Nov 25, 2017 column

プラモ業界で起きている「美少女プラモ戦国時代」とは?

A A
SHARE

『艦これ』『ガールズ&パンツァー』などの人気で突如として起こった戦艦、戦車模型ブーム。この数年の模型市場はただでさえ激動であったが、2015年にさらなる大事件となったのがコトブキヤ『フレームアームズ・ガール』の登場と大ヒットだった。これをキッカケに、とにかく今プラモシーンは「美少女プラモ戦国時代」としか形容できないほどに美少女プラモが賑わいを見せている。

「び…美少女プラモ???」模型方面に興味がない人の多くはそう思うだろう。ざっくり説明すれば美少女キャラクターのプラモデルだ。(そのまんまだ!)

アニメに登場する美少女キャラクターの模型というのは古くからある。最初のガンプラブームの時に発売されたキャラクターフィギュアシリーズや、『ミンキーモモ』『うる星やつら』のプラモが出ていたし、80年代にブレイクしたガレージキットという少数生産のアマチュア模型の世界では様々なアニメ美少女キャラクターのフィギュアが生まれてきた。だがそれらは「あくまでラインナップの添え物」的なものか、ファンが満足のいくものではなかったか、価格も入手も製作もハードルが高いマニア向けのものだった。

レタン樹脂で生産するマニア向け少数生産のガレージキットは別として、ことメーカーによる大量生産・市場流通を前提とした“プラモデル”においては、美少女のキットというのはほとんどお目にかかれない物だった。しかし今、それが模型市場を席巻している

この流れを詳細に記せばそれだけで数十ページになってしまいかねないので、あくまで生まれた背景を簡単に説明すると、このムーブメントは2つの流れから生まれている。 1つは前記したガレージキットというマニア向け少数生産のフィギュア模型をルーツとし、00年代前半に生産クオリティのハイレベル化もあって一気にブレイクし始めた完成品フィギュアのブームだ。いまではアニメなどにおけるキャラクターグッズの1つとして認知され、ゲームセンターの景品にもあるくらいなので「美少女フィギュアというものの実物を一度も見たことが無い」という人の方が少ないだろう。

もう1つはこの完成品フィギュアで培われたクオリティを汲んで00年代後半に出始めた新たなアクションフィギュアだ。アクションフィギュアそのものは以前からあったものの、それまではあくまで「おもちゃ」の域を出ていなかった。が、海洋堂が06年にリリースを開始した『リボルテック』シリーズ、続いて08年にマックスファクトリーがリリースを開始した可動フィギュアシリーズ『figma』が流れと認識を大きく変えた。主流であるのは15cmほどのサイズのもの。良く動くし出来がいい。発売されるラインナップもマニア心をくすぐる「欲しい!」と思うものばかり。当初は2000円前後という低価格帯だったこともあり、ホビー市場ではアッという間に大ブームとなった。今ではいくつかのメーカーから出ているが、ラインナップもアニメキャラクターのみならずアメコミヒーローや人気映画のものなど多岐に及んでいる。

こういったアクションフィギュアも含め、完成品フィギュアの多くは基本的にPVC(塩化ビニール)製だ。完成品だから、当然、買ってきて箱から出せばそのまま楽しめる。 「小さい可動フィギュアはPVC完成品」。誰もがそう思っていた中、ここに自分で組み立てるプラモデルで参入したメーカーがあった。コトブキヤだ。同社はそれまでにもアニメなどのロボットのプラモデルを開発・発売していた。そのノウハウを基にアニメやゲームに登場する美少女キャラクターのプラモデル化を開始した。