- 柴田：
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それでさっそく、ラジオののど自慢番組に挑戦したんだけど結果は鐘2つ。カン、カーンって（笑）。それで、あ、俺には才能がないなって即諦めちゃった。そうしたら先生が卒業前に、「歌がダメなら、歌舞伎をやれ。歌舞伎の台詞は“歌うが如く”」って言ってくれたんだよ。
- 古川：
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柴田さんと言えば歌舞伎というイメージなんですが、そのきっかけは先生が作ったんですね！
- 柴田：
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そうなんだよ。「昔から、“歌は語れ、台詞は歌え”と言うんだ」とも教えてくれたな。
- 平野：
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すごく良い言葉ですね。たしかに歌謡曲は3分間のドラマ、なんて言いますもんね。
- 柴田：
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歌手が役者でも成功することが多いのも、そういうところに理由があるんだろうな。まあ、とにかくそこから中学、高校と歌舞伎を続けて、さて、大学をどこにしようかと考えたら日芸しかなかったというわけ。当時、歌舞伎を教える大学は3つしかなかったからね。
- 古川：
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残りの2つはどこの大学ですか？
- 柴田：
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学習院と早稲田。ただ、どっちも俺のキャラじゃないだろう？（笑） 当時の日芸は学業二の次って具合だったから居心地は良かったよ。
- 古川：
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あの、僕も日芸出身ですが・・・二の次ですか。まぁ、否定はしませんが（笑）。
- 柴田：
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今は偏差値が高く超難関なんだって？ びっくりだよな。
- 平野：
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もうちょっと大学に入る前の話を聞かせてください。中学・高校ではどんな舞台をやられていたんですか？
- 柴田：
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中学で最初にやった舞台は『同志の人々』。これをやらせてもらうために、中村勘三郎さん（17代目）にご挨拶に行ったんだよ。中学生が一升瓶持ってよろしくお願いいたしますって。
- 平野：
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中学生が仁義を切りに行ったんですか？ さすがは浅草の職人さんの血筋ですね！
- 柴田：
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勘三郎さんも、面白いヤツだと思ってくれたらしくて、その後もとても良くしてもらったな。日芸の卒業公演では『勧進帳』をやらせてもらったんだけど、それがなんと松竹全面協力。スタッフ全員、松竹から派遣されてきてたんだよ。衣装も、尾上松緑（2代目）さんのものをそのまま使わせてもらってるからね。
- 平野：
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ええーーっ、そんなことがあるんですね!!
- 柴田：
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それで松竹創業者の大谷竹次郎会長が学生から歌舞伎役者を輩出しようって「学士俳優」という仕組みを始めてね。俺も日芸を卒業したら関西歌舞伎に就職することになったんだ。
- 古川：
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それまでの歌舞伎は一子相伝で外部には門戸を開いていませんでしたよね？ それを変えるきっかけの一つを作ったというのはすごいなぁ。
- 柴田：
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ところが、卒業する前にその関西歌舞伎が潰れちゃってね（笑）。宙ぶらりんになっちゃった。
