これからドラマはSNS とどうつきあっていくべきか
前回、取材してもらったとき、SNS文化になってから、僕にとってのはじめての朝ドラですね、と聞かれて(講談社現代新書「みんなの朝ドラ」に収録)、それはそうだなと思ったんですね。だから、放送に対するリアクションは、大筋に生かすことは無理だけれど、みなさんが引っかかりそうな部分は、できる範囲でケアしていこうという意識はどこかにありました。そのほうがお互いにノンストレスだろうなと思って。
──『ひよっこ』が、ってことではないですが、最近は、ドラマや映画の宣伝の方やプロデューサーの方もSNSをチェックしている方が増えている気がします。
やっぱり目の前に生の声があれば気になりますからね。でも過渡期なんでしょうかね。作り手としたら、生の反応を見たら、視聴者がこういうことに反応するんだってことがわかるし、それをすぐにフィードバックすることはなくても、脳にはきっと体験として残っていくでしょうね。それをどう捉えるかですよね。ひたすら怒られないようにしようとするとしたら、なんのために創作をしているんだってことになるし、とはいえ、今後、そういう反応とつきあっていくことは必然で、どうつきあいながら、ドラマを作っていくかが課題になるでしょうね。僕は、放送後だけじゃなくてオンエア中、怖いけど時々SNS を見るようにしました。観た瞬間の感想を知ることは、それまでなかったので新鮮でしたね。ここでカチンと来るんだとか、急に書き込みが停まる瞬間などがあることが面白かった。もちろん、100%その瞬間の感情かはわかりませんよね。人に向けて書いているものだから。ずっと見ていると一日が終わっちゃうので、毎回見ていたわけではないし、アカウントももってないから交流もできませんが。でも、見ていて、何人かの方は、心の中で友達だなって思った人がいます(笑)。単に褒めてくれているからじゃなくて、この人たちのコメント、なんか好きだなあって思う人が。多分これからもドラマ書くときに、あの人気にいってくれるかなぁと思うんじゃないかな。そういうのって素敵な出会いだなと思いましたね。
撮影 / 江藤海彦
岡田惠和(Yoshikazu Okada)
1959年2月11日、東京都生まれ。脚本家。90年にデビュー、94年『若者のすべて』で、連続ドラマで初のオリジナル作品執筆、以後、人気ドラマ、映画の脚本を数多く手がける。主な作品に、連続テレビ小説『ちゅらさん』『おひさま』、『ビーチボーイズ』『彼女たちの時代』『銭ゲバ』『最後から二番目の恋』『泣くな、はらちゃん』『スターマン・この星の恋』『さよなら私』『ど根性ガエル』『奇跡の人』、映画『いま、会いにゆきます』『阪急電車 片道15分の恋』『県庁おもてなし課』『世界から猫が消えたなら』、舞台『スタンド・バイ・ユー〜家庭内再婚〜』『ミッドナイト・イン・バリ』など多数がある。向田邦子賞、橋田壽賀子賞などを受賞。NHK—FMで『岡田惠和の今宵、ロックバーで、〜ドラマな人々の音楽談義』のパーソナリティーをつとめている。『奇跡の人』は平成28年度、文化庁芸術祭賞大賞を受賞した。
10月からは『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』(テレビ東京)が放送、12月、映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』が公開予定。
連続テレビ小説『ひよっこ』
連続テレビ小説『ひよっこ』(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)
脚本:岡田惠和 出演:有村架純ほか 全156回
最終回は、9月30日(土)