Jul 26, 2023 column

第34回:核兵器への脅威と疑問を投げかける ! クリストファー・ノーラン監督 最新作『オッペンハイマー』

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クリストファー・ノーラン監督映画に集まった豪華キャスト

大作『オッペンハイマー』の豪華なキャスティングは、錚々たる実力派俳優で構成されている。主役オッペンハイマー役のキリアン・マーフィーは、ノーラン監督の『ダンケルク』で謎の英国兵を演じていて、監督と同じ英国出身。メソッド・アクターとしても有名で、オッペンハイマー役になり切るために、食事制限を徹底的におこない、妻を演じた女優のエミリー・ブラントに、まさにオッペンハイマーのように「毎日、たばことマティーニだけだったわ」と後日、からかわれたエピソードもある。

同じユダヤ人で、オッペンハイマーをライバル視し、公聴会で原子力委員会の議長ルイス・シュトロースを演じたロバート・ダウニー・Jr. はその見事な変貌ぶりに、思わず目を見入るほど抜きんでた演技で、すでにアカデミー賞助演男優候補としても噂されている。ロバート・ダウニー・Jr. はこの映画の他に、韓国の鬼才、バク・チャヌク監督が話題のベストセラー「シンパサイザー」を原作としたテレビシリーズでも主人公を演じ、作品選びも慎重で、ファンにとっては嬉しいニュースである。

オッペンハイマーを取り巻く、科学者や政治、軍部、さらには女性関係など、複雑な人間関係を中心に描かれたこの映画。ノーラン監督が初めて取り組んだのが、オッペンハイマーを虜にした共産主義者の元恋人との情事のシーン。官能的な恋人の役にフローレンス・ピューが体当たりし、ロマンスもぬかりがないこの映画。ノーラン監督の映画『インターステラー』でおなじみのベテラン俳優マット・デイモンは、秘密の核兵器基地をつくるためのリクルーター、レスリー・R・グローブス准将役で、戦後、オッペンハイマーを貶めるために策略された人民裁判で証言する重要な人物を好演。そのほか、主要な役どころを、ゲイリー・オールドマン、ケネス・ブラナー、マシュー・モディーンなどの懐かしいキャストが脇を固め、若手はラミ・マレック、オールデン・エアエンライク、ジェイソン・クラークなど、力強いアンサンブル俳優の演技は見応えがある。