映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」
今回は第90回アカデミー賞ノミネート作品のどの作品が何賞を受賞するのか?映画愛溢れるフジテレビのアナウンサー笠井信輔さんが、アカデミー賞の行方を大胆予想していきます。
- 池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)
-
今回は、第90回アカデミー賞の予想をしてもらおうと思います。
実は笠井さんは、いつもアカデミー賞の予想をしてメールで配っているんですよね?
- 笠井信輔 (以下、笠井)
-
あれ?何で知っているんですか。
- 池ノ辺
-
以前、私宛のメールに、笠井さんからアカデミー賞予想が来ていたんですよ。
- 笠井
-
そうか、『銀幕会議』で池ノ辺さんに会った時に貰ったアドレスに送ったんでしょうね。
- 池ノ辺
-
その時のメールを見直したらね、2つダメだったけど他は当たりましたって書いてましたよ。
- 笠井
-
毎年、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のステージで、作品、監督、主演男優、主演女優、助演男優、助演女優の主要6部門の予想プレゼンをしてきました。
それを、知人にメール配信してたんです。
けっこう当たる方なんです。
- 池ノ辺
-
では、今年は何が獲ると思いますか。
- 笠井
-
現時点で、作品賞は『ダンケルク』『ゲット・アウト』『シェイプ・オブ・ウォーター』『スリー・ビルボード』『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』『僕の名前で君を呼んで』の7本!
あと2本観ていないんだけど、『ゲットアウト』なんて超面白いわけ。
だけど構えとしてはアカデミー賞まではいかない。
そう考えると……。
- 池ノ辺
-
『レディ・バード』は観ました?
これは突然現れましたよね。
今、うちの若いスタッフが予告を作っているんですが、すごく良いの。
- 笠井
-
それまだ観てません。
『レディ・バード』で主演女優賞にノミネートされているシアーシャ・ローナンは、去年『ブルックリン』で主演女優賞を逃してる。
そう考えると今度は獲らせてあげたいという思いがアカデミー協会員の中に生まれてきて、票を集める可能性もありますよね。
何にせよ、今年は女性の年なんですよ。
- 池ノ辺
-
そうそう、監督賞ノミネートのグレタ・ガーウィグも女性です。
- 笠井
-
去年はトランプ大統領のことがあって差別ということに関してものすごい色んな動きがあった。
で、差別を扱った“黒人ゲイ映画”の「ムーンライト」に票が集まり、作品賞に輝くという流れが生まれたと思ってます。
今年はセクハラ問題で非常に蠢いていることに意識が働いて、女性映画が有利かなとも考えるんですが、アカデミー協会は女性会員が少なくて、男の会員の方が多いんですよ。
それで、男たちが女性の考え方を汲んだ投票行動に出れば、『レディ・バード』が一気に上がってくる気がするわけです。
あと、『ダンケルク』はとてつもなくよく出来ていて、芸術的にもレベルの高い作品なんですよね。
でも、公開が早かったせいか、下馬評でそんなに上がってきていない。
- 池ノ辺
-
『ダンケルク』は作品としてどうでしたか?
- 笠井
-
僕は一回目観たときに全然わかんなかった。
つまり、「ダンケルクの戦い」のことを知らないから。
ヨーロッパの人は、フランスの地で起きたイギリスVSドイツの「ダンケルクの戦い」のことをよく知ってるので、何の説明もなく楽しめる。
でも、欧米人に説明なく「関ケ原の戦い」見せて、さあ、小早川が裏切った~!ってやっても、「は?」でしょ(笑)。
舞台のドーバー海峡だって、これはどこの海?みたいな感じですもん。
人、場所のスーパーひとつ出しませんから、ノーラン監督は。
- 池ノ辺
-
そうですね。
背景を知らないと分からないですね。
- 笠井
-
後半になると何となく分かってきて。
でも、とにかく、画と音の迫力が凄い。
戦場の中に居るような体感ムービーであることは間違いない。
だけど、今ひとつ腑に落ちないから、色々調べて劇場でもう一回観た。
そうしたら最高でした。
流石、クリストファー・ノーラン監督だなと思ったんだけれど、一回観て分かんない映画ってなると、作品賞としてはどうか。
- 池ノ辺
-
『ダンケルク』は宣伝が非常に上手かったですよね。
うちの売れっ子の男性スタッフが予告編つくってます。
かなりのタイプの宣伝映像を作ってましたね。