神木隆之介×浜辺美波インタビュー 家族になる、そして生きることの意味 映画『ゴジラ-0.0』
日本に再び巨大な脅威が訪れる。ーー映画『ゴジラ-0.0』は、第二次世界大戦直後の日本を舞台に、「ゴジラ」という災厄と共に生きる人々の物語。今作では、戦争の傷跡と怪獣災害という極限状況の中で、「生きる」ことの意味を見出していく様子が描かれる。
今回、主演を務める神木隆之介さん(敷島浩一役)と浜辺美波さん(敷島典子役)に、続編制作への道のりや作品の裏側について語っていただいた。
特に深く掘り下げられたのは、戦争を生き抜いた登場人物たちの心境の変化だ。「生きてさえいればいい」から、「誰かを守るために生きたい」――その心の変遷が物語の軸となっている。

大ヒット作品の続編として
——『ゴジラ-1.0』の続編である『ゴジラ-0.0』を制作すると聞いたときの気持ちをお聞かせください。
神木 純粋に嬉しかったです。続編に出演できる機会なんて、なかなかないですからね。前作の『ゴジラ-1.0』を撮影していたときは、監督にも続編をやるという構想はなかったので、全員「この1作で終わりだ」という気持ちでやっていました。1作目に関しては、「ゴジラ」という大きな作品を背負うことに、とてもプレッシャーを感じていたんです。今回、「また、あの重圧がのしかかってくるのか」「やはり背負わなければいけないのか」という気持ちも正直ありました。でも、僕自身、敷島のことも作品のことも大好きだったので、嬉しい気持ちの方が上回っていました。
浜辺 前作の撮影中は、まさか続編を作るとは夢にも思っていなかったので、お話を聞いたときは本当に驚きました。また出演できることはもちろん嬉しかったです。でもそれと同時に、1作目は謎を残す部分があったとしても、作品として完結していると感じていたので「続編を作るとなると、物語がどういうふうに展開していくんだろう‥‥」と、漠然とした不安は抱えていました。ただ、脚本を読んだら、とても面白くて。たくさんの方に楽しんでいただける作品になるんじゃないかと思いました。だから、すぐに撮影を楽しみにできるようになりました。

——前作『ゴジラ-1.0』は、第96回アカデミー賞®️で視覚効果賞を受賞しました。周囲の反響なども含め、どのような気持ちで受け止めましたか?
神木 視覚効果賞は、やはり白組さんのVFX技術がすごいので、「さすが白組だな」という心境でした。一視聴者としてニュースを見ながら、監督や白組のみなさんが日本に帰ってきたら、「本当におめでとう」と心から伝えたいなと思っていましたね。それと日本アカデミー賞では最優秀作品賞をいただけて、その貴重な機会に、みんなで壇上に立てたことがとても嬉しかったです。
どの作品も同じなんですが、公開までは「自分たちが世の中にこの映画をどう出せるか」「どう観てもらえるか」という気持ちが強いんですが、公開されてからは、「皆さんが育ててくださる」という気持ちで思いを手放すようにしています。だからまるで他人事のような感覚でしたね。ただ、「すごい映画だな」とは改めて思いました。
浜辺 私も、私たち出演者というより、作品の技術力が本当に素晴らしいと感じました。そして、イベントに参加させてもらったり、白組さんの調布スタジオで朝まで一緒にニュースを見たりと、『ゴジラ-1.0』に出演者として関わっていることで、お祝いの場に一緒に行けたことがとても嬉しかったです。このような機会は本当に少ないと思うので、少しでも携われたことが心から嬉しかったです。

