日本時間1月23日22時30分、第96回米アカデミー賞ノミネート作品が発表された。この記事では作品賞にノミネートされた10作品をまとめて紹介。昨年の2023年に公開され、すでに配信で鑑賞できる映画から、これから劇場公開が控えている作品まで、幅広い作品がノミネートされた。
日本国内で特に注目を集めているのは、視覚効果賞の『ゴジラ-1.0』、国際長編映画賞の『PERFECT DAYS』、長編アニメ映画賞の『君たちはどう生きるか』のノミネート。注目の授賞式は、日本時間3月11日に行われる予定。
01. Best pictures 米アカデミー賞 作品賞ほか最多13部門ノミネート
『オッペンハイマー』
クリストファー・ノーランが‟原爆の父”オッペンハイマーの苦悩を描く
2023年7月11日 パリにてワールドプレミア 全世界興行収入:952,908,650ドル (2024年1月22日時点)
アメリカ政府の原爆開発チームを率いた物理学者ロバート・オッペンハイマーの伝記を『ダークナイト』『ダンケルク』などのクリストファー・ノーランが実写映画化。公開当初より批評家を中心に高評価を集め、興行的にも成功している。
本作は、第96回アカデミー賞においては、作品賞ほか、監督賞、主演男優賞(キリアン・マーフィー、助演男優賞(ロバート・ダウニー・Jr.)、助演女優賞(エミリー・ブラント)、脚色賞、編集賞、撮影賞、作曲賞、美術賞、音響賞、衣装デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞の、今回最多、計13部門ノミネートを果たした。クリストファー・ノーランとしては初の監督賞受賞にも期待がかかる。
あらすじ
世界の運命を握ると同時に、世界を破滅する危機に直面するという矛盾を抱え1人の男の知られざる人生を、IMAX撮影による没入感と共に描き出す壮大な実話ドラマ。
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2024年 3月29日(金)日本公開
監督、脚本・製作:クリストファー・ノーラン/原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン/出演:キリアン・マーフィー、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr.、フローレンス・ピュー、ジョシュ・ハートネット、ケイシー・アフレック、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー
02. Best pictures 米アカデミー賞 作品賞ほか10部門ノミネート
『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
スコセッシ×L・ディカプリオ 愛と裏切りのサスペンス超大作
2023年5月20日 第76回カンヌ国際映画祭にてワールドプレミア 全世界興行収入:156,375,741ドル (2024年1月22日時点)
米国で1920年代に起きたアメリカ先住民族虐殺の内幕を描く、超大作サスペンス。油田の利権をめぐり、オクラホマ州で暮らしていた先住民族たちが虐殺された史実を、巨匠マーティン・スコセッシが映画化した。
第96回アカデミー賞では作品賞、監督賞(マーティン・スコセッシ)、主演女優賞(リリー・グラッドストーン)、助演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)、撮影賞、編集賞、衣装デザイン賞、美術賞、作曲賞、歌曲賞の計10部門でノミネート。中でも先住民の女性として初めてゴールデングローブ賞主演女優賞(ドラマ部門)を受賞したリリー・グラッドストーンがアカデミー賞初受賞なるか、注目が集まる。
あらすじ
地元の有力者である叔父のウィリアム・ヘイルを頼ってオクラホマへと移り住んだアーネスト・バークハート。アーネストはそこで暮らす先住民族・オセージ族の女性、モリー・カイルと恋に落ち夫婦となるが、2人の周囲で不可解な連続殺人事件が起き始める。町が混乱と暴力に包まれる中、ワシントンD.C.から派遣された捜査官が捜査に乗り出すが、この事件の裏には驚愕の真実が隠されていた‥‥。
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2023年10月20日 日本公開
監督:マーティン・スコセッシ/出演:レオナルド・ディカプリオ、ロバート・デ・ニーロ、ジェシー・プレモンス、リリー・グラッドストーン、タントゥー・カーディナル、カーラ・ジェイド・マイヤーズ、ジャネー・コリンズ、ジリアン・ディオン、ウィリアム・ベルー、ルイス・キャンセルミ、タタンカ・ミーンズ、マイケル・アボット・ジュニア、パット・ヒーリー、スコット・シェパート、ジェイソン・イズベル、スターギル・シンプソン/配給:東和ピクチャーズ/
公式サイト https://kotfm-movie.jp/ 配信中 AppleTV+
03. Best pictures 米アカデミー賞 作品賞ほか、7部門計8ノミネート
『バービー』
誰もが知る‟バービー”人形を通して社会の歪みを見つめ、未来へつなぐ希望の物語
2023年7月9日 ロサンゼルスにてワールドプレミア 全世界興行収入:1,445,638,421ドル (2024年1月22日時点)
「バービー」人形初めての実写映画は、北米、欧州などを中心に大ヒット。商業的成功だけでなく、グレタ・ガーウィグ監督や、彼女とともに脚本を担当したノア・バームバック、プロデュースも務めバービー役も演じたマーゴット・ロビーを中心に、内容面でも批評家たちから高評価を得た。
