Dec 21, 2019 interview

「いつもあまり自信がないんです」―神木隆之介、芸歴24年でも失わない謙虚な姿勢

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役作りにも影響、新海作品との最初の出会い

――では最後に、これまで神木さんが影響を受けたとか、ご自身のルーツになっているようなエンタメ作品を教えてください。

新海誠監督の『秒速5センチメートル』(07年)で、もう何十回も観た作品です。過去を引きずっていたりとらわれている人ってすごく儚い。行き場のない感情にもがいている人って儚くて消えちゃいそうで、この作品ではその姿が美しく見えてしまったんです。中でも僕は主人公の貴樹くんにすごく憧れていました。

――どんな点に憧れがあったんですか?

すごく人間味があるんですよね。僕自身、陰があったり、闇を背負っているような役を演じる時に、貴樹くんみたいな儚さを表現できたらいいなと思っていたんです。だから役作りでもすごく影響を受けているキャラクターです。

――作品を知ったきっかけは?

高校生くらいの時かな、ちょうど『言の葉の庭』(13年)公開の時に、『秒速~』がレンタルショップに並べられていて。僕はアニメが大好きなので、画がきれいな作品だなと思って『秒速~』のDVDを手に取ったんです。その時、新海誠監督の名前を覚えて、『秒速~』と一緒に『ほしのこえ』(02年)とかのほかの過去作も全部借りて一気に観てファンになりました。もちろんその後、『言の葉の庭』を観に行ってハマりました。

――その後、新海監督の『君の名は。』(16年)では主人公の声をやることになるわけですから、運命的ですね。

本当にアニメが好きで良かったなと思います。アニメが好きじゃなかったら新海さんのことを知らないで生きていたかもしれないですし、出会ってもなかっただろうし。『バクマン。』(15年)の時に、(東宝のプロデューサーの)川村元気さんに「新海誠作品は絶対観た方がいい!」ってすごく言われていたのを思い出します。その時、僕はもうファンだったんですけどね(笑)。

取材・文/熊谷真由子
撮影/三橋優美子

プロフィール
神木隆之介(かみき・りゅうのすけ)

1993年生まれ、埼玉県出身。1999年、ドラマ『グッドニュース』で本格的にデビュー。その後、映画、ドラマなど数々の作品で活躍。近年の主な出演作に、映画『バクマン。』(15年)、『君の名は。』(16年)、『3月のライオン 前編/後編』『メアリと魔女の花』(17年)、『フォルトゥナの瞳』『天気の子』(19年)、大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』(19年)など。現在、舞台『キレイ―神様と待ち合わせした女―』に出演中。2020年は『ラストレター』(1月17日公開)、『連続ドラマW 鉄の骨』(4月放送開始)が待機している。

公開情報
『屍人荘の殺人』

神紅大学のミステリー愛好会に所属する葉村譲(神木隆之介)と明智恭介(中村倫也)は学内の事件を推理する自称“ホームズ”と“ワトソン”。しかし葉村はミステリー小説オタクなのにまったく推理が当たらない万年助手。事件の匂いを嗅ぎつけては首を突っ込む明智に振り回される日々を送っていた。ある日、二人の前に謎の美人女子大生探偵・剣崎比留子(浜辺美波)が現れ、ロックフェス研究会の合宿への参加を持ちかける。部員宛てに謎の脅迫状が届いたこと、去年の参加者の中に行方知れずの女子部員がいることを伝え、葉村と明智の興味をひく。向かった先は山奥に佇むペンション“紫湛荘(しじんそう)”。しかし葉村たちは想像を絶する異常事態に巻き込まれ、立て篭りを余儀なくされる。一夜が明け、ひとりの惨殺死体が発見される。それは死因もトリックもすべてが前代未聞の連続殺人の幕開けだった――。
原作:今村昌弘『屍人荘の殺人』(創元推理文庫刊)
監督:木村ひさし
脚本:蒔田光治
出演:神木隆之介 浜辺美波  葉山奨之 矢本悠馬 佐久間由衣 山田杏奈 大関れいか 福本莉子  塚地武雅 ふせえり 池田鉄洋 古川雄輝 柄本時生  中村倫也
主題歌:Perfume『再生』(UNIVERSAL MUSIC)
公開中
配給:東宝
©2019「屍人荘の殺人」製作委員会
公式サイト:https://yokoso-shijinsou.jp/

書籍情報
『屍人荘の殺人』今村昌弘/創元推理文庫刊