Feb 18, 2020 interview

官能小説を大胆に映画化、三島有紀子が映画『Red』で描く“選択”と“生き方”

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原作者・島本理生からの言葉

――家族に愛されて育ち、一流商社で真面目に働いている真は、妻・塔子の変化していく気持ちを理解できていないんじゃないでしょうか?

たぶん、最初はそうでしょうが離れていっているのは感じていたと思いますね。ラストシーンの塔子の姿を見て、真は塔子という一人の人間をようやく理解したと思います。もともとは塔子のことが好きで結婚していたわけですから、自分が塔子と向き合っていなかったことに最後に気づいたんじゃないでしょうか。間宮祥太朗くんが演じた真は、決して悪い男ではありません。彼の生きている世界では常識人だし、彼なりに塔子を愛し、彼なりによき父、よき夫をやっていたはずなんですが、塔子の求めていたものではなかった。同時に彼の求める女性像、妻像、母像が塔子を苦しめていくことになった。そのことに最後に気づいた。女性がいかに多面的な生き物であるかを、ようやく理解したのではないかと。「真はここからきっといい男になるな」と思いながら、間宮くんを撮っていました(笑)。

――塔子の一人娘・翠役の女の子がすごく可愛い。その分だけ、ラストの塔子の選択は衝撃的でした。

翠役を演じた小吹奈合緒ちゃん、夏帆さんによく似ていて、可愛いんですよね。想像力のあるとてもいい女優さんです。たしかに、子どもの視点から見れば、塔子はひどい母親でしょうね。トラウマになって、一生忘れることができないと思います。でも、翠が大きくなって本当に好きな人と出会った時に、母・塔子の気持ちが理解できるかもしれない。それでも、やはり塔子のことを拒絶するかもしれない。映画の中の塔子の選んだ選択は、決して正しいわけではありません。世間的には許されない選択をしてしまう、どうしようもない女です。でも、彼女が内なる声に耳を傾けて歩き始めた瞬間でもあるんです。私自身も塔子の生き方を間近で見て、何を選んで生きていくべきか見つめ直したいなと思いました。映画をご覧になった方たちが自分にとって一番大切なものは何か、何を愛して生きていくのか考えるきっかけになればと思います。

――ラストシーンも含め、原作から思い切った脚色を加えている映画『Red』ですが、原作者の島本さんもすでにご覧になっていますか。

はい、島本さんから直接「小説とは異なるラストが、もっとも素晴らしいと感じた」と言っていただき、その後文章でとても素敵なコメントをいただきました。「誰のものでもない“私”をどう生きていくかが、この作品の本当のテーマだった。そして映画では、その主題が美しい映像と共により鮮烈に映し出されていたことに、深く感銘を受けたのだった。」と島本さんはコメントを寄せてくださり、嬉しかったですね。映画『Red』の公式サイトに、島本さんのコメントの全文が掲載されているので、ぜひ読んでみてください。

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