この度、第96回アカデミー賞においては、作品賞、助演男優賞(ライアン・ゴズリング)、助演女優賞(アメリカ・フェレーラ)、脚色賞、美術賞、衣裳デザイン賞、歌曲賞(ビリー・アイリッシュ「What Was I Made For?」/ライアン・ゴズリング「I’mJust Ken」)の7部門8ノミネートを果たした。第2の主人公とも言える、‟バービーのボーイフレンド”・ケンを見事に演じきったライアン・ゴズリングが、助演男優賞のみならず、歌曲賞でもノミネート。一方、グレタ・ガーウィグ(監督賞)、マーゴット・ロビー(主演女優賞)はノミネートには至らなかった。
あらすじ
すべてが完璧で、毎日がハッピーな夢のような世界、バービーランド。ピンクに彩られた世界で暮らす住人は皆が“バービー”であり皆が“ケン”と呼ばれている。そこでバービーと恋人のケンが連日繰り広げるのはパーティー、ドライブ、サーフィン、デート!そんな完璧な毎日が続くバービーランドからある日ふたりは、完璧とは程遠い“人間の世界”(リアルワールド)に迷い込んでしまう‥‥。
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2023年8月11日 日本公開
監督・脚本:グレタ・ガーウィグ/出演:マーゴット・ロビー、ライアン・ゴズリング、シム・リウ、デュア・リパ、ヘレン・ミレン/配給:ワーナー・ブラザース映画 ©2023 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
公式サイト warnerbros.co.jp/barbie/ 配信中 U-NEXT など
04. Best pictures 米アカデミー賞 作品賞を含む、計5部門ノミネート
『The Holdovers(原題)』
クリスマス休暇中の全寮制学校を舞台に、帰省せず残った者たちを描く人情喜劇
2023年10月27日 米国初公開 全世界興行収入:26,260,865ドル (2024年1月22日時点)
アレクサンダー・ペイン監督が、第77回アカデミー賞で脚色賞を受賞した『サイドウェイ』と同じく、ポール・ジアマッティとタッグを組んだ味わい深いコメディ作品。
第96回アカデミー賞においては、作品賞のほか、主演男優賞(ポール・ジアマッティ)、助演女優賞(ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ)、脚本賞、編集賞の5部門でノミネート。アレクサンダー・ペイン監督は惜しくも監督賞にはノミネートされなかったが、ノミネート発表直前の主要賞レースの1つであるクリティクス・チョイス・アワードでは主演男優賞、助演女優賞ともに受賞を果たしており、アカデミー賞受賞にも期待が高まる。
あらすじ
舞台はマサチューセッツ州の雪積もる寄宿学校。歴史の教師ポールは、学長の頼みも聞き入れない頑固な中年男性。最高寄付金納付者だろうが、そのバカ息子には容赦なく最悪の点をつける。ある意味、昔ながらの芯の通った教師なのだが、その融通の効かない性格は生徒だけでなく、教師仲間にも嫌がられ、クリスマスに行き場のない生徒たちの面倒を見るはめになる。
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日本公開未定
監督:アレクサンダー・ペイン/出演:ポール・ジアマッティ、ダヴァイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ © 2023 FOCUS FEATURES LLC.
05. Best pictures 米アカデミー賞 11部門ノミネート
『哀れなるものたち』
胎児の脳を移植された女性が自我に目覚めていく、女性版‟フランケンシュタイン”
2023年9月1日 第80回ヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア 全世界興行収入:33,890,673ドル (2024年1月22日時点)
自殺を図った若き女性が、マッドサイエンティストの手によって胎児の脳を移植され、新たな人生をスタートさせる。第91回アカデミー賞において『女王陛下のお気に入り』で作品賞、監督賞にノミネートされたヨルゴス・ランティモスが、同作にも出演したエマ・ストーンと再タッグを組み、スコットランドの作家アラスター・グレイの傑作ゴシック小説を映像化した。
第96回アカデミー賞では、作品賞ほか、監督賞(ヨルゴス・ランティモス)、主演女優賞(エマ・ストーン)、助演男優賞(マーク・ラファロ)、脚色賞、撮影賞、編集賞、衣裳デザイン賞、メイクアップ&ヘアスタイリング賞、作曲賞、美術賞の11部門でノミネートを果たした。事前の賞レースで多くの受賞を手にしているエマ・ストーンの主演女優賞にも注目が集まるが、作り込まれた世界観は圧巻で、美術や衣装関連の賞の受賞にも期待したい。
あらすじ
自ら命を絶った不幸な若き女性ベラが、天才外科医ゴッドウィン・バクスターの手によって奇跡的に蘇生することから始まる。蘇ったベラは“世界を自分の目で見たい”という強い好奇心に導かれ、放蕩者の弁護士ダンカンの誘いに乗り、壮大な大陸横断の冒険の旅へ出ていく。やがて貪欲に世界を吸収していくベラは、平等と自由を知り、時代の偏見から解き放たれていくのだった。
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2024年1月26日 日本公開
監督:ヨルゴス・ランティモス/原作:アラスター・グレイ「哀れなるものたち」(早川書房)/出演:エマ・ストーン、マーク・ラファロ、ウィレム・デフォー、ラミー・ユセフ ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン ©2023 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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