Apr 25, 2017 interview

ベテラン殺陣師、辻井氏が語る木村拓哉主演『無限の住人』の撮影裏と三池組の凄み

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木村拓哉が特殊メイク&壮絶な殺陣に挑んだことで話題の異色のアクションエンターテイメント『無限の住人』。冒頭の100人斬り、そして異なる武器を操る剣豪たちとの死闘、さらにクライマックスには前代未聞の300人斬りが待っている。三池崇史監督ならではのド迫力シーンの連続だが、撮影現場を裏で支えたのがアクションコーディネーターの辻井啓伺氏。三池監督の初期作品から関わってきた辻井氏に『無限の住人』の撮影秘話と三池作品の真髄について語ってもらった。

 

──辻井さんは『殺し屋1』(01年)、『クローズZERO』(07年)、『十三の刺客』(10年)など三池崇史監督の代表作のほとんどに関わっていますが、三池監督との最初のコラボ作は何になるんでしょうか?

三池さんとのいちばん最初の作品は、『岸和田少年愚連隊 血煙り純情篇』(97年)です。千原兄弟が主演して劇場公開された作品で、それまでオリジナルビデオ作品で暴れていた三池さんにとっては初めての大掛かりな作品でした。プロデューサーが僕の知り合いだったことから、「殺陣は監督がつけるから、危なそうだったら止めてくれ」と頼まれたんです(笑)。

 

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──殺陣師としてではなく、三池監督のストッパー役として現場に呼ばれた?

そういうことですね(笑)。三池監督がその前に撮った『大阪最強伝説 喧嘩の花道』(96年)で怪我人が出ちゃったらしいんです。大阪出身の三池監督は空手もやっていて、かなりヤンチャな人だと噂には聞いていました。それで今度の現場で何かトラブルが起きるとマズいということで、僕が呼ばれたようです。初めて三池監督の現場に入ったんですが、普通の監督はアクションシーンは殺陣師に任せることが多いんですが、三池監督からは最初に「殺陣シーンの演出も基本自分でやりますので、お手伝いお願いします」と言われたんです。それで最初のシーンから「辻井さん、バイクの吹替えお願いできますか?」と頼まれ、いきなりバイクに乗せられたんです。ケンカ相手に水中銃を撃ち込み、バイクでそのまま引っぱるというシーンでした。「すごい監督だなぁ」と思いましたね(笑)。その作品にはやべきょうすけが警官隊相手に暴れるシーンもあって、エキストラの配置は僕がやったんです。三池さんも「殺陣師って職人がいたんだ」と思ってくれたみたいで、それから三池組に呼ばれるようになりました。『FULL METAL極道』(97年)とか、三池さんがいちばんヤンチャしていた時期でしたね(笑)。

 

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