ファーストコンタクトの距離感
ーークランクインからグッと仲良くなれたということですが、第一印象はそれぞれいかがでしたか？
平 どうなんですか？(笑)
久保 言ってもいいですか？ 本読みが初めましてだったんですけど、なんかその距離が‥‥(笑)。
平 何笑ってんの？(笑)。
久保 私が着ていた服を見て「これどこの？」って肩をさわりながら言われまして‥‥。”私、仲良くなれないかもしれない”って思っていました。
平 私が距離をグイっと詰めていったからね。本読みの日、控室に入るまでの間、私も”どうやって行こうかな”って、めっちゃ考えてたから。こっちは先輩モードだったから「これ出川さんのパーカー？ すごいかわいいね」みたいな(笑)。
久保 よく覚えてるね。
平 作品以外で会ってたら違ってたよね？ 私もそんなにグイグイ行ってない(笑)。普段だったらそんなことしないです。たぶんルカが、そうさせてたと思います。
久保 私が人見知りなのもあって。すごく話しかけてくれたんですよ。
平 一緒に廊下を歩いていて「どこ出身なんですか？」「あ、宮城です」‥‥終了(笑)。”あ、会話生まれない。どうしよう？”と思っていました。
ーーなるほど、久保さんが第一印象から変わったことありますか？
平 ”ザ・人見知り”といった感じで、コミュニケーションが、あんまり生まれないから、私も”仲良くなれないのかな？”って思っていました。
久保 お互いね。
平 “もうなるようになるか”と思って現場入ったら、しーちゃんが入巣を想像以上に作り上げてきてくれていたので、そこからはずっと先輩後輩みたいでしたね。
だから第一印象とは、だいぶ違います。実はお話好きだったしね。カメラが回ってないところでもずっとしゃべってました。
久保 現場でたいちゃんを見て「あ、先輩だ」って思った瞬間に、不安が全部なくなって入巣として対峙するのが、楽しくなりました。
クランクアップしてから、プライベートで会うようになって、何でも話せて親しみやすい、たいちゃんらしさがどんどんわかってきました。
平 現場でよくしゃべってくれて、話も面白いし。イメージは変わらないですけど、心の開き具合で雰囲気がガラリと違うようになったかもしれないですね。
ーー１カ月もない撮影期間で、役柄と同じように仲の良い関係になれたのは嬉しいですね。
久保 それはもう。
平 1番大きいですね。
久保 クランクアップしてからも、入巣とルカの距離感で関係性が続いている感じですね。
平 もうあれから1年経ったんだね。
久保 っていうぐらい続いてますね。会い過ぎてる(笑)。
ーーこれから劇場に足を運ばれる皆さんに一言、お願いします。
久保 いろんな登場人物がいて、誰かしらの立場や気持ちに対して、通ったことがある道だと感じることが、いっぱいあると思うんですよ。入巣の気持ちを経てルカの道を行った人もいれば、反対もいる。そういう意味では年代問わず見ていただきたいです。
誰もがうまく言語化できない、大学時代という限られた時間の青春物語でもありますが、音楽的な面でもライブシーンとかもすごく素敵なので、ぜひ劇場で体感していただきたい、音を浴びてほしい作品だなって思います。
平 今作で出てくるキャラクターは、みんな癖が強いんです。阪元監督はこの映画をコメディって言っているくらい、意外にクスって笑えるシーンが多いんですね。
だから仕事帰りに、ふらっと映画館に行って「あー、疲れた」って言いながら座って、何も考えずにボーっと観られると思います。
最後のシーンは、観る人それぞれで受け取り方が違うのかもしれないので、皆さんそれぞれの答えを見つけに来てほしいですね。
取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 岡本英理
大学の女子寮で同じ部屋に住む後輩・入巣柚実と先輩・鯨井ルカ。入巣はこれといって打ち込むものがなく、何となく古本屋でバイトする日々を送っている。一方ルカはいつも金欠状態だがインディーズバンド「ピートモス」のギター・ヴォーカルとして、自らの夢を追いかけている。2人は安い居酒屋でダラダラ飲んだり、暇つぶしに古い海外ドラマを観たり…緩くもどこか心地よい日々を過ごしていた。そんなある時、ルカは大手音楽レコード会社から連絡を受け、2人の日常に大きな変化が訪れる。
監督：阪元裕吾
原作：石黒正数「ネムルバカ」(徳間書店 COMICリュウ)
出演：久保史緒里(乃木坂46)、平祐奈、綱啓永、樋口幸平、兎(ロングコートダディ)、儀間陽柄(the dadadadys)、高尾悠希、長谷川大、志田こはく、伊能昌幸、山下徳久、水澤紳吾、吉沢悠
配給：ポニーキャニオン
©石黒正数・徳間書店／映画『ネムルバカ』製作委員会
公開中
公式サイト nemurubaka-movie
