2016年を振り返ったときのアニメニュースは誰にもわかりやすかった。 『君の名は。』の空前の大ヒット、そして口コミでから広がった『この世界の片隅に』『聲の形』など、興行結果や動員数といった数字で説明できるトピックスが大きなウェイトを占めていたからだ。新たな作り手たちが大きな評価と認知をされた年であった。
では2017年は何だったのだろう?ということを考えていると、
一般社団法人日本動画協会の「アニメ産業レポート2017」では、2016年のアニメ産業市場(ユーザーが支払った金額を推定した広義のアニメ市場)は2015年の1兆8,255億円よりさらに伸び、ついに2兆円を超えたそうだ。しかしながら、かつて出資とリクープにおいての要でもあったソフトパッケージ販売に関しては、14年以降徐々に下がってきている。
では、今後のリクープ手段をどこに見いだすことを踏まえた上で製作への投資をしていくのか?いや、そもそも誰が投資していくのか?はここ数年たびたび話題となる。 そしてその“誰か”として注目されているのがソーシャルゲームやサービスの事業者、海外を主とした配信事業者だ。実際に視聴者としてアニメを見ていてもこのことは感じ、大きな変化が明確に起こり始めているのだと思う。この製作の変化が大きくなってきたことが2017年を通して僕が感じた最大のことだった。 ソーシャルゲーム原作の作品は近年増え続けてきた。それゆえ事業者の製作への参入の増加もいまさら驚きは無い。だが最近は「ソーシャルゲーム原作作品」ではなく「ソーシャルビジネスそのものがアニメ製作に関わる」ことも増えてきた。12月にはミクシィが製作し発表した新作オリジナルアニメ中編『いたずら魔女と眠らない街』の再生数が公開早々に300万回を超えたことが話題となった。SNS「mixi」が失速した後はソーシャルゲーム『モンスターストライク』の運営元としてそちら方面が主力となっていたが、一方で『モンスト』のオリジナル作品の配信などアニメ分野にも取り組んできていた。それがここにきてのオリジナルアニメへの挑戦だ。 細かい部分でも、作中で現実にあるソーシャルメディアが大きく登場する作品もいくつか目にした。スポンサーにも製作委員会にも名が入っていないので実際にどれくらい関わっているのかはわからないのだが、これまでこういったものは「似てはいるが別の物」が登場することが多いので少々意外であると同時に、もしかしたら何らかしらの参入が始まっているのかもしれないという印象も受ける。(実際のコンビニが協力のかたちで作中に登場するようなものなのかもしれないが)
そしてもう一つ、とにかく目が離せないのは配信事業者と中国だ。