Jun 04, 2017 column

アニメビジネスの先進的なチャレンジにテレビ業界は何をみるか?

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長年、放送番組制作に携わってきた中で、時々不思議に思うのが「TV番組としてのアニメ」の特殊性だ。その特殊性とは、ほかならぬ「製作費」である。あくまで「TV番組」として考えた時、深夜1時過ぎに放送されている30分番組で1千万円以上の製作費がかかる(かかってしまう)のは、間違いなくアニメだけだ。

民放地上波に限って言えば、ドラマ、バラエティ、情報番組、ほとんどのTV番組の製作費は放送される時間帯や視聴率といった条件が大きく反映される。ゴールデンタイムと深夜帯では、深夜番組の方がもちろん製作費ガクッと下がる。当然、その低い製作費にあわせて番組が作られる。かかる手間を予算に合わせるわけだ。

でも、予算に合わせるというのは世間の多くの職種においても同様だろう。利益が出なければ事業を続けられないことになってしまう

一方、アニメは何時台で放送している作品であっても、大概においてかかる手間は変わらない。いや、変えようがない。だから製作コストも大きく変わらない。だが、それでも製作費がギリギリだと言われ続けているのがアニメの難しいところだ。アニメはどうしても製作にお金がかかる。そこで、この20年ちょっとは製作委員会方式による資金集めが増えてきた。いくつもの会社が出資することで、お金を集め、なおかつ1社で行うリスクを分散させるわけだ。

この、どうしてもかかってしまう製作費の回収(リクープ)手段として、アニメにおいて長年主力であったのがビデオソフトの販売だ。ビデオテープ、LD、DVD、Blu-ray。特にLD以降は高画質化もあってコレクターズアイテムとしても需要が高まり、僕もソフトを揃えた好きな作品がいくつかある。しかし近年、アニメ市場において、このソフトパッケージの売り上げが減少していることが言われてきた。 日本動画協会が公開している「アニメ産業レポート2016」という統計データにおけるアニメビデオパッケージ市場の数字を見ると、2002年からの調査でピークだったのは05年の1,388億円。それがその後はゆるやかに下がり続け、15年には928億円になってしまった。こういう状況もあり、近年のアニメを取り巻く諸々を見ていると、新たなリクープ手段を開発・開拓するべく様々な試みがされていることがわかる。配信の本格化もその1つだろう。