Oct 05, 2022 news

佐藤浩市×横浜流星×瀬々敬久監督 2人の男の“命を懸けた”戦いの舞台 映画『春に散る』

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■瀬々敬久監督
十代後半から二十代前半にかけて沢木耕太郎さんのノンフィクションの幾つかを夢中になって読んだ経験があります。それらは、「老人と青年」が主人公として描かれ、「命と使命」についての葛藤の物語であり、「永遠と一日」の感受性が、常に描かれていました。老齢に差し掛かってしまった今、もう一度あの時間を『春に散る』を通して生き直してみたいと思っています。佐藤浩市さんと横浜流星さんという二人の役者に託して。
昭和から映画の現場の様々を生きて来た佐藤浩市さんの繊細と豪胆。そして今回は、亡父、三國連太郎さんや息子の寛一郎くんとの実人生も、劇中の横浜流星さんとの疑似父子の中に深い影を落としてくるような気がしています。
一方の横浜流星さんにはずっと以前から注目していました。彼の一本気な眼差しが、現在この瞬間だけを生きようとする若者像にぴたりとはまる気がしています。二人のそういう今の佇まいと立ち向かい方を映画に刻み残していきたいと思っています。そういえば、沢木耕太郎さんの著作のタイトルを思い出しました。『流星ひとつ』、今回のキャスティングもまた、沢木耕太郎さんに導かれたのかもしれません。

■沢木耕太郎(原作者)
〈理想の日々を描く〉
人は、どのように生き切ればよいのかということが心に浮かぶようになったとき、初めて自分はどのように死に切ればいいのかと考えるようになるのかもしれない。私はこの『春に散る』という小説で、ひとりの初老の男に、生き切り、死に切れる場を提供しようとした。それはある意味で、同じような年齢に差しかかった私たちにとって、人生の最後の、ひとつの理想の日々を描くことでもあっただろう。
私は映画の制作スタッフに『春に散る』というタイトルと広岡という主人公の名前を貸すことに同意した。しかし、同時に、それ以外のすべてのことを改変する自由を与えることにも同意した。というより、むしろ、私がその一項を付け加えることを望んだのだ。
文章の世界と映像の世界は目指すところの異なる二つの表現形式である。映画の制作スタッフが、広岡をどのように生き切らせ、死に切らせようとするのか。あるいは、まったく別のテーマを見つけて提示してくれるのか。楽しみにしている。

作品情報
映画『春に散る』

不公平な判定で負けアメリカへ渡り40年振りに帰国した元ボクサーの広岡仁一は、同じく不公平な判定で負けて心が折れていたボクサーの黒木翔吾と偶然飲み屋で出会う。仁一に人生初ダウンを奪われたことをきっかけに、翔吾は仁一にボクシングを教えて欲しいと懇願。やがて2人は世界チャンピオンを共に⽬指し、“命を懸けた”戦いの舞台へと挑んでいく。

監督:瀬々敬久

原作:沢木耕太郎「春に散る」朝日新聞出版刊

出演:佐藤浩市、横浜流星

配給:ギャガ

©2023映画『春に散る』製作委員会

2023年 全国公開

公式サイト gaga.ne.jp/harunichiru