Sep 30, 2026 interview

宮澤美保 × 平野ノラ インタビュー それでも、この映画を届けたかった――深川栄洋監督と貫いた思い 映画『あなたの息子ひき出します!』

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映画『白夜行』(2011)や『神様のカルテ』を始め、多くのヒット作を手掛けてきた深川栄洋監督がオリジナル脚本で自主製作で映画を完成。それが宮澤美保さん主演、平野ノラさん俳優デビュー作となった『あなたの息子ひき出します!』という作品です。子育てをしながら男性専門のひきこもり支援を行う主人公【小林典子】が出会った人たちに手を差し伸べる姿から、果たして断罪が正解なのかを問う衝撃作となっています。実はスポンサーが撮影一ヶ月前に降りてしまい、監督自身が私財を投じ、尚且つクラウドファンディングも行って制作費をまかなった作品。それでも大森南朋さんや天海祐希さん、柄本明さん、江口のりこさん、石崎ひゅーいさん、生瀬勝久さん、西岡徳馬さん、かとうかず子さん、そして2025年に亡くなった吉行和子さん他が出演するなど豪華な顔ぶれになっています。

今回は本作の主演であり、プロデューサーとしても名を連ねる深川監督のパートナーである宮澤美保さんと、本作で【小林典子】の家で住み込みで働くことになる【橋本由梨】を演じ、俳優デビューを果たした平野ノラさんに映画に賭けた想いを伺います。

――宮澤さんは製作からずっと関わって脚本も読んできましたが、撮り終えていかがでしたか。

宮澤 実はラストが大きく違ったんです。

平野 そうなんですよ。私が最初に頂いた台本も完成した作品とラストが違いました。〇〇〇〇で終わる予定だったんだと思います。だから衝撃でしたね。

宮澤 でも初稿はもっと衝撃でしたよ (笑)。ノラちゃんのキャスティングが最初に決まったから脚本の変化も分かったんだね。

――つまり宮澤さんと深川監督の間では、早くから「平野ノラさんを共演者に選ぶ」と決まっていたのですね。

宮澤 そうです。家で深川とノラちゃんのDVDを観ていて、「私に無いものをいっぱい持っている平野さんがいいぞ」と二人の間で意見が一致しました。

――平野さんがこの映画に出演しようと思った理由を教えて下さい。

平野 最初にお話を頂いた時に、深川監督には私は演技が上手くないですよ、とかそんなお話を全部したんです。「映画には錚々たるメンバーが出演されるのに、足をひっぱるようなことは出来ません」とも伝えたんです。そうしたら「全然上手くなくていい、そのままでいいから。僕を信じてやってくれたらいいから、僕が全部の責任を取るから」と監督が仰ったんです。その言葉を聞いて“この監督だったら本当に身を任せられそうだし、人柄が本当に好き”と思って安心出来ました。それで“胸を貸して頂いて、やらせて頂こう”という感じからのスタートでした。深川監督は作品への熱意と想いに溢れていて「テレビで見たことのない平野ノラを見せたい。僕は」とまで仰って頂いて。その時だけはちょっと声が大きかったです (笑)。

宮澤 本当? いつも小さい声なのに!? へぇ珍しいね (笑)。

平野 はい。そこからは、本当にいつも声が小さくて、全然聞こえない感じで‥‥。ご飯を食べに行っても、本当に小さな声で話されるんですよ。撮影中、何を仰っていたのか分からなかったけれど、聞き直せない雰囲気だったので「分かりました」と答えてしまった時も実はありました(笑)。演技指導の中でこれはいけないと思いつつも。

―― (笑)。キャスティングも「この人しか出来ない」と思える納得の演技でこだわりを感じました。特に宮澤さんが演じられた【小林典子】という役は何層にもなった役で衝撃で、これは演じるのが難しかっただろうと思いましたがいかがでしたか。

宮澤 そう言っていただけると嬉しいです。こんなに難しい役は初めてです。だから【典子】が出かける時にカツラをかぶるんですけれど、それが私の中でのチェンジポイントでした。最初、台本を読んでこの役を作る上ですごく悩んでしまって、クランクイン前にリハーサルをした時は、全然普通の『宮澤美保』だったんです。たぶん、皆が“どうなるんだろう?”と思っていたと思います (笑)。でもある時、家でカツラをかぶってみたら“【典子】になれるかもしれない”と思ったんです。そこから何か【典子】が出来た感じです。