Feb 26, 2022 interview

映画業界を目指す人たちへ NCW主宰 武藤起一×フラッグ代表 久保浩章が語る 映画を作り伝えることの大切さ

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NCW ×フラッグ経営統合の理由とは?

池ノ辺 今日、武藤さんと久保さんのお二人に来ていただいたのは、武藤さんが立ち上げたNCWに久保さんが通ったから、というだけじゃなくて、その後も関係があるからなんですね。

武藤 2010年ぐらいだと思いますが、本当にもうデジタルなしでは映画宣伝ができないぞっていう感じになってきた。ところがうちで教えている講師にはそういう専門家が一人もいない。そろそろネットを活用した映画宣伝を教えられる人が必要なんじゃないかなと思うようになったんです。それで(うちで唯一創業時から講師をやってもらっている)P2(ピー・ツ―)の照本(良)さんに、「誰かネットを活用した宣伝を教える講師いませんかね?」って話をしたら、「久保がいいんじゃないか」と言われて。

池ノ辺 武藤さんは、久保さんの仕事をどうご覧になってたんですか?

武藤 NCW出身で会社を作った人は何人もいるんですよ。でも、やっぱりなかなか厳しいと聞くので、心配な部分もあるわけですよね。だから、最初は本当に大丈夫なのかな?と思ってたんだけど(笑)。でもフラッグはどんどん大きくなっていって。

池ノ辺 2016年にフラッグさんと、NCWが経営統合したわけですが、これはどういう経緯ですか?

武藤 最初にNCWを立ち上げた頃は、すごく好調だったんですが、2000年を過ぎたぐらいから、なかなか定員が埋まらなくなった。まあ期によって違いますが、やっぱり山と谷が繰り返す。うちは元々、竹平と私で経営をやっていたんですが、入ってくる収入というのは授業料だけなんです。最初の10年は、それでもやれていたんですよ。2000年代になってくるとミニシアターはどんどん衰えて、受講者もすごく濃い映画ファンは減ってくる。そんな時代の変化の中で、[みせる]コースは、初期の自分で買い付けて配給するというよりも、就職のためのコースっていうふうに転換していったんです。

池ノ辺 個人で買い付けてミニシアターで公開するというビジネスモデルが、あまりウリにならなくなってきた時代になったわけですね。

武藤 NCWがもうすぐ20年というところまで来たときに、このまま経営的に続けられるんだろうかと考え始めたわけですね。本来は、自分はもっといろいろ儲けることを考える立場なんですけれども、20年近くやって来ると、他のことで何か稼ぐとか、そこまでしてやりたくない――まあ、いろいろやってきたのでね。もう私がやりたいこと、やれることは、もうこれだけだって感じになってなってきちゃった。

池ノ辺 最初はやりたいことの1つだった学校が、今は武藤さんにとって、一番やりたいことになったわけですね。

武藤 新しい人材を育てて世に出すということが、自分に唯一できること。そうするとやっぱり、今の体制の中で経営を継続的に成り立たせるというのは、非常に難しいんじゃないかと。そうすると、どこか一緒にやってくれるところを探したほうがいいんじゃないかというところで、一番最初に思いついたのが、フラッグの久保さんだったわけです。