Jan 07, 2020 interview

初期にはホラー寄りの構想も!?『パラサイト』舞台裏をポン・ジュノ×ソン・ガンホが語る

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アカデミー賞への本音は…

――では最後に、『パラサイト』はアカデミー賞にもノミネートされそうですが、授賞式の日はスケジュールを空けてあるんですよね。

ジュノ アメリカの配給会社がスケジュールを管理しているので、そこに任せてます(笑)。でもアカデミー賞のシステムは複雑で、多くの投票者がいるので、どうなるかわかりませんよ。

ガンホ (日本の『パラサイト』のチラシを見て)ここに“アカデミー賞最有力”って、はっきり書いてあるじゃない! 私もそうですが、監督のファンはみんな期待していると思いますよ。カンヌ国際映画祭のパルムドールもそうでしたが、オスカーとなったら、韓国映画では初めてなので大きな喜びになるでしょう。

ジュノ そんなに煽って、受賞できなかったら困るでしょう(笑)。僕の本来の仕事は『パラサイト』を完成させた時点で終わりました。その後のカンヌや、さまざまな賞は“楽しい騒動”として受け止めています。偶然受け取るプレゼントのようなもの。早くその騒動がいいかたちで締めくくられ、製作に戻りたいのが本音です(笑)。

取材・文/斉藤博昭
撮影/名児耶洋

プロフィール
ポン・ジュノ

1969年生まれ、大韓民国・大邱広域市出身。『ほえる犬は噛まない』(00年)で劇場長編デビュー。2作目『殺人の追憶』(03年)は韓国で大ヒットを記録し、構成力が絶賛された。『グエムル‒漢江の怪物‒』(06年)は当時の韓国動員歴代1位のメガヒットを記録。『母なる証明』(09年)は各国映画祭でも高評価を受け、『スノーピアサー』(13年)を経て、Netflixオリジナル映画『オクジャ/okja』(17年)を発表。7作目『パラサイト 半地下の家族』は『母なる証明』以来10年ぶりの韓国映画。満場一致でカンヌ国際映画祭のパルムドールに輝いた。

ソン・ガンホ

1967年生まれ、大韓民国・金海市出身。演劇界で俳優のキャリアをスタートさせ、『豚が井戸に落ちた日』(96年)で映画デビュー。その後、多くの映画に出演し、韓国を代表する俳優に。主な出演作に『シュリ』(99年)、『JSA』(00年)、『親切なクムジャさん』(05年)、『グッド・バッド・ウィアード』(08年)、『渇き』(09年)、『タクシー運転手 ~約束は海を越えて~』(17年)、など。ポン・ジュノ監督とは『殺人の追憶』(03年)、『グエムル-漢江の怪物-』(06年)、『スノーピアサー』(13年)に続いて4度目のタッグとなる。

公開情報
『パラサイト 半地下の家族』

全員失業中、“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。長男ギウは、“高台の豪邸”で暮らす裕福なパク氏の家へ家庭教師の面接を受けに行く。そして兄に続き、妹ギジョンも豪邸に足を踏み入れるが…。
この相反するふたつの家族の出会いは、次第に想像をはるかに超える物語へと加速していく――。
監督・脚本:ポン・ジュノ
出演:ソン・ガンホ、イ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダム、イ・ジョンウン、チャン・ヘジン
撮影:ホン・ギョンピョ
音楽:チョン・ジェイル
2020年1月10日(金)公開
※TOHOシネマズ 日比谷、TOHOシネマズ 梅田で先行公開中
配給:ビターズ・エンド
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公式サイト:http://www.parasite-mv.jp/