Feb 11, 2023 interview

熊切和嘉監督が語る 別人のように変化していく俳優・中島裕翔の顔を楽しむ『#マンホール』

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池ノ辺 今回の撮影で何かエピソードはありますか。

熊切 元カノとのやり取りで、ちょっと嫌な面が出るところがあるんですが、最初の芝居ではもうちょっとストレートな感じだったんです。それを、例えば付き合っていた頃にこいつはDVやっていたなと匂わせるようなニュアンスが出せないかと提案して、それで出てきたのがあの演技です。

池ノ辺 本当にDVやっているやつ、って感じでしたよね。

熊切 ニュアンスを伝えるとそれをきちんと考えて応えてくれるのがよかったですね。

池ノ辺 泡もすごかったですけど、あれはどういう風にやったんですか。

熊切 あれは子ども向けのイベントなどで使われる、泡を出す機械があって、それを使っています。ただ、ちょっと汚い感じを出すのにコーヒーや青のりや、いろいろ混ぜたので、匂いがひどかったんですよ。だから中島くんは本当に大変だったと思います。リアルにむせてましたから。

正直、脚本の時点で、無茶じゃないかと思っていたくらいです。誰もやったことがないので、泡の打ち合わせだけで何度やったかというくらい、みんなでいろいろ案を出し合ったんですが、結局やってみないとわからないよねということで現場に入ったんです。だから結構撮り直しもやってます。

池ノ辺 何回もやったんですか!

熊切 そうなんです。

池ノ辺 マンホールの中には、虫やら何やらも出てきてました。

熊切 あれは現場で調達してました(笑)。美術部が「ゲジゲジ捕まえました」といって持ってくるんです。毎日、中島くんを撮った後には虫を撮るというスケジュールで(笑)。