Oct 22, 2026 interview

スティーブ・コックス監督 & マシュー・ウォーカー監督が語る 「人形に残った指紋こそ、僕らの誇り」ーー アードマンのものづくりと作品作りの醍醐味 『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物 !』

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ホラーとコメディの絶妙なバランス

池ノ辺 今回の作品はモンスターが登場したりして、ちょっとホラーテイストのある内容ですよね。そのユーモアと怖さのバランスが絶妙だと思いました。

ウォーカー もちろん、いわゆるホラーっぽい演出とかイメージとか、アイデアはいろいろありましたけど、基本的なアプローチとして、怖がらせることよりコメディを優先しています。何といっても『ひつじのショーン』は小さなお子さんも観てくれる映画ですからね。ですからおっしゃるように、バランスというのは非常に大切でした。

池ノ辺 具体的にはどういうふうにバランスをとっていったんですか。

ウォーカー まず、映画の初めの方で観客にはモンスターの正体がわかるようになっています。ショーンたちは、モンスターと思って怖がっていますけど、観る方は、そのモンスターが誰かを傷つけるようなものではないと最初から安心できる。そういうかたちでバランスをとっています。そうした中に、突然、何かが飛び出す演出や、緊張感のある映像や音というような、ホラー的な要素を差し込んでいます。

コックス ホラー的な要素ということでいえば、僕たちは、ゴシック系かスラッシャー系、みたいな偏りはなくて、とにかくホラー映画史のあらゆる作品が好きなんです。ふたりともこれまで、ハロウィン映画やホラー映画のあらゆる要素を楽しんできましたから。全体としてバランスよくまとまりのあるものになるよう、そうした要素、アイデアを、できる限り柔軟に取り入れて作り上げました。

ウォーカー 最初から、このオマージュを取り入れようとか、このホラーの演出は絶対入れようと決めて作っていったわけじゃなくて、ストーリーを練り上げていく中で、これはここに入れるといいよねとか、これは面白いんじゃないかとか、アイデアがぴったりの場面に自然に収まっていったという感じですね。

池ノ辺 モンスターのデザインはどういったところが気にいっていますか?

コックス 今、ここにあるので見せますね。後ろ姿はこんな感じ。

池ノ辺 これはどれくらいの大きさなんですか?

コックス ショーンと並べるとこんな感じです。

池ノ辺 かなり大きいんですね。ショーンが小さくてかわいく見えます。

コックス モンスターの造形を考えるのはすごく楽しかったです。まず、牧場主と同じサイズじゃなければならない。でもシルエットは特徴的なものにしたい。というわけで、髪の毛を逆立てて上の方にすごいボリュームを持たせることにしました。彼のもみあげがめちゃくちゃ伸びて、頭の上の方まで伸びたという設定です。これによって非常に際立ったシルエットが生まれて、映画史上においてもひときわ輝く存在になりました(笑)。

池ノ辺 素晴らしい。

コックス 同じアードマンの作品では『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』(2005)の巨大ウサギがいますね。あれもシルエットですぐわかります。とにかくこの映画のモンスターも、見てすぐにそれとわかるようなユニークなものにしたかったんです。それでいろいろと試行錯誤して、最終的にこのデザインになりました。いってみれば「歩く巨大な髪の毛の塊」というところですね(笑)。