Oct 02, 2017 column

『ひよっこ』ロスなあなたに。脚本家・岡田惠和氏に、あの疑問、この疑問を聞いちゃいました!その3

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──全体的にほのぼのした中に、戦争もそうですが、養子だとか愛人だとか、さりげなく重い話が入ってきますね。

朝ドラで、昔の話を書くと、ほんとはそういうところがあるとはいえ、ヒロインが結婚した相手に二号さんがいるっていう話は、いまの時代、書きづらいですよね(笑)。でも、そういうところはかすかに書きたいというのがありました。

──白石さん、岡田さんが最近、ドラマにどんどん出されています。

元は河野(英裕)組(ドラマプロデューサー)ですから。『すいか』(03年 日本テレビ)から、河野さんが白石さんをテレビに引っ張り込んで、僕は『泣くな、はらちゃん』(13年 日本テレビ)ではじめてご一緒して、その後、NHKの『奇跡の人』(16年)でも。今回、河野さんには仁義は切りました。白石加代子朝ドラ計画についてどう思いますか? と聞いたら、「朝の顔にしてやってください」というメッセージを頂いて。ひょっとしたら河野さんも『フランケンシュタインの恋』(17年4月期の日本テレビのドラマ)に白石さんを出したかったかもしれないけれど……。光石研さんはどちらにも出ていましたね(笑)。

──話を、少々戻しますが、昼ドラの『やすらぎの郷』(テレビ朝日)にも“節子”という重要な人物がいました。

それはたぶん、あの時代にいた女性の名前として何かわかる気がするんですよ。

──原節子ですか?

原節子かはわからないけれど、なんか、節子さんってたぶん、いまの人と違って、どこかでヒロインの名前になりえる、いい印象なんだと思います。

──上品で……。

ちょっと悲しげで美しいっていう。例えば、“リカ”っていうと、活発な女性像を思い浮かべるようなものですよ(笑)。

──登場人物の名前によって、その時代がわかるかもしれませんね。

 

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終わらない話が書きたい

──話し辛い話題だと思うのですが、『ちゅらさん』は9.11、『おひさま』は3.11があって、『ひよっこ』では、北朝鮮からミサイルが飛んで、ドラマが2回も休止になりました。

最初に休止になったときは、きつかったですね。いつJアラートが鳴るかわからない状況で朝ドラは放送されているんだなと思いました。ただ、昼の放送の視聴率が倍くらいになって、朝を楽しみにしてくださっている人が、わざわざ昼に観てくれているんだってわかって嬉しかったです。朝より昼観るほうが大変じゃないですか。

──9.11は日本時間で夜だったから、翌朝は放送されたんですよね。

中止になるかもしれないって言われましたが、結局、前後はすべてニュースで『ちゅらさん』だけやっていて、でも、ずっとツインタワーの映像が画面の片隅に映っているっていう、こんな状況で、やって良いんでしょうか…? と思いました。『おひさま』のときは、震災の余震がまだあったので、大きな速報が画面に同時に3つ出て、井上真央ちゃんのカラダの一部しか映ってなくて。不謹慎とは思いながら、けっこう重要な回で、いい芝居していたのになあ……ってことがありました。

──テレビドラマは時代と共にあることを感じさせられます。

有事には、テレビドラマは飛ぶのだってことは、理屈ではわかっていますが、堪えますね。ドラマを作っている人間として、これが続くとドラマが作れなくなることがある、それはどうしようもないってことは思います。