20年経っても変わらないもの
──テーマは、2017年版と97年版は変わってないんですか?
さっきも話したように、以前は“子供のほうが大人よりえらいんだ“というものでした。が、今回は、観ている十代の人に『あなたたちにはまだまだできることがあるんじゃないの』、『気持ちがあればできるよね、きっと』ということを伝えたいというか、感じてもらいたいということでしょうか。『もっと生きろ』『やりたいことをやってみて』って感じかな……。
──なぜ、そういうふうに思ったんでしょうか。
その話をすると、今の若い者は……という話になってしまいますが、昨今はリスクを侵さない子が増えていると感じます。自分が何をやりたいかということにもあまり興味ないようにも見えます。時代が豊かになり過ぎたのかもしれないですが……。でも私だって、20年前、年上の人から、そう思われていたかもしれません。やる気がないとか、何を考えているかわからないと思われていたかもしれない。でも、そんな私に、NHKの少年ドラマシリーズという球が投げられて、自分ができることを発見していくことに繋がった。だから今回、私も今の子たちに、何か球を投げたいという思いはあります。そういう意味では新作の『ぼくらの勇気 未満都市2017』を放送しますと発表した時、皆さん、わーっと盛り上がってくれたことで、まず、最初の球はちゃんと受け取ってくれていた気がして、嬉しかったですね。
──相当注目されていますよ。
旧作を観ていたという声がネットで多く見られました。覚えていてくれることは、3ヶ月ごとに放送されては消えていくテレビドラマにとっては幸せなことですから、本当にやってよかったんだなと思いました。
──DVDにならなかったので飢餓感もあったと思うのですが、それは偶然ですか。
VHSは出ていたんですよ。ちょうど、ビデオとDVD の切り替えの時期だったんですね。DVD 化されたのは『金田一少年〜』くらいだったと思います。
──これを機に、過去の名作がDVD にならないものでしょうか。ところで、Huluで旧作が配信されていますが、映像がきれいですよね。
あれはリマスターできれいにしてもらったんです。新作の中で、20年前の出来事がフラッシュバックするので、昔の映像を、ソフトの販売元のVAPさんがきれいにしてくれました。
──最近、昔の映像がオンデマンドで見られるようになりましたが、アナログ放送時代のものは粗いものが多い中でーー。
きれいにできるんだって思いました(笑)
──映像の質も含め、当時と今とで、できることとできないことがあると思いますが。
いっぱいありますね。できないことがいっぱいあります。
──さっきおっしゃった表現の部分ですか?
それもそうだし、以前は、危ないことをいっぱいしていました。光一くんを海に落したり、飛んでいるヘリコプターのそばにあんなに近づかせることも今はできないでしょう。トラックの上に張り付いて、侵入するような描写もできないだろうし。公道の使用も、今は無理できない。何より今は、放送日の前日の夕方までに完成した映像を搬入しないといけないのですが、あの頃は、放送の当日まで撮っていました。
──放送当日撮ったのはどこのシーンですか?
9話で、ヤマトが、花のそばで籠城しているシーンですね。
──なんでそんなことになってしまったのでしょうか(笑)
わかりません(笑)
──今回の放送分で、こんなすごいことをしたという場面はありますか。
バスとパトカーのカーチェイスがありまして、それはやっちゃった感満載ですね。あとは、松本くんが大阪弁でまくしたてる場面があります。こんなことを彼にやらせていいのかなっていうようなシーンです(笑)
──主役のふたりは?
彼らとちゃんと膝突き合わせて語ったのは、20年ぶりくらいで。お互い、いまだに大人じゃないので、最初は照れて目を合わせない感じだったのですが(笑)、話しているうちに、ああそういえば20年前もそうでした、この人たちは変わってないなって。
──それがドラマにも生かされていますか。
そうですね。スタッフも出演者も、20年ぶりに会う人が多かったにもかかわらず、全然久しぶりって感じがしないと言っていて。それって、十代の時にすごく濃い時間を共有していたからだと光一くんがいいこと言ってました。光一じゃなくてヤマトが、剛じゃなくてタケルがいるって感じで、不思議と久しぶりという感じはなかったです。