Apr 25, 2017 interview

ベテラン殺陣師、辻井氏が語る木村拓哉主演『無限の住人』の撮影裏と三池組の凄み

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現場を引っぱり続けたのは、やっぱりあの人!

 

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──『無限の住人』は二刀流の万次をはじめ剣豪たちはそれぞれ変わった剣術や得物を操りますが、その点での苦労はありました?

いや、アクションコーディネーターとしては戦い方のバリエーションが増えるので、やりやすかったですね。ただ刀と刀で斬り合うだけだと型が決まってしまいますから。武器が違えば、戦い方も変わります。それに木村さんは本当に器用な方なんで、僕らより巧みに武器を操ってみせるんです。木村さんは手を覚えるのも早く、その場で手をつけていく間に覚えてしまうんです。特殊メイクで片目だし、怪我もして大変だったのに、初めての時代劇だった杉咲花ちゃんたちを気遣って、常に現場を引っ張っていました。そんな木村さんが相手だったので、やはり時代劇は初めてだった福士蒼汰くんはプレッシャーを感じていたと思うし、福士くんは誰よりも稽古を重ねていましたが、木村さんが遠慮なくバチバチバチッ〜と来てくれたことで、彼も必死になって立ち向かえたんだと思いますよ。満島真之介くんも初めての立ち回りで、木村さんとの殺陣シーンがあったので前日に僕と満島くんで稽古をしていたんです。そうしたら、練習しているところに木村さんが現われて「何やってんの?」「なんで、俺を呼ばないの?」って。そこから木村さんも加わって、ビシバシ練習したんです。翌日は山の奥で、しかも雨が降って大変な撮影でしたが、すごいシーンになりましたね。芝居であっても、役者って相手に負けたくないから、必死になってやるんです。スタントマンも日頃から体は鍛えていますが、表現力や瞬発力では役者には敵わないなと思いますね。

 

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──女剣士の槇絵(戸田恵梨香)が操る三節棍に万次が苦戦するシーンは、非常に見応えがありますね。

三節棍の先に刃を付けたユニークな武器ですよね。あれは本当の鉄身なんで、かなりの重量があるんです。戸田さんは時代劇の立ち回りはおろかアクションも初めて。それで体があの細さでしょ? スタントマンを用意しようにも、あんな体型のスタントマンはいないので、本人が全部やったんです。屋根から飛び降りるシーンも本人がやっています。これがテレビドラマなら、プロデューサーが飛んできて止めさせるんでしょうけど。「事務所的に無理です」という人は三池組にはいないんです。戸田さん、最後は腕が動かなくなるまで全力を使い果たして、あのシーンを演じ切っていましたね。市川海老蔵さんもすごかった。歌舞伎の公演中で、昼は舞台に出て、夜になって撮影をして、また舞台に戻るという。舞台の休演日は終日撮影するけど、舞台が残っているから怪我をさせるわけにいかない。それで僕もいろいろ手を考えたんですが、万次も海老蔵さんが演じた閑馬もどちらも不死身の役だったので、三池監督は「う〜ん、死なない2人なんだから、やっぱりバチバチで行きましょう」と。それで2人が延々と斬り結ぶというとんでもないシーンになったんです(笑)。

 

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