SNS時代の青島俊作
池ノ辺 今回、『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』が公開されるにあたって、地上波で再放送されたりNetflixでも観られるようになっています。これって、私たちみたいにテレビドラマから観てきた世代が喜んでいるだけかと思ったら、若い世代にも人気があるそうです。上層部との確執の中でも頑張る、というのは今の子たちにも新鮮に受け止められているのかなと思いました。「事件は会議室で起きてるんじゃない、現場で起きてるんだ!」という名台詞もありましたしね。そして、本作のもう一つの特徴を挙げるとしたらスマホ、SNSですよね。
本広 そうなんです。今や、事件の公式の発表よりもネットの方が、情報が早いですからね。犯人特定もSNSの一般の人たちが先に行って、警察が後から行く、そんな構図がある。
池ノ辺 かつては刑事さんたちは、みんなで手帳にメモして、足で歩いて捜査してというのが主流だったイメージがありますが、今は検索してAIにも聞いて、こういう情報がある、みたいな流れが本作にも出てきますよね。そこのところは監督としてはどう思われていたんですか。
本広 「ちょっとよくわからない」で進んでいくことはありますよね。だからセリフにあった「よくわからないで刑事を辞めていく人がいる」っていうのも、わかるような気がする。あそこでは「事件についていけなくなっている人たち」の説明だったんですけど、確かに「よくわからない事件」っていっぱいありますよね。全然関係性が見えない事件も多いから、刑事さんたちは足で調べて予測しながら捜査していくってことがやりづらくなっているんだろうなと思った時に、「だったらもうAI使って、犯罪の確率で捜査していって、防犯カメラの映像からどんどん紐解いていって」という、昔では考えられなかった捜査の仕方が主流になっていくんだと思います。それがどんどん発展していくと、これは不謹慎な言い方ですけど捜査の仕方は面白くなる。今回出てきたようなビッグデータを基にして犯人の行動パターンを探っていくとか実際の捜査でもありそうですよね。

池ノ辺 確かに。そんなふうに変わっていく現場で、青島俊作の立ち位置というのは、監督はどう考えて、織田さんに演出したんですか。
本広 織田さんに言っていたのは「青島はどっちもできる人」ということ。アナログがいいからアナログだけの捜査をやる、これは和久さん (いかりや長介) がそうだった。で、青島は、デジタルもアナログも両方ともいいとこ取りで使える人なんです。だって、青島は (株)シンバシマイクロシステムっていう会社の営業マンをやっていたんですから。でもデジタルが全部でもアナログが全てでもなくバランスよくちょうどその間にいるのが青島だと、織田さんには話しました。一方で、白洲迅くん演じる美浦秋はデジタルでどんどん情報を集めていく。集め方も彼らのやり方で検索もかけていくので、すごく早い。「踊る大捜査線」は、今や両方使えるので、いくらでも面白くできそうだと思っています。
池ノ辺 若い人たちも楽しんでくれているというのは、そういうところでも古くなっていないから、共感できるのかもしれませんね。