Feb 11, 2023 interview

熊切和嘉監督が語る 別人のように変化していく俳優・中島裕翔の顔を楽しむ『#マンホール』

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池ノ辺 今回は、スマホでのSNSの使い方も面白かったですね。

熊切 実は僕はSNSを全然やらないので、スタッフに聞きながらの撮影でした。あれは脚本の岡田さんの力だと思います。しかも中盤は中島(裕翔)くんがスマホでそれをやっているというシーンが延々続くので、それこそ普通にそれを撮っていては持たないですから、どう面白く展開させていくかというのが難しかったです。

池ノ辺 マンホールという狭い場所なのに、いろんな人物が関わってきて、そこからすごく奥行きが出てくるわけですが、それがSNSによって‥‥というのがまさしく今の時代ですよね。

熊切 そうですね。それは非常に現代的で面白いと思っていました。

池ノ辺 監督は、今までにマンホールの中に入ったことありますか。

熊切 実は、実家が配管屋で父が配管の仕事をしていました。子どもの頃、工事について行って、そういうところに入った記憶はなんとなくあるんですけどね。

池ノ辺 あんな感じでした?

熊切 いや、あれはだいぶ映画的にデフォルメされてますから(笑)。

マンホールの中で変化していく俳優「中島裕翔」の顔

池ノ辺 マンホールの中に落ちた中島くんでしたが、演技が上手いですよね。今回、主演が中島くんになった経緯は何かあるんですか。

熊切 僕がオファーを受けたときから、中島くんでやりたいという話でした。だから脚本が当て書きですね。

池ノ辺 最初の印象はどうでした?

熊切 好感度大でした。すごくさわやかな青年で、素敵な俳優だと思いました。実は彼のスケジュールの関係で、顔合わせの日にもう撮影の準備に入ったんです。こういう表情で、手はこうとか、すぐに演出が始まったんですね。ですから割とすぐに俳優と演出家の関係になれたので、それはやりやすかったです。

池ノ辺 どれくらいの期間で撮ったんですか。

熊切 3週間くらいですね。特にマンホールの中に関しては割と話の流れに沿った順撮りができたんですが、その間にも彼はどんどん変わっていきました。それは撮っているときにも感じていたんですが、編集してみると改めて、最初の顔と後半の顔が全く別人のように変わっていて。これはある意味、彼の表情を楽しむ映画だなと、編集していて思いました。