時を経たから描けたこと
——今作『ゴジラ-0.0』を観た感想を教えてください。
神木 確実にパワーアップしています。前作があったからこそですが、白組の気合の入り方も違うなと、とても強く感じました。現場での自分たち俳優の撮影風景は地味なんです。周りに何もないグリーンバックでの撮影だし、お芝居の部分に関しても、「どうやって倒すか」というシーンで感情を揺さぶられる部分はありますが、大きなアクションをしているわけではありません。でも、完成した作品を観ると、たしかに撮影したのは記憶にあるのに、全然違う映画を観ているような感覚でした。純粋に観客として楽しめました。それと、物語のテンポがすごく良かったと思いました。上映時間は2時間を超えていますが、あっという間に感じられる。皆さんに観ていただいても「観やすい」と言ってもらえるんじゃないかなと思います。
浜辺 私も、すごく楽しめる映画だと思いました。撮影中は、自分の出演していないパートはもちろん、ゴジラがいない状態で撮影が進んでいくため、本編を観て、初めてこの映画の世界観を知りました(笑)。それと、今作は「家族」がテーマになっているということも『ゴジラ-0.0』の大きな一つの見どころだと思っています。人間ドラマの要素が前作よりもしっかりと描かれていたのも嬉しかったです。観ていて本当にワクワクしましたし、「これはみなさんに楽しんでいただけるんじゃないか」と思えたので、今回はさらに宣伝にも気合を入れようと思いました(笑)。
——浜辺さんがおっしゃるように、今作では「家族」という一つの大きなテーマもあると感じています。前作での敷島浩一の“生への罪悪感”とは違う気持ちだったと思いますが、神木さんは、今作の敷島をどのように演じられましたか?
神木 同じキャラクターだからこそ、どう前作と変化させようか、どういう表現をしようかと、かなり深く考えました。前作の敷島は「生きていたい」という希望が芽生えた面はありましたが、その根底には「自分は生きていていいのか」という罪悪感のもとで動いていた部分があると思うんです。しかし今作では、行動の原動力が変わっています。それは敷島にとっての成長であり、大きく変化したところだと思いました。最も違うところは、「守るべきもの」が、明確に定まった点だと思います。台本を読んでいて「良かったな、敷島」と思いました。
——前作でゴジラ襲来の被害に遭いながらも生還し、敷島と娘の明子と一緒に暮らしてきたことで、典子にも心境の変化があったかと思います。
浜辺 今作では、名前も敷島典子に無事に変わり、浩さんと戦災孤児の明子と三人で、家族として2年間過ごしてきた時間があります。前作では、時代設定が終戦直後だったので、「生きてさえいれば」「生きてこそ」という言葉が、自然に感じられました。しかし今作では、明子という存在のおかげで「“生きる”ことが必要だ」という気持ちが、一番大切になったように思います。典子自身も、自分の在り方が変わりました。しっかりと家族を営んできた時間を表現できたらいいなと考えて演じていました。



同じ演者と監督の続編だからできたこと
——山崎貴監督から「続編だから、こうしたい」というような話はありましたか?
神木 改めて話し合うようなことは、全くなかったです。「今回は家族ができたから、家族を表現したいなと思っているんだ」と言われたくらいですね。シーンごとに演技指導というか、「もう少しこうしてほしい」という要望はありましたが、全体的に「こういう方向性で」というような話をしたことはありません。それは監督からの僕たちへの信頼の証拠だと感じています。
浜辺 そうですね、監督は、私たちに対してテーマを講義するタイプじゃないんです。ニューヨーク映画祭での取材で、監督のお話を聞いて、「そういうテーマがあったんだ」「そういう意味があったんだ」ということを、そこで初めて知る感覚でした(笑)。
神木 でも、シーンごとに「このセリフを変えた方がいいんじゃないか」と思って相談したことはありました。監督が脚本も書いているので、直接、監督に対して「こう動きたい」「こう言いたい」「しかしこれは(今の敷島浩一では)言えないと思うんだけど‥‥」といったことを、撮影開始前に話させてもらっていました。
浜辺 常に相談できるのは、ありがたいですよね。







