Mar 17, 2018 interview

ベルリン国際映画祭でも話題!日本が舞台のウェス・アンダーソン監督最新作『犬ヶ島』の魅力とは?

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池ノ辺

詰め合わせセット!?いいですね〜(笑)。

今は『スリー・ビルボード』と『シェイプ・オブ・ウォーター』がアカデミー賞をいろいろ受賞したこともあって、大ヒット上映中ですが、次にサーチライトで平山さんが手がけるのが5月に公開されるウェス・アンダーソンが監督した『犬ヶ島』。

ベルリン国際映画祭で賞も獲りましたよね?

平山

監督賞にあたる銀熊賞を受賞しました。

いやぁ、素晴らしかったですよ。

今、ウェス・アンダーソンが撮れば全部傑作になると思うんですよ。

それぐらい、今、キャリアの中でもすごいところに来ていて、そんな時期に日本を舞台にしたストップモーション・アニメーションを作ったのが凄いじゃないですか。

映画祭で一緒に観た方々は、「ウェス・アンダーソンの最高傑作じゃないの?」って言っていましたね。

池ノ辺

どうして、日本を舞台にしたんでしょうね?

平山

日本の映画にインスパイアされたものを作りたかったんですって。

ウェス・アンダーソンは脚本を書くチームがいつも決まっていて、ローマン・コッポラっていう、ソフィア・コッポラのお兄さんと、ローマンの従兄弟のジェイソン・シュワルツマン。

『ロッキー』でエイドリアンを演ったタリア・シャイアの息子ですよね。

その3人でいろいろ企画を考えていて、幾つかのモチーフがあったらしいんですよ。

例えば“犬”とか“ゴミ”とか。

池ノ辺

“犬”とか?“ゴミ”とか?日本のイメージなのかしら?

平山

日本映画がみんな好きだったので、そこに日本映画のエッセンスをと、いう話になったらしいんですよ。

それで思い出したんですけど、『グランド・ブダペスト・ホテル』が終わった後に、本社ルートで、ウェス・アンダーソンがロサンゼルスで黒澤明監督の映画を何本か観たいと言っているから、東宝のアメリカ支社に連絡をとって観られるように出来ないか、みたいなことを言われたんですよ。

池ノ辺

へえー!それでお見せしたのかしら?

平山

どうなったかは定かじゃないんですが、プリントが無くて、その時はフィルムでは上映できなかったんじゃないかな?

ただ、今にして思うと、その段階からそういうことをやっていたわけですね。

池ノ辺

そうか、もう『犬ヶ島』の準備が始まっていたんですね。

平山

そう。

今回、参考にしたのが、黒澤明監督の現代劇だってインタビューでも言っていました。

『野良犬』『悪い奴ほどよく眠る』『天国と地獄』とか一連の三船敏郎さんが主役を演った現代劇ですね。

そのために参考試写をしたかったんだなと最近気が付きました(笑)。

池ノ辺

日本人じゃないのに、あそこまで出来るって凄くないですか?

日本の描写が全く変じゃないのよ。

前世が日本人なのかしら?

平山

ウェス・アンダーソンが日本に来たのは1回だけなんですよ。

池ノ辺

いやぁ、それはやっぱり前世が日本人ね(笑)。

平山

だけど、その1回の来日の印象が凄かったみたいで、そこからどんどん膨らんでいったようですね。

だけど、日本を描く以上は、中途半端なことは一切しない。

徹底的にリサーチしているんです。

池ノ辺

今日は『犬ヶ島』に出てくる犬のフィギアを持ってきてもらったんですが、これは売るんですか?

平山

セブンネットで前売り券とセットで販売します。

池ノ辺

これって、どれが当たるか分からないやつですか?

平山

いやいや、6個セットですよ。3月17日から予約告知開始です。

池ノ辺

『犬ヶ島』は今、予告編を作っているんですが、映像素材を観たら、すごく面白いんですよ。

日本人のことをすごくわかっている作りなんですよね。

公開はいつですか?

平山

5月25日です。

池ノ辺

それで、これからのサーチライトのお話を聞きたいと思ったんですけど。

何が控えているんでしたっけ?

