平成キングギドラはメカにもなるし、正義の味方にもなる
『ゴジラ』(84年)から始まる平成ゴジラシリーズの『ゴジラVSキングギドラ』(91年)では、キングギドラのルーツが描かれる。といっても、平成ゴジラシリーズのストーリーでは、最初の『ゴジラ』(54年)以外の作品はなかったことになっているので、『三大怪獣 地球最大の決戦』~『ゴジラ対ガイガン』のキングギドラとは別物のキングギドラと考えたほうがいいだろう。別物ということもあって、可愛らしい愛玩動物がキングギドラになるという驚きの展開があるだけでなく、何とサイボーグ化されたメカキングギドラまで登場! ゴジラに吹き飛ばされた首1本と翼を機械化し、首の付根に操縦室が設けられ、中川安奈演じる未来人エミーが搭乗して操縦するのだ。メカキングギドラは人類の味方としてゴジラと戦い、機械のマシンハンドでゴジラを拘束するなどサイボーグならではの戦いを見せる。
『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』(01年)に登場するキングギドラも人類の味方という立ち位置だった。本作に登場するゴジラには黒目がなく白目の凶悪な顔で、見る者の感情移入を一切拒絶する恐ろしい存在。そんなゴジラに、日本を守る“護国聖獣”である、キングギドラ、モスラ、バラゴンが立ち向かう。『三大怪獣 地球最大の決戦』のキングギドラ対3怪獣という構図が、ゴジラ対3怪獣という形に変わっているのだ。絶望的な強さを誇る本作のゴジラにあらがうキングギドラが格好よすぎる!
『シン・ゴジラ』公開まで長らくゴジラ映画の文字通り最終作だった『ゴジラ FINAL WARS』(04年)では、ラスボス的存在としてキングギドラの亜種のカイザーギドラが登場。ゴジラ映画史上最多となる計15体の怪獣が登場する本作でラスボスを務められるのは、バージョンアップしたキングギドラしかいない、ということだったのだろう。『三大怪獣 地球最大の決戦』のキングギドラが身長100メートル、体重3万トンだったのに対して、カイザーギドラは身長140メートル、体重10万トンと超巨大になり、そのパワーでゴジラを圧倒した。
2017年より三部作で公開された劇場用アニメ『GODZILLA』の最終章『GODZILLA 星を喰う者』(18年)にもキングギドラは登場している。第2作『GODZILLA 決戦機動増殖都市』(18年)においてメカゴジラが都市の形で描かれたように、キングギドラも従来とは違った姿で現われてゴジラを苦しめる。
亜種カイザーギドラとアニメ版も含めると、計8作でキングギドラはゴジラと戦っている。勝敗をつけづらい戦いもあるが、あえて独断と偏見でカウントすると、両者は8作で10回戦い、9勝1敗でゴジラが大幅に勝ち越している。ただし、ゴジラは他の怪獣と組んでいることが多いので、この数値でゴジラのほうがキングギドラより強いと判断するのは早計だろう。今回の『キング・オブ・モンスターズ』での両者の戦いがどんな結果を迎えるのか、楽しみにしていただきたい。
文/武富元太郎
『GODZILLA ゴジラ』から5年後の世界を舞台に、復活した神話時代のモスラ、ラドン、キングギドラらの怪獣たちとゴジラの戦い、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする未確認生物特務機関モナークの活躍を描く。単なる伝説にすぎないと思われていた古来の圧倒的な力を持つ生物たちが再び目覚め、世界の覇権をかけて争いを始めた時、全人類の存在すらもが危ぶまれてゆく――。
監督・脚本:マイケル・ドハティ
脚本:ザック・シールズ
出演:カイル・チャンドラー、ヴェラ・ファーミガ、ミリー・ボビー・ブラウン、サリー・ホーキンス、渡辺謙、チャン・ツィイー ほか
配給:東宝
2019年5月31日(金)公開
© 2019 Legendary and Warner Bros. Pictures. All Rights Reserved.
公式サイト:https://godzilla-movie.jp/
<東宝DVD名作セレクション>:2000円(税抜)
<東宝Blu-ray名作セレクション>:2500円(税抜)
発売中
東宝
©2014 Warner Bros. Ent and Legendary.