——具体的にどのようなシーンでセリフ変更の相談をしたか、覚えていらっしゃいますか?
神木 吉岡秀隆さん演じる野田に敷島が殴りかかるシーンがあります。そこでは元々、過去の出来事を交えながら「こういう事実があったよね?それを繰り返すのか?」のような意味合いのセリフだったんです。前日覚えようとしていて、「すごく言いづらいな」と感じたんです。前作で、野田というキャラクターは、敷島と典子の関係性を近くで見てくれていたわけですから。過去がどうのこうのじゃなくて、「あなたは僕と典子の、僕が典子に対しての気持ちがどれだけのものか、わかっているはず。それなのに、なんでこんなことが言えるんだ?」という感情を込めたセリフに変えてもらいました。ある種メタ的な視点というか、『ゴジラ-1.0』から時間が続いての今、というようなことも表現できるかなと。敷島だったらそう言うだろうなと思ったし、“典子のために、明子のために”という気持ちが一番出るだろうと考え、監督に相談させてもらいましたね。
浜辺 私もそのシーンは特に印象的でした。その後、典子から「私が選んだの」というセリフがあって、典子と浩さんで会話が進むのですが、浩さんから「愛してるんだ」みたいな直接的なセリフがあったんです。私が段取り中に何回も笑ってしまって(笑)。そこをストレートに言い過ぎず、少し柔らかい表現に変更してくださいました。「浩さんは、そんなことを言う人じゃないだろうから」というところもあったので、違和感がなくなったのがとても助かりました。監督も快くOKしてくれていたので、あらためて“良いシーンになっているな”と感じることができました。
ゴジラから感じる安心と高揚
——今作でおふたりが個人的に好きなシーンはありますか?
浜辺 ゴジラの登場シーンが好きです。
神木 やっぱりゴジラのテーマは、改めてすごいなと思いましたね。僕はゴジラ初心者なんですけど、あのテーマソングを聴くと、安心感と同時に高揚感に包まれるんです。ものすごくワクワクします。
浜辺 本当に。「来た!来た!来た!」っていう感覚。特に今回は「ここで来るんだ」みたいなタイミングだったじゃないですか。もちろんゴジラが出るのは当然なんですけど、このタイミングで、あのテーマが流れて、こういう登場なんだというのは‥‥本当にかっこいい。
神木 かっこよかった。あそこは、一番楽しんでほしいところ。
——最後に『ゴジラ-0.0』を観る方へメッセージをお願いします。
神木 純粋にゴジラを楽しんでください。今作だけでも楽しむことができますし、もちろん前作を見ていただけたら、より一層楽しめる作品だと思います。とにかく色んなメッセージが詰め込まれていますし、受け取り方もそれぞれあると思います。でも「まずは純粋に楽しんでほしい」というのが一番です。ぜひ観終わった後に、「やっぱり面白かったな」「楽しかったな」「ワクワクしたな」と思ってもらえたら、とても嬉しいです。あとは”世界の(山崎)タカシ”の世界観を感じていただけたらと思います(笑)。
浜辺 みんなで「前作を超えよう」と取り組んできた作品なので、期待していただけると嬉しいです。色々な考察ができるような作品でもあるので、何度も映画館に足を運んでいただけたら嬉しいですし、ゴジラをさらに深く楽しんでいただける作品じゃないかなと思います。受け取り方によってはメッセージ性があると思いますが、純粋に映画として楽しんでいただけると嬉しいです。本当に、前作以上に楽しんでいただけると思います。まずは、ゴジラに会いに劇場に来てください。
——ちなみに‥‥3作目の可能性はありますか?
神木 監督に「3作目ありますか?」って聞いたんです。「いやいや、本当に今はないよ」と言っていました。でも監督は、だいぶニヤついていましたけどね(笑)。
取材・文 / 小倉靖史
撮影 / 岡本英理


映画『ゴジラ-0.0』
戦争によって「無(ゼロ)」になった日本をゴジラが「負(マイナス)」に突き落とした。──あれから2年。もがき苦しみながらも復興を遂げ、ようやく辿り着いたはずの日常に希望を完璧に打ち砕く、新たな絶望の到達点が襲いかかる。監督・脚本・VFX 山崎貴、アカデミー賞・視覚効果賞受賞。世界が熱狂した『ゴジラ-1.0』のその先へ──。三度目はない。ここで、すべて終わらせる。
監督・脚本・VFX:山崎貴
出演:神木隆之介、浜辺美波、田中泯、吉岡秀隆、山田裕貴、佐々木蔵之介、安藤サクラ、田中美央
配給:東宝
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公式サイト godzilla-minuszero