平山

『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』ですね。

©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

池ノ辺

これは面白かった!『ラ・ラ・ランド』のエマ・ストーンがもう別人でかっこよすぎ。

女性差別が70年代、こんなにあったのかって思うとすごくびっくりしちゃって。

最初の試写を観たときは、映画が終わったら拍手が起きていました。

平山

字幕翻訳の方と握手しましたからね。

字幕が入るとこれだけ面白くなるんだと思いました。

というのは、脚本がすごくよく出来ているんですよ。

だから会話の機微が分かって初めてすごく感動するんですよね。

池ノ辺

この後は何が続くんですか?

平山

実はあまり先まで発表しないんですよ。

待機中の作品は何本もあるんですけど、いつアメリカ公開になるのか、翌年のアカデミー賞を何が狙うのかを見ながら、今年後半以降のことを考えるという感じですね。

池ノ辺

是非、次回作もよろしくお願いします。

それじゃあ、最後の質問。

平山さんにとって映画って何ですか?

平山

やっぱりね、映画は時代と共にあるんですよ。

だから、映画は世の中を動かす力があるんですよね。

商業規模では計れない、その時代を彩るものになったりするわけですよね。

映画ってそういう瞬間がある。

それを味わってしまうと、この仕事を辞められなくなっちゃうと思うんですよ。

おそらく、今後もそうあるんじゃないかなという気がします。

映画って本当に素晴らしいものだなと思いますね。

(文:モルモット吉田 / 写真:根田拓也)


©2018 Twentieth Century Fox Film Corporation

映画『犬ヶ島』

第68回ベルリン国際映画祭【銀熊賞】2作品連続受賞の快挙達成!『ファンタスティックMr.FOX』でストップモーション・アニメの新次元を切り開き、日本でも大ヒットを記録した『グランド・ブダペスト・ホテル』でアカデミー賞®9部門にノミネートされたウェス・アンダーソン監督が、自身の最高傑作を塗り替える最新作を完成させた!

日本を深く愛するアンダーソン監督が、「黒澤明と宮崎駿、二人の巨匠から強いインスピレーションを受けて作った」と語る本作の舞台は近未来の日本。

4年の歳月をかけ、670人ものスタッフが心を込めて作り上げた登場人物と犬たち!一つ一つ精巧にデザインされた驚愕の“日本”のセット!ユニークで愛くるしい犬たちと少年の間に芽生えていく温かい絆に、世界中がピュアなハートを取り戻す、心躍る冒険物語。

監督:ウェス・アンダーソン 出演:ブライアン・クランストン、コーユー・ランキン、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、ジェフ・ゴールドブラム、野村訓市、グレタ・ガーウィグ、フランシス・マクドーマンド、スカーレット・ヨハンソン、ヨーコ・オノ、ティルダ・スウィントン、野田洋次郎(RADWIMPS)、村上虹郎、渡辺謙、夏木マリ

配給:20世紀フォックス映画

2018年5月25日(金)全国ロードショー

公式サイト:http://www.foxmovies-jp.com/inugashima/


PROFILE

■平山義成(ひらやま よしなり)

20世紀フォックス映画 営業本部/FOXサーチライト シニアマネージャー

1969年生まれ。1994年松竹株式会社に入社。映画興行部にて番組編成スタッフとして従事、以降ブエナビスタ・インターナショナル(ジャパン)を経て、1998年、20世紀フォックス(極東)映画会社に入社。主として配給営業を手がける。 2006年の「リトル・ミス・サンシャイン」をきっかけに、FOXサーチライト作品の配給業務全般に関わり始める。 2017年1月より正式に日本におけるFOXサーチライト作品の業務全体を統括し、以降、『ドリーム』(FOX2000作品)、『gifted/ギフテッド』、『スリー・ビルボード』、『シェイプ・オブ・ウォーター』を送り出す。 待機作品は『犬ヶ島』(5月公開)、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ(原題)』(7月公開)

池ノ辺直子

映像ディレクター。株式会社バカ・ザ・バッカ代表取締役社長
これまでに手がけた予告篇は、『ボディーガード』『フォレスト・ガンプ』『バック・トゥ・ザ・フューチャー シリーズ』『マディソン郡の橋』『トップガン』『羊たちの沈黙』『博士と彼女のセオリー』『シェイプ・オブ・ウォーター』『ノマドランド』『ザ・メニュー』『哀れなるものたち』ほか1100本以上。
著書に「映画は予告篇が面白い」(光文社刊)がある。 WOWOWプラス審議委員、 予告編上映カフェ「 Café WASUGAZEN」も運営もしている。
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