古川登志夫が海外ドラマの吹き替えで、はじめてタッグを組んだ「田中秀幸」
- 古川:
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僕のまったくの同期といえば、田中秀幸さんにも来ていただきました。
- 平野:
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海外ドラマ『白バイ野郎ジョン&パンチ』の吹き替えを、秀幸さんがジョン、登志夫さんがパンチを演じていましたね。
- 古川:
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はじめての海外ドラマの主役をさせてもらって。秀幸さんは、子供の頃から子役スターとして知っていたので、「こんな方と組ませてもらえるなんて」と嬉しかった!
- 平野:
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「ジョン&パンチ」では、オリジナルのセリフよりも、意訳やアドリブを入れて、お2人の日本版のカラーを出されていましたよね。
- 古川:
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当時のディレクターが「ジョンとパンチのコントラストを、なるべく顕著に出しましょう」と言って、ジョン役の秀幸さんはオリジナルより「もっと真面目に!」、僕のパンチは「もっとふざけて!」と演出してくれた。
- 平野:
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真面目具合と、はっちゃけ具合の差が出てました!
- 古川:
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外国の俳優さんが全然笑っていない場面なのに、ディレクターさんに「笑いを入れてください」なんて言われる。だからあちこちに「ヌハハハハハハ!」という笑いを入れてみたんです。
『白バイ野郎ジョン&パンチ』などのエピソードも出てくる、田中秀幸さんの過去インタビューはこちら
少年役のスーパーレジェンド声優。タレント性を持った「田中真弓」
- 平野:
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田中真弓さんにも来ていただきました。「本当にお芝居が好きなんだ」と思った声優さん。
- 古川:
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女性の声優陣では、真弓ちゃんの存在は大きなものですよね。
- 平野:
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とにかくお芝居が好きで。だから、その延長に声優の仕事があったという方。
- 古川:
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うる星やつらの時、「藤波竜之介」役で参加された真弓さんにはじめてお会いして、「この若さで、うまいな!」と思いました。
- 平野:
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アニメの中では、清水マリさん、野沢雅子さんの次の世代では、少年役をやらせたら田中真弓さんがスーパーレジェンド声優ですよね。
- 古川:
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プライベートの顔と、演技している顔がぜんぜん違う。
- 平野:
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真弓さんのアフレコ収録の時って、すっとマイク前に立って、すっと演技されて。自然に声を出されている真弓さんへのあこがれがあります。
- 古川:
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タレント性というものを、すごく持っている方。真弓ちゃんは、普段はおとなしいんだけど、本番が始まったり、マイク前やカメラが入ったりすると、とたんに豹変する。僕は変われない、いつもそのまんま(笑)。
- 平野:
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表現者としての「田中真弓」のスイッチが入るんですよね、天才的に。
アフレコ収録の裏話も出てくる、田中真弓さんの過去インタビュー記事はこちら
ガンダム収録秘話、急ぐ富野監督を待たせた「古谷徹」
- 古川:
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今やすっかり「名探偵コナン」の安室透役でも有名になっちゃった、徹ちゃん(古谷徹さん)にも来てもらいました。演技力はもちろんだけど、営業力などもある、稀有な才能の持ち主です。
- 平野:
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私達の考えられない発想を持った方です。アニメの収録にのぞむ時は、キャラクターに近い髪型をしたり、服装をしたり、役を全部からだの中に入れて、演技される。
- 古川:
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僕よりも年下なんだけど、いつも徹ちゃんを表現する時は「あっぱれな奴」というキャッチフレーズを使っています。
- 平野:
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ガンダム収録時に、古谷さんが感情を作るため、急ぐ富野監督を待たせたエピソードがありましたね(笑)。
- 古川:
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富野監督がカナダに行く飛行機に乗らないといけなくて、すごく急いでいたんだよ。「マチルダさん」って泣き叫ぶ、たった一言のセリフだけですよ!「感情作るから、待ってください」って。僕の長い声優生活でも、富野監督を待たせたのは、後にも先にも徹ちゃんだけです(笑)。
- 平野:
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声優界の中で、一番セルフプロデュース力のある方ではないかと。
- 古川:
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自分の魅力や実力に対する自負もすごいものがあって。
- 平野:
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古谷さんご自身も「僕、ナルシストかもしれない」と、おっしゃっていました。
富野監督を待たせたエピソードも出てくる、古谷徹さんの過去インタビュー記事はこちら
今後、古川登志夫と平野文がインタビューしたいレジェンド声優、レジェンドクリエイターは?
- 古川:
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インタビューを通して声優としてのメソッドが、いろいろ聞けて楽しかったです。まだまだインタビューできていない、レジェンド声優もたくさんいますね!
- 平野:
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スーパーレジェンド声優として小林清志さんも、羽佐間道夫さん、大塚明夫さんに、池田秀一さん、池田昌子さんにも来ていただきたい!
- 古川:
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僕の同期の神谷明さんや千葉繁さん、三ツ矢雄二さんのお話も聞きたいですね!
- 平野:
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満を持して、三ツ矢さんのお話も聞きたいですね。アニメのスタッフ、レジェンドクリエイターとしては、登志夫さんは、どなたのお話を聞いてみたいですか?
- 古川:
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板野サーカスの板野一郎さん、音響監督の明田川進さん、マッドハウスを立ち上げたプロデューサー丸山正雄さんなどのお話を聞いてみたいですね。
- 平野:
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デザイナーだとガンダムの大河原邦男さん、ファイナルファンタジーの天野喜孝さんのお話も聞いてみたいです。大河原さん、天野さんといえば、アニメ制作会社「タツノコプロ」のご出身なんです。2019年の春にはタツノコプロ出身、4人の展覧会「ラフ∞絵」も開催されます。企画・プロデュースをなさった、スタジオぴえろの布川ゆうじさんも、やはりタツノコプロの出身、この機会にぜひ、お話を伺いたいですね。
(編集部注) 秋本治、天野喜孝、大河原邦男、高田明美による展覧会 『ラフ∞絵』 開催期間 : 2019年4月2日(火)~2019年4月16日(火) 開催場所:東京・神田「3331 Arts Chiyoda:アーツ千代田 3331」 公式サイト: http://4rough.com/
- 古川:
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まただまだお話を聞きたい方は、たくさんいます!レジェンド声優はもちろんですが、レジェンドクリエイターのお話も聞いてみたい!これからも楽しみにしていてください!
構成・文 / 長永拓也 撮影 / 根田拓也・otocoto編集部
古川登志夫(ふるかわとしお)
7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~ フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。
平野文(ひらのふみ)
1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。