Jan 26, 2017 interview

ハーロック、石川五エ門など数々の二枚目キャラを演じてきた声優・井上真樹夫の役者道

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平野

さて、井上真樹夫さんと言えば、近年は俳優としても大活躍しておいでです。特にここ数年はたくさんのドラマに出演されていますよね。これはどういう経緯で出演されることになったんですか?

井上

きっかけは2013年に劇場公開された映画『劇場版 SPEC~結~ 爻ノ篇』に声の出演をしたことだね。で、そのプロデューサーがすごいアニメファンで、ハーロックの音楽CDにサインを求められたんだよ。2枚持ってきて、1枚は自分用に、もう1枚はキムタク(木村拓哉さん)用にって。

平野

木村拓哉さんもハーロックがお好きなんですね。あ、そうか、木村さんは『宇宙戦艦ヤマト』の実写映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』(2010年)に出演していらっしゃいました!

井上

そうしたら、その直後に始まった『安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~』(2013年)ってドラマにお呼びいただいて。しかもなぜか大物政治家役なんだよ。桐谷美玲ちゃんにパンッって撃たれて倒れちゃうシーンがあるんだけど(第9話)、そのシーンのリハで、倒れた俺を長い足でまたいだやつがいてさ、それがキムタクと俺の出会い(笑)。

平野

その後も、いろいろなドラマに出演されていますよね。

井上

翌年にやった『家族狩り』(2014年)も同じプロデューサーの作品だね。今度は政治家から一転して、アルツハイマーのジジイって役でさ。ヨタヨタと妻役の浅田美代子さんに手を引いてもらって歩くみたいな役だったの。

平野

うわー、それはすごい落差ですね!

井上

でも、ずっと等身大のキャラクターにチャレンジしたいという気持ちがあったんだよね。だって、ハーロックの井上も、五ェ門の井上も、花形の井上も虚像じゃない? 俺はそれだけでは満足できないというか、すごくイヤでさ。そういうのを全部ぶっ壊したいという気持ちがずっとあった。本当の井上真樹夫はこんなんだよ、と。だから、アルツハイマーの老人役なんかはすごくやりたかった。お話をいただいて、即受けして、実際、すごく楽しかったね。

古川

ファンの反応はどうでした?

井上

どうだろう、気にしないようにしてたからよくわかんないんだけど、シーンとさせちゃったかもしれないね。あるいは意外にその辺は上手に切り分けてくれているのかも。ただ、スポーツ新聞には「ハーロック、ぼける」って見出しを付けられたよ(笑)。

古川

いや、僕も年寄りの役、やりたいんですよ。今やらなかったらいつやるんだって。

平野

どうですか、実写ドラマなどで演技をするようになられて。

井上

精神的にやっとホッとできたかな。昔もちょくちょくNHKの大河ドラマとかに出ていたんだけど、今、改めてそういうチャンスをいただくと、古巣の、帰るべき場所に帰ってきたような感じはするね。

古川

原点回帰のような感じでしょうかね。

井上

申し訳ないんだけど、やっぱり声優をちょっと後ろ向きな姿勢でやっていたところが少し残っているんだろうね。だから、ドラマの世界に行くと、安心感がある。

平野

やっぱり真樹夫さんは「俳優」、なんですね。最後に、そんな真樹夫さんがこれから挑戦していきたいことを教えてください。

井上

やっぱり映像かな。映像でセリフが少ない役がいい。

古川

ちょっとの出番で全部を持って行っちゃうような……

井上

それでいて、ギャラは高い。いいな! ぜひそれでお願いします(笑)。

コラム

取材を行った11月30日は、偶然にも井上真樹夫さん、78歳のお誕生日! というわけで、古川さん、平野さんとotoCoto編集部でお祝いをさせていただきました。

ケーキナイフを片手に「またつまらぬものを斬ってしまった……」とサービス精神旺盛な真樹夫さん。ドラマでの大活躍はもちろん、ぜひまた、アニメの世界でも活躍していただきたいですね!!

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構成・文 /山下達也  撮影 /江藤海彦

プロフィール

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井上真樹夫(いのうえまきお)

山梨県出身。青二プロダクション所属。芸歴:文学座草の会~劇団表現座~富士放送プロ。主な出演作は、アニメ『ルパン三世』(石川五エ門)、『宇宙海賊キャプテン・ハーロック 』(ハーロック)、『巨人の星』(花形 満)、『男ドアホウ甲子園』(藤村甲子園)、『キャンディ・キャンディ』(アルバート)ほか。

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古川登志夫(ふるかわとしお)

7月16日生まれ、栃木県出身。青二プロダクション所属。1970年代から活躍を続け、クールな二枚目から三枚目まで幅広い役を演じこなす。出演している主なアニメーション作品には、TVシリーズ「機動戦士ガンダム」(カイ・シデン役 1979~80年 テレビ朝日)、映画・TVシリーズ「うる星やつら」(諸星あたる役 1981~86年 フジテレビ)、映画・TV「ドラゴンボール」シリーズ(ピッコロ役 1986~97年 フジテレビ)、映画・OVA・TVシリーズ「機動警察パトレイバー」(篠原遊馬役 1989~90年 日本テレビ)、映画・TV「ONE PIECE」(ポートガス・D・エース役 1999年~)など多数ある。

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平野文(ひらのふみ)

1955年東京生まれ。子役から深夜放送『走れ!歌謡曲』のDJを経て、’82年テレビアニメ『うる星やつら』のラム役で声優デビュー。アニメや洋画の吹き替え、テレビ『平成教育委員会』の出題ナレーションやリポーター、ドキュメンタリー番組のナレーション等幅広く活躍。’89年築地魚河岸三代目の小川貢一と見合い結婚。著書『お見合い相手は魚河岸のプリンス』はドラマ『魚河岸のプリンセス』(NHK)の原作にも。