Mar 16, 2017 interview

プロであるために必要なことは? 神木隆之介×ぼくのりりっくのぼうよみ対談

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主人公・桐山零との共通点、相違点

 

──中学生でプロ棋士としてデビューした零について、同じく長く芸能界で活躍して来られた神木さん、10代前半の頃から音楽づくりを始めて高校在学中にメジャーデビューしたぼくりりさんから見て、どんな男の子に見えますか?

神木 かっこいいですし、憧れます。これは僕が零を演じる上で苦労した点でもあるのですが、彼は大人しいように見えるけど、全然大人しくないんです。どちらかというと攻撃的ですし、根性もある。生きるために将棋を始めてプロになって、自分の居場所を見つけて。対局相手はみんなプロだから、中学生ながらにして、自分もプロでなくてはいけなかった。そこには覚悟もあるし、柔らかそうな雰囲気を持ちながらも実はすごい男気があるところがかっこいいなと。

 

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──演じる上でも大切にした思いですか?

神木 そうなのですが、だからこそ難しくて。大人しくなかったら零ではないけれど、大人しすぎてしまうのも役作りの上で目標にしているところとは違いますし。零本人も自分をそんな風には思っていないんです。彼がそう映るのは、抱えている孤独が影を落としているのかなって。原作を読んでも、零って表情がコロコロ変わるんです。怒ったり、ツッコミを入れたり、ニコニコしたり楽しい性格の人なので、演じる上では難しさもあったけど、そういうところが好きです。対局の心構えから学べたこともたくさんあります。

ぼくりり 演じる人から見たらそうなんですね。僕は、客観的に見た立ち位置や見え方という部分では零とリンクする部分があるのかもしれないけど、実際は明確に違うと思っていて。零には将棋しかなかったけど、僕にとっての音楽はただの趣味で、誤解を恐れずに言えば何でもよかった中でたまたま音楽が拾われて、気づいたらここにいたんです。だから、そういう覚悟や、これしかないんだっていう強い気持ち、必死さや誠実さは持っていないので、そこは良し悪しの問題ではなく、違う点。ひとつしかないって、僕にはとても危うさを持っているように見えるんです。そのひとつのものだけに突き動かされて、いつ倒れるのかわからないギリギリ感、映画『3月のライオン』では零のそういう側面を神木さんがフィーチャーしているように見えて。将棋しかない人の持つ焦燥感みたいなものが感じられて、とにかくかっこよかったです。

 

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