Feb 26, 2022 interview

映画業界を目指す人たちへ NCW主宰 武藤起一×フラッグ代表 久保浩章が語る 映画を作り伝えることの大切さ

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池ノ辺 フラッグさんとしては、今はどんなことをやってるんですか?

久保 今は、映画の宣伝に限らず、企業のデジタルマーケティング、デジタルプロモーションの支援をするという事業がまずあって、それといわゆるクリエイティブ制作、映像制作。会社を立ち上げてすぐにやっていたことではあるんですけど、企業プロモーション映像の制作だったり、CMの制作だったりというような。後、ウェブサイトの制作。それからインタラクティブコンテンツといって、例えばARとかVR。ああいう分野のコンテンツ制作もやっています。あとはIP開発みたいなところで、自社で番組とかの企画開発をしたりとか、海外との映画の共同製作だったりとか。ようするに権利を自社で持って、お金を出してというような事業をやっていたりというような感じです。

池ノ辺 それが、久保さんが NCWで勉強してきた映画の配給・宣伝もやられたこととリンクするわけですね。フラッグさんが配給で公開される『ライフ・ウィズ・ミュージック』。これはどんな内容ですか?

久保 アーティストのSiaっていう人の初監督作になるんですけど、ケイト・ハドソン主演で、その妹をマディ・ジーグラ―が演じているんですが、名前を聞いて、あれ?と思う方がいるかもしれません。マディ・ジーグラ―はSiaの「Chandelier」っていうミュージックビデオで一躍有名になった人なんです。マディ・ジーグラ―演じるミュージックという女の子は自閉症で、そのお姉さんのズー(ケイト・ハドソン)とは長らく離れて暮らしていたんですが、ある事情で2人が一緒に暮らすことになる。そこで自分の人生というものをズーが取り戻していくっていう話なんですね。

池ノ辺 なるほど、面白そうですね。では、最後に、お二人から映画業界を目指す人たちに一言ずつお願いします。

武藤 映像で何か自分が伝えたいものがある人が、とにかく1本作るための学校としてNCWはあります。1本作ってみると、自分の持っているものや自分の感じていることや、自分に眠っている才能も見えるし、いろんな世界が見えてくる。そして、宣伝というのは、とにかく面白い作業で、可能性が非常に開かれている。今後ますます宣伝の需要は増えていくと思うので、宣伝にちょっと興味あるなという人も一度来てもらって、本当にやりたいと思ったら、就職に関するサポートも行っているので、まずは一度足を踏み入れてもらえると嬉しいなと思います。

久保 最近私が思うのは、慎重な若い人たちの背中を押してあげる役割を、NCWで果たさなきゃいけないんだろうなと思っています。どうしようか悩んでいる人や、誰かに背中を押してもらえたらなと思っている人ほど、一度足を踏み入れてもらうといいんじゃないかなと思ってます。

池ノ辺 これからの映画業界を作っていくのは若い人たちですので、私も応援させていただきます。

インタビュー / 池ノ辺直子
文・構成 / 吉田伊知郎
写真 / 吉田周平

プロフィール
武藤 起一(むとう きいち)

ニューシネマワークショップ主宰 / 映画ディストリビューターコース ディレクター

1985年より7年間「ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」のディレクターを務める。91年には、映像コンテスト番組「えび天」(TBS系のレギュラー審査員として辛口な批評で定評を得る。その後、「神戸国際インディペンデント映画祭」のディレクターなどを経て、日本の新しい映画状況を切り拓くための様々な活動を展開。
97年に「ニューシネマワークショップ」を開設し、98年には劇場用映画『アベックモンマリ』を、2001年に『とらばいゆ』をプロデュース。その後、NCW製作・配給の劇場用映画として『アニムスアニマ』(03)、『非女子図鑑』(08)、『サビ男サビ女』(10)などをプロデュース。

久保 浩章(くぼ ひろあき)

ニューシネマワークショップ代表 株式会社フラッグ代表取締役

1979年6月18日徳島県生まれ。東京大学経済学部卒業。在学中の2004年1月に設立(2001年3月創業)し、代表取締役就任。2001年には自身もNCWのディストリビューターコースに通い、映画業界のいろはを学ぶ。2016年4月1日、NCWと経営統合しその運営を担い、自身もNCWで講師を務めている。フラッグでは映画のオンラインプロモーションやソーシャルメディアマーケティングを中心に担当し、最近は映画買付や配給、国際共同製作にも取り組んでいる。

映画学校 ニューシネマワークショップ(NCW)について

ニューシネマワークショップ(NCW)は東京都新宿区早稲田町にある、映画業界に携わる人材育成を目的とした映画学校。運営は株式会社フラッグ。1997年に開校以来、映画制作のノウハウを教える「映画クリエイターコース」、配給・宣伝を教える「映画ディストリビューション」の2つのコースのほかに、映画俳優をめざす人のための短期集中の俳優ワークショップも開催している。2022年で26年目を迎え、映画監督は50人以上、宣伝・配給をはじめ映画業界へはこれまでに500名以上 のOBを輩出している。

公式サイト ncws.co.jp

作品情報
映画『ライフ・ウィズ・ミュージック』

アルコール依存症のリハビリテーションプログラムを受け、孤独に生きるズーは、祖母の急死により長らく会っていなかった自閉症の妹・ミュー ジックと暮らすことに。頭の中ではいつも音楽が鳴り響く色とりどりの世界が広がっているが、周囲の変化に敏感なミュージックとの生活に戸惑い、途方に 暮れるズー。そこへアパートの隣人・エボが現れ、優しく手を差し伸べる。次第に3人での穏やかな日々に居心地の良さを覚え始めたズーは、孤独や弱さと向き合い、自身も少しずつ変わろうとしていくが‥‥。

監督・製作・原案・脚本:シーア

出演:ケイト・ハドソン、マディ・ジーグラー

配給:フラッグ

© 2020 Pineapple Lasagne Productions, Inc. All Rights Reserved.

公開中

公式サイト  lifewithmusic.jp

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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