Oct 08, 2026 interview

滝藤賢一インタビュー 三國連太郎の1枚の写真が導いた、家族のもとを去る父の役作り 映画『遥かな町へ』

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――滝藤さんはご家族を大事にされていて、お子さんとの時間も大切にされていますよね。映画を観る時間も作るし、仕事もするし、子どもとの時間も作っていますし。

僕には家族と仕事しかありませんから。それ以外はありませんから(笑)。だからシンプルでとってもいいんです。食うために働いて、家族で食事をする。この【与志雄】のような家族の団らんが僕の幸せです。多くを語らず、子どもを信じて、干渉せずみたいな感じで。でも【与志雄】はふらっと居なくなるんですよ。こんなに幸せな家庭があるのに。

大事なことだけを子どもに伝えて。この映画でもそんな台詞がありましたよね。「大切なものを探すために人間は生きているんだ」と、後は健康で人に迷惑をかけなければOK。

――お酒を飲んだ息子に対して、話すシーンも印象深かったですね。

「母さんが心配するぞ」って、怒っていましたね。そうだと思うんです。「ママを心配させるな」はあるかもしれない。若いうちに限度を超えない程度のいけないことや駄目なことを経験することも大事なことだと思っています。でもお母さんを心配させないこと。

――滝藤さんには沢山の出演オファーが来ると思います。作品選びで大切にしていることは何ですか。

マネージャーさんです (笑)。僕は台本を頂いても決まるまで読まないです。もちろん「打ち合わせをしたいので読んでください」と言われれば読みますけど、台本を頂いてもマネージャーさんが前向きに考えているということでなければ読まないです。だって、読んでしまうとやりたくなるから。だからマネージャーさんに委ねています。あまり作品選びに自分の意見は言わないです。マネージャーさんが「面白い」「やった方がいい」と言うものをやる感じです。やりたいものは「やりたい」とすぐ言いますけど。今作もすぐに「やります」と伝えました。

――それは何故ですか。

だって僕は錦織監督のファンですから。しかもまさか声を掛けて頂けるとは思ってもいませんでした。これまで僕がやってきた芝居と錦織監督が撮ってきた芝居は、全然質が違うと感じていましたから。ご縁を頂いたことに感謝です。錦織監督は地域に根付いた作品を撮られています。その土地の水を飲み、その土地の空気を吸う。その土地の食べ物を食べ、その土地の方達とコミュニケーションをとる。今回はその機会をいただきました。セリフや表情で説明することは一切ない。オーバーな芝居はしない共通認識のもとでやらせてもらいました。なんて幸せな現場なんだと思いました。

だって僕を呼んでくださるということは、“何か奇を衒ったことをやって欲しいのかな?”とか。“何か突拍子もないことをやって欲しいのか?”とか、つい勝手に思ってしまう性分なんです。僕はこの世界でそうやって生きてきましたから。自分で選択して。あれがあったから今の僕があるんですけどね。

――以前、竹中直人さんも同じ様なことを仰ってました。

そうですか。みなさん色々思うところがあるのですね(驚)。

――自分がキャスティングされたら、“そうかな?”と思ってしまうと。

あのよく分からないサービス精神を捨てたいです。「もう、俺はやらない」と言いたいんですけど、「やって」と言われてしまうとやっちゃうんですよね。だから、そうでない現場をマネージャーさんが選択してくれているんです。