P:やはり2人でもそういう新しいジャンルの開拓ができたらという話はしていて、その未来に向かって一緒にやってみたいと思ったんですね。

『CHERRY&VIRGIN』
『CHERRY AND VIRGIN』ビジュアルイメージ

—最後になりますが、『CHERRY AND VIRGIN』という作品について、そして現在行われているクラウドファンディングについても映画ファンに紹介をお願いします。

佐藤P:『ある日本の絵描き少年』をご覧いただければ、川尻さんの才能や作家性を理解いただけると思っています。『CHERRY AND VIRGIN』もまたクリエイター2人が主人公で、それぞれ悩みながら葛藤する日々の中、異性と、他者と向き合うことで自身の何かが変化していく様が描かれている普遍的な人間ドラマであり、ラブストーリーです。川尻さんがこれから活躍していく上で、商業映画としての記念すべき第一作目になります。クラウドファンディングではエンドロールにお名前を入れることもできますので、応援してくれる方が10年後20年後も自慢できる作品になると思います。ぜひ、このムーブメントの一端を担っていただけたらありがたいなと思っています。よろしくおねがいします。

川尻監督:要素がまとまらないから映画をつくっているという感覚もあるので、こういうテーマですって断言するのは難しいのですが…僕もそうですが、主人公たちはミレニアル世代で、自分はどこか取り残されたと思っている人たちです。インターネットが得意というほどでもなく、SNSもネイティブではない。そんな彼らが、遅れてきた青春を取り戻そうと奮闘する姿を見てほしいです。あと、彼らが影響を受けてきたサブカルチャーの作品などが、すごい大量に出てきたりします。タイムカプセルみたいにしたかったところもあって、同世代の方たちには特に共感してもらえると思います。

(文・インタビュー:オガサワラ ユウスケ)


『CHERRY AND VIRGIN』支援プロジェクト

前作の短編アニメーションが数多の映画祭で賞に輝き、注目を集める川尻将由監督の初長編となる商業映画デビュー作『CHERRY AND VIRGIN』への支援プロジェクト。
プロジェクト詳細へ(motion-galleryへ)

<支援者への御礼(一部)>
・エンドロールへのお名前掲載
・監督サイン入り原画
・完成披露イベントご招待 etc…

支援者への御礼詳細へ(motion-galleryへ)


『ある日本の絵描き少年』本編

【受賞歴】
・第 74 回 毎日映画コンクール/大藤信郎賞
・第 23 回 文化庁メディア芸術祭/アニメーション部門 優秀賞
・第 6 回 新千歳空港国際アニメーション映画祭/DNP大日本印刷賞、観客賞
・第 29 回 CGアニメコンテスト/優秀賞
・第 40 回 びあフィルムフェスティバル「PFFアワード2018」/準グランプリ、ジェムストーン賞
・第 12 回 小田原映画祭 シネマトピア 2018 / グランプリ
・第 10 回 下北沢映画祭/グランプリ
・第 65 回 TOKYO月イチ映画祭/グランプリ
・第 13 回 那須ショートフィルムフエスティバル 2018 / 準グランプリ、観客賞
・ショートショートフィルムフエスティノくル&アジア2019/ジャパン部門・観客賞
・第 6 回 TOKYO月イチ映画祭グランプリ大会/年間グランプリ
・Cinema on Bayou/Best Animation Award
・Nippon Connection一Japanese Film Festival 2019/出品
・Fantasia International Film Festival 2019/出品
・JAPAN CUTS 2019/出品