Jul 24, 2020 interview

「求められているのは、好きなときに好きな作品を観られること」広報担当者が語るNetflixの原点

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意表を突くアナログの広告展開

――NetflixさんはWeb上での広告展開を中心にしつつ、アナログの広告展開も積極的にされていますね。たとえば、劇場の幕間にかける30秒の予告編でもNetflixで配信される作品の予告を流しています。それは映画を観に来た観客の人たちにも観てもらいたいというのがあるわけですか?

とにかくエンターテインメントがお好きな方にNetflixの素晴らしい作品を観てもらいたいという意図があります。常に新しいものを貪欲に求めていらっしゃる方に届けられる場を探しているということですね。

――もうひとつ、アナログの宣伝展開で面白いと思ったのは、新聞広告なんです。令和になったときに朝日新聞さんの全面広告が出ましたね。新聞の下段のところには年表がついていて、そこに映像の歴史が書いてあるんですね。「1891 トーマス・エジソンがキネトスコープの特許を出願」ってあるのが最初で、これが映画の始まりですね。それでいろいろ映画やテレビのエポックになった出来事が書いてあって、「2015 ネットフリックスが日本国内でのサービスを開始」「2018 ネットフリックスオリジナル映画『ROMA / ローマ』がベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞」と書いてあって、最後に「見たいは、つづく。Netflix」ってあるの。この広告はどういう経緯で生まれてきたんですか?

様々な新聞広告を展開させていただく中でも朝日新聞さんとは、密にクリエイティブ展開をさせていただいています。何か面白い形があれば我々も常に前のめりです。令和に元号が変わったときに、エンタメの力強さや時代性を伝えたい思いはありました。クリエイティブも朝日新聞さんにご提案いただいたものが素晴らしくて、特に人々が上を見上げている写真が印象的でした。 広告は2019年4月30日の平成最後の日に掲載されたものです。

――昔の街頭テレビを見ている人たちの写真を使ってるんですよね。

そうです。今とは景色が違いますよね。今は下を向いてスマホを触っていることが多いと思うので、この光景は今でもとても印象的です。

写真家・田沼武能 氏 撮影の写真を活用したNetflixの新聞広告

――それから、『朝日新聞』のお正月の広告で、テレビ欄を突き破って「Netflixでも行く?」って文字が見えるのがありましたね(笑)。それでテレビ欄の内容も、「全裸監督TV」とか「あいのりチャンネル」ってなっていて、番組内容もすごく凝っていましたね。こういう新聞広告っていうのは、打つと影響は大きかったですか?

何かひとつのことをやったから、何かがすごく伸びるというシンプルな方程式ではないように思いますし、むしろそのように評価できるとどこの企業も嬉しいのではないでしょうか(笑)。

ただ、原点に返れば、動画配信サービスに求められていることは、メンバーがどの作品に興味を持って入ってきていただいたとしても、『好きなときに好きな作品を観られること』だと思います。

Netflixではそのようなサービスを展開し続けて、かつ皆さんが面白いと思っていただける作品を毎日提案する存在になるべきだと思います。ですから、さまざまな作品をご紹介する機会を増やさなければいけないと感じますし、よってこれからも皆さんの意表をつくようなことにチャレンジしていきたいと思います。

もちろん、ひとつひとつの作品、今回のように『呪怨:呪いの家』を知っていただくこと、さらにNetflixで観ることができることを発信することも重要ですが、この作品をきっかけにNetflixへ入ってきてくださった皆さんに、「Netflixいいよね」「Netflix楽しいよね」と思ってもらい、続けてみようかなと思っていただけるかは、最終的には作品のバラエティやジャンルなど、配信する作品がいかに充実していて観たいものかなのだと思います。そのようなことを広告でもお伝えしていきたいです。

――今日のお話をうかがっていても、2015年に、私が感じた全世界の人たちが一斉に同じ作品を自分の国の言葉で見ることが出来るようになるという驚きが、ずっと続いて広がっているんだなと改めて感じました。これからもいろんな作品を見せてくれると思いますから、楽しみにしています。

インタビュー/池ノ辺直子
構成・文 / 吉田伊知郎

作品情報
JYUON ORIGIN
Netflixオリジナルシリーズ「呪怨:呪いの家」(全6話)

伝説のホラー映画『呪怨』シリーズが、Netflix Japanが贈る初のホラー作品に進化を遂げ、再び世界を震撼します。実際に起きた忌まわしい出来事に焦点を当てて描き出す『呪怨:呪いの家』。すべての呪いの始まりは、ある一軒の家に端を発していた…。”呪いの家”と関わる人々に降りかかる恐怖の連鎖が生々しく映し出されます。
監督: 三宅唱
出演: 荒川良々、黒島結菜、里々佳、長村航希、岩井堂聖子、井之脇海、テイ龍進、松浦祐也、土村芳、柄本時生、仙道敦子、倉科カナ
脚本: 高橋洋、一瀬隆重
製作総指揮: 山口敏功 (NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン)、坂本和隆 (Netflix)
プロデューサー: 一瀬隆重、平田樹彦

Netflixにて全世界独占配信中

Netflixオリジナルシリーズ『呪怨:呪いの家』 公式サイト: https://www.netflix.com/ju-on_origins




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池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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