Jul 28, 2017 interview

第5回:予告編とは、いかにしてその作品の良さを素直に伝えるか、に尽きる。

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池ノ辺直子の「新・映画は愛よ!!」

Season16  vol.05 株式会社バカ・ザ・バッカ 創立メンバー 小松敏和 氏

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映画が大好きで、映画の仕事に関われてなんて幸せもんだと思っている予告編制作会社代表の池ノ辺直子が、同じく映画大好きな業界の人たちと語り合う「新・映画は愛よ!!」

株式会社バカ・ザ・バッカの創立メンバー、小松さんとの対談もいよいよ今回が最終回。40年間この仕事に関わってきた経験から、予告編とは、そして映画とは何かを語って頂きます

→前回までのコラムはこちら

池ノ辺直子 (以下 池ノ辺)

さて、バカ・ザ・バッカの創立メンバー、映画予告編ディレクターの小松さんのお話を伺うのも、今回が最後になります、特別企画なのでね。

もっと話すことはいっぱいあると思うけど、改めて、40年間、予告編に携わってきての感想と言いますか、これからの映画でも話しますかね。

小松敏和 (以下、小松)

僕が前の会社に入るとき、周囲の人からは「映画産業はもう斜陽だから、映画に携わる仕事はやめた方がいいんじゃないか」って言われたんです。

でもね、それから40年。テレビの興隆やSNSやネット産業の興隆などいろいろあって、ずっと、「映画は斜陽」と言われ続けて、未だにそういうことを言われることもあるし、僕自身、「映画の仕事がいつなくなってもおかしくない」と思いながらやってきたけど、でも、やっぱり映画はたくさん作られていて、予告編の仕事もまだなくなっていない。

そういう意味では、不思議な業界だし、不思議な仕事だと思いますね。

池ノ辺

これから、映画製作も、映画の見方も違ってくるでしょうね。

今、どんな職業もAIにとって代わられるという話で持ち切りだけど、予告編業界にも、編集ソフトの登場で、誰でも予告編を作れちゃう時代が来るかもしれない。

小松

どうだろう。

AIに人を感動させる予告編が作れるかな。

池ノ辺

たぶん、これは 編集ソフトが作ったもので行きましょうとか、ちゃんと予告編チームに作ってもらおうとか、予算に合わせて作ることになるんじゃないかと思っています。

私としては、バカ・ザ・バッカはできるだけ存続させて、映画に関われる、映画が大好きな人たちが集まった会社でいたいなと思っています。

だから、50年周年には「映画は愛よ!」の法被を着て、また一緒に写真を撮りましょう。

小松

それもすごいな~

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池ノ辺

さて、このシリーズの最後に、みなさんに聞いている質問ですけど、小松さんにとって、映画ってなんですか?

小松

自分にとっては「無くてはならないもの」。

僕は実家がないので、退職して、戻らなくていいので、今、どこに住もうかな、物価の安い田舎に行こうかなとか、いろいろセカンドライフについて考えているところなんですけど、でもやっぱり、映画館のない場所には行きたくない。

今後、映画の仕事に関わるかどうかは別として、やっぱり映画を見るのが楽しみだし、映画館がないと、何をすればいいのかわからない。

池ノ辺

じゃあ、小松さんが移り住む場所に私が映画館を作るから、小松さんに支配人になってもらおうかな。

小松

それもいいな(笑)。

それと、一つだけ予告編について言っておきたいことがあるんです。

予告編を作る時に、いろんな人がいろんな意見を予告編ディレクターに言ってくるでしょ。

そのとき、一番困るのが、宣伝部の意向と違う要望を、監督さんとかが言ってくること。

例えば映画の主題とかを予告編に入れてほしいと。

でも、宣伝部からしたら、映画のテーマは映画を見て感じとってほしいことで、そういうメイン料理を予告編で出すのではなく、まずはオードブルのように、いかに、この映画が面白い素材でできているかを見せるのが予告編の役割だったりするんです。

映画を作った人からすると、「長い映画の中の、なぜ、このショットを予告編で使うんだろう?」と不満に思うこともあるだろうけれど、でも、本当においしいところは劇場で見る人のためにとっておくことが肝心だし、時には、映画のテーマとは違うところを強調して興味を惹くことも必要なんです。

重いテーマを隠して、感動的な話に見せかけたり。

だから、監督さんとかの意見は聞かない方がいいと思って、ずっとそう言っていたんですけど、最近になって、それは思い上っていたと反省したんです。

池ノ辺

あら、なにがあったんですか?